原作者スティーヴン・キングによると、2017年版『イット』は相当ワンダフルらしい
米国モダン・ホラー小説界に君臨する、マスター・オブ・ホラーことスティーヴン・キング。その彼の同名小説を原作として1990年に製作されたホラー作品『イット』をご存じの方は多いと思う。そのリメイクあるいはリブートとも言える新作『イット』が、2017年9月8日の米国公開に向けて、ついにジワジワと動きを見せている。
本作品は、当初の監督であったキャリー・フクナガの降板後、アンディ・ムスキエティが監督の座を引き継いで進められていたようだ。監督の交代に伴い、最重要ともいえる恐怖のクラウン“ペニーワイズ”役も、ウィル・ポールターからスウェーデンの俳優ビル・スカルスガルドに交代となっている。
アンディ監督の姉であり、本作品のプロデューサーでもあるバーバラ・ムスキエティは、2016年9月に『イット』前編の撮影が無事に終了したことをInstagramで報告している。それから約半年が経ち、いよいよティザー・トレーラーが公開されるのではないかという噂も立ち始めた。
その噂の理由のひとつと思われる出来事が、『イット』の新作を待ち望んでいるファンの間で話題となっている。原作者であるスティーヴン・キングがすでに本作品を試写で鑑賞しており、プロデューサーのセス・グレアム=スミスが、キングから「ワンダフルな仕事だよ、心配するな!」という太鼓判を押されたというのである。
Steve asked me to pass along that he saw a screening of IT today and wanted to let everybody know that they should stop worrying about it as the producers have done a wonderful job with the production.
さらにその数日後、キングはツイッターに「『イット』のリメイク版は予想以上の出来」というツイートを投稿している。
Andy Muschietti’s remake of IT (actually it’s Part 1–The Losers’ Club) succeeds beyond my expectations. Relax. Wait. And enjoy.
— Stephen King (@StephenKing) 2017年3月7日
正直、リメイクやリブートに懐疑的なぼく個人としては、本作品に期待しつつ、それを上回る不安も抱いていた。その一番の不安要素こそ前述のペニーワイズなのだが、1990年版でティム・カリーが演じた異常なまでに不気味なペニーワイズを果たして超えられるのだろうか。しかしキングの発言は、2017年版『イット』が十分観るに値する作品であることを、確実ではないにせよ表してくれている。
しかしながらキングは、スタンリー・キューブリック監督よる映画版『シャイニング』では、キューブリックが原作を大幅に変更したとして、執拗に作品の批判を繰り返したといわれている。当時『シャイニング』の映像化権を持っていたのはキューブリックだったが、“キングが映画版のバッシングを自重する”という条件で、テレビドラマ版の製作と認めたというエピソードもあるほどだ。

個人的な見解を述べれば、キューブリックの『シャイニング』は、たとえ原作と内容が違っていたとしても素晴らしい名作だ。したがってキングが認める作品とは、彼自身の原作をベースとする場合、まず“原作に忠実である”ことが重要なのではないかとも考えられる。もちろん彼は立場上、多くのホラー映画に評価を下しているようで、映画の売り口上には時々“スティーヴン・キングも絶賛!”という言葉を見ることもある。ただしあれも……鑑賞して納得の場合もあれば、そうでない経験もあるのだよね……。
そんなわけで、2017年版の『イット』の出来映えがキングの言葉通りなのかは、この文章を書きながら若干不安になってきたのだが、それでも大いに期待せざるをえない作品には違いない。でもやっぱり、ペニーワイズがなあ……。
Eyecatch Image: https://www.facebook.com/StephenKingsIt2017/photos/a.177026355785484.1073741825.177023235785796/665312996956815/