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マーベル社長は『アベンジャーズ』に飽きないの? MCUの仕掛け人がヒーロー映画と自身の仕事を語る

Kevin Feige / ケヴィン・ファイギ
Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kevin_Feige_(28556369381).jpg

映画『アベンジャーズ』シリーズをはじめとするマーベル・シネマティック・ユニバースは、いまやハリウッドを代表する超巨大シリーズだ。その指揮を執っているのは、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギ。大のコミックファンで知られながら、トップスターやクリエイターから絶大なる信頼を寄せられるハリウッドのトップ・プロデューサーだ。

ケヴィン氏がマーベルでの仕事を始めたのは、近年のヒーロー映画ブームの礎を築いた『X-メン』(2000)。それから18年かけて、ケヴィン氏は比類なき才能と手腕を全世界に示すことに成功した。では、あえて逆に考えてみることにしよう。ケヴィン社長は、いつまでマーベル映画だけを作り続けるのか? 新たな環境で映画づくりに挑戦したいとは考えていないのか?

「理論的にはイエス、実際はノー」

Varietyのポッドキャストにて、ケヴィン氏はこのストレートすぎる質問に応答している。これは、映画やコミックというメディア/芸術形式のかかわり方をも問われるような、プロデューサーとしての核心を突く質問だともいえるだろう。するとケヴィン氏は、「僕は落ち着きのない人間なんですよ」と切り出した。

「机に向かっているのは好きじゃないんです。オフィスにはいますけど、ほぼまったく席には座っていませんね。動き回っていたい、飛び回っていたいんです。なので、“ああ、同じ場所に18年もいるのか”って思うこともありますよ。
ですから(質問の答えは)理論的にはイエス。だけど、実際にはノーです。(マーベルは)まったく違う会社でありつづけています。私がいる間にも、少なくとも3~4回は形を変えてきた。現在の形は非常に良いですね。」

マーベル・スタジオやマーベル・エンターテインメント、親会社のウォルト・ディズニー・カンパニーという環境は、ケヴィン氏が飽きてしまうような暇を与えないほど、常に形を変え、成長を続けてきたということだろう。

実際のところ、マーベル・シネマティック・ユニバースはケヴィン氏自らの手によって頻繁に革新されてきた。新たなキャラクターを投入し、作品同士の物語をつなげ、ついには『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で10年間の展開に決着をつける。ディズニーによる20世紀フォックス買収によって、X-MENやファンタスティック・フォーの合流という局面も具体的に見えてきた。

「マーベル・スタジオで一緒に仕事をしているのは最高の人々ですし、ウォルト・ディズニー・スタジオの方々も素晴らしい。彼らは私にとって、業界における一番の師匠(メンター)でもあります。今、このスタジオでの仕事にはとても満足しています。(今後も)ありとあらゆる種類の映画を作りたいですし、過去22作品のキャラクターと同じく、いろんな映画の作り方を提供していきたいと思っていますよ。」

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ではヒーローたちが一堂に会した © 2018 MARVEL

2019年、マーベル・スタジオは『ブラックパンサー』(2018)でアカデミー賞受賞を目指している。かつては「子供向け」だと考えられることすらあったヒーロー映画やコミック映画の地位向上も、ケヴィン氏による偉大な業績のひとつだろう。現在のヒーロー映画は老若男女楽しめるエンターテインメントであり、現代の社会状況を反映するポリティカルな側面もあわせ持っている。しかしケヴィン氏は、あえてこのように言い切った。

“スーパーヒーロー映画”や“コミック映画”だとひとくくりで呼ばれることはありますが、僕たちにとっては“映画”です。考えるのは“どんな物語を描きたいのか?”、“まだ作っていないのはどんな物語なのか?”、“作っていない映画の中で、自分たちが気に入りそうなのはどんな作品か?”ということ。そして何を作るのかを決めています。(スタジオが)そういう指向なのはとても幸運なことですよ。」

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)全国ロードショー。2019年のマーベル・シネマティック・ユニバース作品、そしてヒーロー映画全体が楽しみでならない…!

『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html

Sources: Variety, Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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