「座席まで料理届ける」アメリカ高級映画館チェーンが経営危機 ─ 席はリクライニングシート、レストランやバー併設のラグジュアリー体験が売り

アメリカの高級映画館&レストランチェーン、iPic Theatersが経営危機に瀕している。事業再建のため破産保護を申請し、売却を模索していることがわかった。米The Hollywood Reporterが報じている。
iPic Theatersは、リクライニングシートやフルサービスのレストランなどを備えたラグジュアリー型の映画館チェーン。全米8州に13劇場を展開し、施設ごとにレストランやバー、ラウンジを併設するほか、座席まで料理を届けてもらえるサービスなど、従来のシネコンよりも高級かつ高価格帯の映画体験を売りとしてきた。
もっとも、コロナ禍以降の観客減少やコスト増の影響から近年は厳しい経営状況が続いていた。今回、iPicは「消費者の鑑賞スタイルの変化によるチケット売上の減少と、スタジオとの興行収入分配が難しくなったこと」から破産保護を申請。通常、映画館とスタジオはチケット売上をおよそ半分ずつ分配するが、iPicは高級志向であるがゆえ、チケット収入だけでは経営を維持しづらかったものとみられる。
すでに破産法第11条を通じて事業再建の手続きが進められており、今後はアトランタの劇場を閉館し、従業員160人以上のレイオフ(解雇)を予定。売却先が見つからない場合はその他の劇場も閉館される可能性があるという。
パトリック・クインCEOは、「さまざまな代替案を検討した結果、裁判所の監督下における資産売却が、弊社とステークホルダーの皆様にとって最善の利益になると判断いたしました。このプロセスを通して、影響を最小限に抑えながら事業を継続することに尽力し、お客様の期待に応える高水準のサービス提供に努めてまいります」との声明を発表した。
破産申請が提出されたのは2026年2月25日。同社の資産は約1,000万~5,000万ドル、負債は最大1,000万ドル。昨年(2025年)は総収入1億1,250万ドルに対し、純損失は約2,000万ドルにのぼり、取引先や従業員への未払金は250万ドルを超えるという。
なお、iPicは2019年にも同じく破産法11条を通じて事業再建を申請しており(当時は競争激化と建設コストが理由だった)、アラバマ州職員退職基金によって買収されている。もっともその後、2020年からの新型コロナウイルス禍で複数の劇場を閉鎖。いまだ、映画業界はコロナ禍以前と同等の観客動員・興行収入を取り戻せていない。
アメリカ最大の映画館チェーンであるAMC Theatresも、2026年2月の決算報告で観客動員数の減少と業績の低迷を発表。今年は話題作の多い一年だが、ストリーミングサービスの台頭により劇場公開作品が減っているのは事実で、どのようにコロナ禍以前の水準まで回復できるかは依然として喫緊の課題となっている。
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Source: The Hollywood Reporter




























