『インターステラー』冒頭は「最も完璧かつ美しい」、撮影監督ロジャー・ディーキンスが絶賛 ─ ノーラン&ホイテマ、互いへの信頼を明かす
クリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』の公開に先がけ、代表作『インターステラー』(2014)が、2020年9月4日(金)より2週間限定公開中だ。この映画のオープニングを、近年の映画でもっとも美しいシーンだと絶賛する人物がいる。『ブレードランナー 2049』(2017)『1917 命をかけた伝令』(2019)で知られる伝説の撮影監督、ロジャー・ディーキンスだ。
2020年8月、ディーキンスのポッドキャスト「Team Deakins」に、『インターステラー』の撮影監督であるホイテ・ヴァン・ホイテマが登場。『ダンケルク』(2017)『TENET テネット』にも参加しているホイテマは、本作で初タッグとなったノーランとの作業について明らかにしている。
「コーン畑と家から始まるオープニングは、ここしばらく、いや長年にわたって、最も完璧かつ美しいシークエンスのひとつだと思います。とても見事な出来栄えで、実に緻密に作られている」。ディーキンスは『インターステラー』の幕開けを称えると、撮影についての工夫を尋ねた。「事前にどれくらいストーリーボード(絵コンテ)を描いたんですか? 当日に俳優と作ったところはどれくらいあったのでしょうか」。
この問いかけに対し、ホイテマはノーラン監督の意外な側面を明かしている。「クリス(ノーラン)のストーリーテリングは精密だという人はたくさんいるけれども、一緒に仕事をして学んだこと、そして尊敬するところは、彼がとても直感的なフィルムメーカーだということです」。ホイテマの語るエピソードは、いかにノーランが“現場”に強い監督かということを示している。
「クリスは、自分に与えられるエネルギーに対してとても敏感です。たとえば天気でいえば、“あなたは天気の運を持ってますね”なんて言われることもありますが、彼は決して天気の運を持っていない。だけど彼は、どういう天気であろうが、あっさりと撮ってしまいます。目の前にある環境から、きちんとふさわしいものを作れる人はそういません。クリスは、手違いが生じたり、状況が極端に変化したりしても動じないし、おじけづかない。自分の求める強力なアイデアがあり、しかも細かくコントロールするのではない方法で、そのアイデアをきちんと守り抜けるのです。」
ホイテマの言葉は、ディーキンスの質問に対する直接的な回答ではない。しかしノーランとホイテマは、事前の計画なのか、その場の判断なのかにかかわらず、与えられた環境で最高の仕事を実現できるということだろう。一方のノーランは、米ICG Magazineにて「撮影監督との関係は、主演俳優との関係と同じくらい大切」だと口にして、ホイテマへの信頼を公に語っている。
「ホイテマとは、とても生産的な意見交換を独特の形で積み重ねてきました。時には言葉で、時には感覚で、まるでミュージシャン同士のように。ホイテマの芸術的な感性と知性は、彼が技術者でありアーティストであることを感じさせてくれます。純粋な創造性と、容赦のない実用性が融合しているのです。優れた撮影監督の手助けは、創造的な模索と、現実的な実践との間で、ストーリーテリングのバランスを取らせてくれます。」
3度目のタッグにしてお互いを熟知したノーランとホイテマは、〈時間の逆行〉を描く『TENET テネット』でどんな風景を見せてくれているのか。作品ごとの進化ぶりも、ノーラン作品ファンにとっては大きな見どころだ。
映画『インターステラー』は2020年9月4日(金)より2週間限定公開。最新作『TENET テネット』は9月18日(金)全国ロードショー。
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Sources: Team Deakins, IndieWire, ICG Magazine