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【解説】アイアンマンの新スーツ「ブリーディングエッジアーマー」とは ─ 『インフィニティ・ウォー』で完成する「究極のアイアンマン」

マーベル
※画像はイメージです。

THE RIVERでもお伝えしましたが、2018年3月8日付米Entetainment Weeklyの記事によると4月27日公開『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』においてアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)が身に着ける新しいアイアンマンスーツの呼称が明らかになりました。その名も「Bleeding Edge Armor(ブリーディングエッジアーマー)」。英語を直訳すると「最先端の鎧」となるこのアーマー、ホットトイズジャパンやバンダイが本編公開に先駆けて発表した該当スーツのフィギュアには「マーク50」とのナンバリングが振られています。本稿では未だ謎に満ちたこの新兵器について原作コミックの設定などを引き合いに迫ってみましょう。

これまで(2018年4月現在)のマーベルシネマティックユニバース(以下MCU)には、正式にトニー・スタークが装着して活躍したものから、設定上のみの存在まで実に47種類ものアイアンマンスーツが登場しています。その中には、Mk.33シルバーセンチュリオン(アイアンマン3に登場)やMk.44ハルクバスター(アベンジャーズ:エイジオブウルトロンに登場)といった、名称、デザイン、機能ともに原作コミックの色が濃いアーマーも少なからず存在し、ファンを喜ばせてきました。そして『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に登場するアイアンマンスーツの名が「ブリーディングエッジアーマー」であるならば、わざわざこの名称を冠する以上、このスーツもまた原作コミック上の設定を多く踏襲したものになるはずです。

原作コミックにおけるブリーディングエッジアーマー

コミックファンをして「究極のアイアンマンスーツ」と称されることの多いこの「ブリーディングエッジアーマー」。コミックにおけるナンバリングはモデル37。その恐るべき特徴をかいつまんでご紹介しましょう。

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まずこのアーマーは全体がナノマシンによって構成されており、通常はトニー・スタークの体内に格納されています。サラっと凄いこと書きましたが、有事の際にはトニー・スタークの血中から肌を通してワラワラとナノマシンが湧いてきてアーマーを形作るわけです。

このナノマシンはトニー・スタークの意志と完全に同調しており、彼が望むどんな形状にも姿を変えることができます。装甲としてだけでなく、必要とあらば普通の洋服を装うこともできるわけですね。アーマーの動力はトニーが常時胸に装着している超高出力のアークリアクター「R.T.node」で、このガジェットはアーマーを動かすだけでなくトニー自身の知性やAIコミュニケーション能力を大幅に強化しています。アーマー形成時の構造は、トニーの体の上に第一層として人工筋肉、その上に第二層として装甲というつくりになっており、強大な衝撃からもトニーを守ることができます。(だから『インフィニティ・ウォー』予告編でサノスのパンチくらってましたが、きっと大丈夫。)

また、全体がナノマシンで出来ていますので、傷ついたり故障したりしても、ナノマシンがその配列を変えることによりあっという間に治すことができる自己修復能力を持っているところも大きな特徴でしょう。武装としては、従来通りのリパルサー、ユニビーム、エネルギーブレード等はもちろんのこと、トニーのイメージがそのまま武器の形となりますのでメトロイドのサムスよろしく巨大なアームキャノンなども瞬時に装備することができます。

手の甲や、肩、腰などに配置された小型のリパルサーは、カメラの役割も果たしており、トニー・スタークに自分を取り巻く360度全方位の知覚を与えています。トニー・スタークのイメージが赴くままに変幻自在に姿を変え、彼に万能の力を与える最強の鎧、それが「ブリーディングエッジアーマー」なのです。

先日公開された『ブラックパンサー』を鑑賞済みの方はお判りの通り、ナノテクノロジー自体はMCUの世界に既に存在しているようなので、映画における「ブリーディングエッジアーマー」もコミックと遜色ない能力を備えていても何らおかしくありません。

変化する「私はアイアンマンだ」の意味

これまでのトニー・スタークは、アーマー装着時と生身の時と、当然ですがその能力に大きな隔たりがありました。

一作目の『アベンジャーズ』(2012)でキャップが指摘した通り、アーマーが無いときのトニーは人並み程度の身体能力しか持たないただの男(天才で超金持ちですが)であったわけです。スーパーヒーローというよりも技術者としてのパーソナリティ、そこが大きな物語的魅力にもなっていましたが、アーマーが無いときのトニー・スタークという存在はヴィランに対する際、常に危うさを孕んでいました。「スーツありきのヒーロー」として、DCコミックスのバットマンがよく比較対象とされているのも象徴的です。

しかしこの「ブリーディングエッジアーマー」を手にしたとき、トニー・スタークは語弊なくスーパーヒーローの一員に名を連ねることになります。何しろ時を選ばずパワーを発揮できるわけですから、ナチュラルなスーパーパワーを持つソーなどと完全に肩を並べることができるわけです。2013年の『アイアンマン3』では、スーツに頼らなくともトニー・スタークという一人の技術者として戦い抜いてみせるという決意、不屈の男という意味も込めて「私はアイアンマンだ」というラストのトニーの台詞が印象的かつ感動的でしたが、その意味も変わってきてしまいます。行きつくところまできた、現在のMCUの物語的な意味での「究極」、それを体現するアーマーとも言えそうです。

デザインしたのは?

この「ブリーディングエッジアーマー」をデザインしたのはライアン・メイナーディング。これだけMCUが隆盛を極めていても日本ではあまり耳に馴染みのない名前かもしれませんが、何を隠そう彼こそはMCUのアート部門の長。栄えあるMCU第一作、2008年のジョン・ファヴロー監督『アイアンマン』でアイアンマンMk.1とアイアンモンガーのデザインを手掛けて以来、MCUの主要作品ほぼ全てに関わってきた要のデザイナーです。ちなみにMCU版キャプテン・アメリカのスーツのデザインは全て彼に依るものです。彼抜きでは現在のMCUはありえなかった、そう言っても過言ではないライアンが2010年、コミック誌「Invincible Iron Man#25」の為にデザインしたアイアンマンの新スーツ、それがブリーディングエッジアーマーなのです。

ナンバリングの謎

ディズニー・スタジオないし、マーベル・エンタ-テイメントが公式にリリースした情報ではありませんが、このブリーディングエッジアーマーに割り振られたナンバリングは「Mk.50」。私見では前述した通りホットトイズを始めとした名だたるトイメーカーが謳っていますので、このナンバリングはほぼ間違いないと思いますが、そうだとすると疑問が生じます。

MCUにアイアンマンが最後に登場したのは2017年公開の『スパイダーマン:ホームカミング』です。この映画に登場したアイアンマンスーツ、赤金クロームの三色のカラーリングが印象的でしたが、このスーツのナンバリングは「Mk.47」。そう、間の「48」と「49」が抜けているのです。予告編には、Mk.44とは微妙に形が違うハルクバスターのようなアイアンマンスーツも登場していますので、おそらくこれが二つのナンバリングの何れかでしょうが、それでも完全にヴェールに包まれたモデルが、間を抜く形で1つある計算になります。

私事で恐縮ですが、筆者はアイアンマンスーツ愛好家の端くれとして2016年の『シビルウォー:キャプテン・アメリカ』でMk.46が登場したあたりから「こりゃアイアンマンスーツ、アベンジャーズ4までで、50きっかり出す気だな」と邪推していたわけです。これでブリーディングエッジアーマーがMk.49あたりなら「しめしめ」といったところだったんですが、あえての「Mk.50」。別にキリ番で終わらせなきゃいけないなんてことはありませんが、何となく奥歯に物が挟まったような気がするのも確かです。本編にてこの謎はきれいさっぱり明かされるのか、個人的には要注目のポイントです。

いかがでしたでしょうか。さらっと終わるつもりが思いのほか長文になってしまいました。お付き合いいただいた方申し訳ございません。泣いても笑ってもロバート・ダウニーJr演じるアイアンマンと会えるのもあと僅か。今まで10年間心底楽しませてもらった感謝の念と共に、拙稿を締めくくらせて頂きたいと存じます。

Writer

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アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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