『ハウス・オブ・グッチ』ジェレミー・アイアンズへインタビュー ─ ロドルフォ・グッチは「栄光に生きる男」

巨匠リドリー・スコットが放つ、華麗なるグッチ一族崩壊の闇に包まれた衝撃の実話『ハウス・オブ・グッチ』が、2022年1月14日より日本公開となる。
THE RIVERでは、出演のジェレミー・アイアンズへの貴重な単独インタビューが実現した。アイアンズが今作で演じるのは、グッチ家の四男ロドルフォ。アダム・ドライバーが演じる一人息子マウリツィオを溺愛する父で、グッチ家の「レガシー」を象徴するような、厳かで孤高の老人だ。
ジェレミー・アイアンズといえば、言わずと知れた名俳優であり、『運命の逆転』(1990)など出演作は数知れず。舞台俳優としても優れた功績を納めており、トニー賞・アカデミー賞・エミー賞の三冠に輝いた、数少ない役者の1人でもある。アメコミ作品のファンにとっても、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)や「ウォッチメン」(2019)でもお馴染みだろう。
劇中では威厳に満ちた役どころだったが、実際のアイアンズは朗らかで、柔和な笑顔が印象的だった。キャラクターについての思いを語ったインタビューをどうぞ。

『ハウス・オブ・グッチ』ジェレミー・アイアンズ 単独インタビュー
──『ハウス・オブ・グッチ』は、あなたにとってコロナ禍以降初めて世界で劇場公開される映画ですね。
そうですね。別の作品もあって、それは来月に公開されるんですけれど(この取材は2021年11月に行われた)。なので、ロックダウン中に2作ということですね。
──あなたが演じたロドルフォ・グッチは、ファッション界のゴッドファーザーのようです。ダークで、葉巻を咥えていて、顔つきはいつも厳しい。マーロン・ブロンドを参考にした部分はありましたか?
いいえ、ありませんでした。本人の写真を参考にしています。彼がどういう人物で、グッチ家の評判がどういうものかもわかっていましたから。彼は映画俳優でもありましたから、本人が出ていた映画も観ました。それから咀嚼しました。そうしたら、リドリーが求めていたものとフィットした。
実際の本人に、できるだけ忠実であるように心がけました。原作の本もずいぶん頼りにしています。彼のことは、保守的で、どちらかと言うと前時代的な、特権階級の世捨て人として演じました。彼は、ドイツ人女優と結婚していた頃は、人生を謳歌した男でした。イタリアの映画界、ファッション界を堪能した男でした。そして今彼に残されたのは、グッチの50%の支配権と、息子マウリツィオだけなのです。

──初期の報道では、ロバート・デ・ニーロの出演もアナウンスされていましたが、実現には至っていません。もしかしてデ・ニーロは当初、あなたの役を演じる予定だったのですか?
そうだと思います。
──もし演じていたら、『ゴッドファーザー』俳優が2人登場することになりましたね。
ハッハッハ(笑)。その通り。本作には『ゴッドファーザー』に通じる要素がたくさんあります。イタリアの物語ですし、マフィアではないにしても、権力を持ったファミリーの物語ですしね。

──ロドルフォの着る衣装は、彼の威厳を非常によく表していると感じました。スカーフを着用して佇んでいるシーンは、まるで戦場から戻ってきた、疲弊した老兵のように見えました。
彼はエレガントで、グッチと聞いて想像するようなファッションに身を包んでいます。あのスカーフは私もぜひ着用したかったものなんですよ。スカーフ姿のイメージが好きで、少し冷たい老人らしさが表せると思ったからです。役を演じる上で、衣装は非常に重要なものです。今作の場合は、1970年代、1980年代らしさを感じさせてくれました。
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