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『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は宿命や運命、ヒーローの本質を問う映画に ― ルッソ監督がテーマを明かす

アベンジャーズ
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、そして『アベンジャーズ』第4作を手がけるアンソニー&ジョー・ルッソ監督が、バラエティ誌のインタビューで作品のテーマや製作への取り組み方について語った。

『インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ』第4作の2作品は、2008年『アイアンマン』から始まったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の“集大成”になるといわれてきた。インタビューでルッソ監督は、自身がメガホンを取る『アベンジャーズ』2作品が10年間の「最終章」であると明言している。

『インフィニティ・ウォー』はヒーロー映画に対峙する

今回バラエティ誌が行ったインタビューで興味深いのは、“ルッソ監督の政治への目線”が大きな焦点となっているところだ。これまで映画『キャプテン・アメリカ』シリーズを監督した二人は、マーベル・ヒーローに現実の問題をどう映し出そうとしてきたのか……。
ジョー監督は、二人が政治的問題にとても強い関心を抱いていること、ヒーロー映画にもそうした意識を強く反映させていることを強調している。

ジョー: 兄と僕は政治に関心がある。この世界で日々起きていることにすごく影響を受けてるよ。ヒーローたちは、生活の中で語るにはときに難しくなる問題から距離をとる方法なのさ。距離をとって、そして劇場で体験してもらう手段なんだ。僕たちが直面している問題について、精神的に安心なやり方でね

またアンソニー監督は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)のテーマを踏まえて『インフィニティ・ウォー』の内容にも言及している。どうやら今回は、前2作とは別の方向へと舵を切った作品になるようだ。

アンソニー: 『ウィンター・ソルジャー』のとき、僕たちは監視社会について考えていた。『シビル・ウォー』では、政府に監視されコントロールされることを認めるのか、それともチームを解散してそんな事態を起こさせないようにするのか、どちらが良いかをヒーローたちが選ばなければならなかった。テーマを広げていったんだよ。

『インフィニティ・ウォー』と『アベンジャーズ』第4作目では、さらに大きな問題を扱う。政治とは別のものを扱うんだ。(前2作は)キャプテン・アメリカの物語だったし、シールドに国旗があしらわれた男だから、現在のアメリカの問題を扱わざるを得なかった。『インフィニティ・ウォー』では運命や宿命、ヒーローの本質というテーマを、より深く、広く、徹底的に扱うよ

これまでのMCU作品は、「ヒーロー映画」という形式を借りながら、ときによりシンプル、ときにより複雑なテーマを掘り下げることで、ジャンルの壁を超えてドラマとしての強度を獲得してきた。しかしアンソニー監督の言葉を信じるなら、ここにきてMCUは“ヒーロー映画”の本質とも対峙することになりそうだ。
いずれにせよ、そうしたテーマは「10年間積み上げてきた“ヒーロー映画のユニバース”にどんな回答を出すのか?」という問題にもつながってくるだろう。ルッソ監督は、両作が10年間の「最終章」になることもはっきりと認めている。

アンソニー: 『アイアンマン』第1作が、それから10年間にわたって22本の映画で記される本の第一章だったとすると、これら2本の映画(『インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ』第4作)はその最終章だよ。もちろん、これから別の本が書かれるんだけどね。

ジョー: (MCUは)この2作品のあとも続いていく。でも、いろんな意味でこの2作品は、ある旅の到達点であり完成なんだ

2017年7月20日現在、ルッソ監督は、『アベンジャーズ』第4作の撮影に入ったところだとみられる。きっと二人の監督にとっても、この壮大な2作品を作り終えたところが「ある旅の到達点」になることは間違いないだろう。その後のMCU作品にルッソ監督が登板するかどうかは、今のところわからない。
ちなみにインタビューで「『スター・ウォーズ』を撮ることに興味はありますか?」と聞かれたジョー監督は、「ものすごくやりたいよ」と述べている。ルーカスフィルムはマーベル・スタジオと同じディズニー傘下だけに、絶対にない話ではないだろう。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー
なお、『アベンジャーズ』第4作は2019年4月26日(金)に全米公開予定だ(日本公開日は不明)。

Source: http://variety.com/2017/film/news/russo-brothers-interview-avengers-infinity-war-star-wars-1202498783/
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。