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マーベル映画の監督は「コミックのライターのようなもの」 ― 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』作り手たちの協力体制に迫る

Photo by Chris Jackson https://www.flickr.com/photos/cmjcool/8633318298/

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、2008年『アイアンマン』から始まったマーベル・シネマティック・ユニバースの集大成だ。過去10年間にわたってユニバースを構成してきた映画には、言わずもがな、それぞれの作品で力を尽くしてきたクリエイターの存在がある。

本作でメガホンを取ったアンソニー&ジョー・ルッソ監督は「端的に言って、この映画にはマーベル・シネマティック・ユニバースの全員が関わっています」と豪語する。アイアンマンやキャプテン・アメリカ、ソーといったおなじみのメンバーのみならず、スパイダーマンやドクター・ストレンジ、ブラックパンサーといった新規キャラクターも顔を揃えた本作の製作にあたっては、各クリエイターが監修や助言のためにプロジェクトに関わってきたようだ。

監督同士、緊密な連携体制

なかでも二人が協力関係を強調するのは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督、『アントマン』シリーズのペイトン・リード監督、『ドクター・ストレンジ』(2016)のスコット・デリクソン監督、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のタイカ・ワイティティ監督、そして『ブラックパンサー』(2018)のライアン・クーグラー監督だ。

アンソニー: 僕たちは監督全員と親しいですし、全員のことが大好きなんです。彼らとは頻繁に話し合いをしましたね。タイカ・ワイティティとはたくさん話をしました。あの作品はまだ完成していなかったので、撮影現場でやったことや作品の雰囲気、方向性まで正しい情報が必要だったんです。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は映画が2作品あるので、キャラクターの振る舞いは理解していました。ジェームズ(・ガン)には、ほかの監督と同じように加わってもらっています。ジェームズが製作総指揮にクレジットされているのもわかってもらえると思います。彼はキャラクター作りにすごく力を貸してくれたんですよ。

アンソニー監督は、作り手たちはそれぞれ各キャラクターに独自の解釈を持っているのだと語る。その上で協力しながら『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を作り上げていくことで、マーベル・シネマティック・ユニバースとしての統一性が保たれていくわけだ。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の製作において最も重要になったのは、同時期に撮影が行われていた『ブラックパンサー』(2018)のライアン・クーグラー監督との連携だったという。予告編などでもわかるように、本作ではティ・チャラ/ブラックパンサーの治める王国ワカンダが重要な役割を担うことになる。

アンソニー: ライアンには撮影中、こちらに来てもらって何度も話し合いをしました。スタッフも彼に何回も会って、美術や映像を見せてもらいましたよ。プロデューサーのネイト・ムーアとも、ライアンを交えてメールをたくさんやり取りしましたね。[中略]彼はすごく細やかにワカンダを描いているんです、素晴らしいですよ。

以前ライアン監督も、『ブラックパンサー』の撮影現場を『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のスタッフが訪れていたことを明かしていた。それぞれのスタッフが撮影現場を往復しながら、ワカンダという空間を作り上げていったのである。

アンソニー&ジョー・ルッソ監督、独自の視点

一方でルッソ監督は、いかに自らの作家性を『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に取り入れたのかも折に触れて力説してきた。なにせ本作につづく『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』では、二人が『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)で始めた物語が完結するいうのだ
では、大勢のクリエイターによる解釈と自身の作家性、その間で二人はどんな折り合いをつけていったのか……。

ジョー: 僕たちは(マーベル・シネマティック・ユニバースの監督たちを)コミックのライターのように捉えているんです。それぞれが違う道を進んでいて、自分たちが影響を受けたものや関連するテーマを原典(コミック)から取り入れたり、あるいは少し違うものを見てみたいと思ったら、別のやり方で掘り下げていったりする。もちろんこの映画に先行する作品はたくさんありますが、それらは多くの監督たちによって、あらゆるスタイルやあらゆるテーマで作られたものなんですよ。
そこで、唯一にして最高の方法は、(ほかの監督から)情報を受け取った上で、自分たちが好きなものを守り、掘り下げ、開拓して、描きたいストーリーを物語ることだと思いました。僕たちが変更や削除を加えれば、観客のみなさんは、きっとコミックを読んでいるのと同じように“別の人が描いたのも観てみたい”と思うんじゃないかと。“これはこれで最高だし、楽しいけど、別の誰かが作ったのも観てみたい”って。マーベルは映画製作にあらゆる声を取り入れながら、そういう仕事を鮮やかに続けていると思うんですよ。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-iw.html

Source: Collider
Eyecatch Image: Photo by Chris Jackson

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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