米ディズニーCEO、映画の不振などで「疲弊している」?

米ウォルト・ディズニー・カンパニーCEOのボブ・アイガーは、「ディズニーランド来場者数減」「ディズニープラス会員減」「劇場映画の興行不振」といった三重苦などに「圧倒され、疲弊している」という。米経済メディアのBloombergが「ボブ・アイガーは魔法を失ったのか?」と題した記事の中で伝えた。
ボブ・アイガーは2005年よりディズニーCEOを務め、ピクサーやマーベル、ルーカスフィルム、20世紀フォックスといった大買収を次々と実現させ、合併吸収の形で会社を成長させた。2020年に退任し、経営権をボブ・チャペックに移したが、業績悪化と社内の混乱を受け、退任を撤回して2022年に復帰を果たした。
ディズニーの営業利益を牽引するテーマパーク事業はコロナ禍の営業停止からの回復を果たしている。これに乗じるように世界中のテーマパークでの投資拡大計画を発表しているが、投資家は一事業への依存リスクを懸念する。
動画配信事業のディズニープラスは赤字が続き、足を引っ張っている。コロナ禍に会員数を急速に伸ばしたディズニープラスだが、それでもNetflixには及ばない。2024年の初黒字化を目指しているが、2023年に入ると会員数は初めて減少に転じた。
劇場映画でも苦戦は続く。「マーベル疲れ」が指摘されるマーベル映画では、『アベンジャーズ』シリーズや『ブラックパンサー』(2018)のような大ヒットが生み出しにくくなった。世界的フランチャイズを復刻させた『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)はまさかの赤字となり、ヒットメーカーだったピクサーの『バズ・ライトイヤー』(2022)『マイ・エレメント』(2023)の興収記録は、ピクサー作品内で下から数えた方が早い結果となった。さらに2023年は脚本家や俳優組合によるストライキも発生し、不確定な外的要因に影響を受けた。アイガーは、当初このストライキに理解を示さなかったことで対立を深めた人物でもある。
再登板したアイガーは2026年末までの任期だ。当初は2024年末までだったが、後継者不在問題もあって延長した。復帰後には、全社員の3%にあたる7,000人の一斉解雇も行った。社内外の政治問題も山積する中、再び経営手腕が試される。
2023年春には、アップルがディズニーを買収するとの噂が流れたこともあった。後にアイガーによって否定されたが、これもディズニーが魔法の力を失いつつあることを示す例なのかもしれない。
Source:Bloomberg