マーベル社長ケヴィン・ファイギ、2015年に解雇されかけていた ─ 泥沼の社内対立劇、ディズニーCEOが阻止

マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長が、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の人気絶頂期にあたる2015年、マーベル・エンターテインメントとの対立が原因で解雇されかけていたという。これを阻止したのは、米ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOだった。
アイガー氏は米CNBCのインタビューにて、2009年にマーベルを買収した際、マーベル・エンターテインメントのアイザック・パルムッター会長がその後もマーベルの運営を継続することに同意したことを認めつつ、その後、パルムッター氏とファイギ社長が対立していたことを明かしている。
「2015年、当時のマーベルの映画部門を運営していたケヴィン・ファイギを、彼(パルムッター)が解雇しようとしていました。それは間違いだと考え、事前に阻止したんです。ご存知のように、ケヴィンは本当に優れた重役であり、そのことはマーベルの実績が物語っています。そこでマーベルの映画製作部門を、アイク(パルムッター)からアラン・ホルンのもとへ移しました。」
ここで名前が挙がっているアラン・ホルン氏は、ディズニーの映画製作部門であるウォルト・ディズニー・スタジオの会長を2021年まで務めていた人物。マーベル内部での対立により、ファイギがMCUを統括できなくなる可能性を重く見たアイガー氏は、これをきっかけにマーベル・スタジオをディズニー直属の映画スタジオとして扱うようになったのだ。
パルムッター氏はそれ以前まで、MCU映画の予算を握り、マーベル・エンターテインメント社内で“クリエイティブ委員会”と呼ばれる組織を率いて自社作品への介入を行っていた。委員会のメンバーには玩具部門を統括するアラン・ファインのほか、ブライアン・マイケル・ベンディスやジョー・カサーダ、ダン・バックリーらコミック界の重鎮も名を連ねていたのである。
ところが、この委員会は映画界からの評判がことごとく悪い。『アントマン』(2015)の監督を務めるはずだったエドガー・ライトの降板のきっかけを作ったとか、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)から70年代のサウンドトラックを削除するよう求めたとか、「女性や黒人が主人公の映画には客が入らない」と主張して『ブラックパンサー』(2018)や『キャプテン・マーベル』(2019)の企画に反対したとか……。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)では、アイアンマンとキャプテン・アメリカが戦う展開を変更するよう求める、予算の大幅削減を要求するなどして、一時はアンソニー&ジョー・ルッソ監督が降板を申し出る事態となっている。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督は、かつて「コミック作家とオモチャ屋のチーム」が「考えなしの」注文を付けてくると語ったこともあった。
特に問題視されたファイギ社長とパルムッター氏の対立については、アイガー氏の著書『ディズニーCEOが実践する10の原則』(早川書房)にも具体的な記述がある。いわく、パルムッター氏はファイギ社長を「まるで敵のように扱っていた」といい、ファイギ社長が希望する予算を許可しないばかりか、あらゆることに反対していたという。「脚本を読まず、ラフカットも見なかった。監督やプロデューサーや脚本家とアイデアを話し合うこともなかった。[中略]プレミアに参加したのはたった一度きり、最初の『アイアンマン』の公開時だけで、しかもあからさまにいやそうな顔をしていた」。とうとうファイギはストレスで体調を崩し、ホルンに辞職を相談したという。
今回のアイガー氏の発言によれば、当時のパルムッター氏はファイギ社長への圧力のみならず、実際の解雇に向けて動いていたようだ。これを阻止したことが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)や『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)などに繋がったのだから、さすがはハリウッドの第一線を走り続けてきた経営者の慧眼というほかない。
なお、マーベル・スタジオをディズニー直属にしたことでアイガー氏とパルムッター氏の関係も悪化したとされる。このことについて、アイガー氏は「それはアイクに聞いてください」と答えつつ、「言い方を変えれば、彼は満足していなかったし、その不満は今も残っていると思います」と言い添えた。
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Source: CNBC, Vanity Fair(1, 2), Birth. Movie. Death., ComicBook.com(1, 2, 3), 『ディズニーCEOが実践する10の原則』(早川書房)





























