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『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』サノス、どうして資源の倍増じゃダメだったの? ジョシュ・ブローリンが回答

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)に登場する“史上最凶のヴィラン”サノスは、かつてマーベル・シネマティック・ユニバースに登場したどんなキャラクターよりもスケールの大きい理想を抱いている。6つのインフィニティ・ストーンを手中に収め、全宇宙の生命を半分に減らすというのだ。

この狂気的な目標に向けてサノスを突き動かすのは、すでに存在する生命に対して資源が不足している以上、惑星や宇宙のバランスを取るには生命を減らすしかないという彼なりの正義だった。ある意味でサノスには、異様な論理と説得力が存在したのである。
しかしもちろん、このように考えることもできるだろう。「なぜサノスは資源を倍増させるという方法を取らなかったのか?」と。

ジョシュ・ブローリン、サノスの根底を語る

米国のトーク番組「The Late Show with Stephen Colbert」に登場したサノス役のジョシュ・ブローリンは、なぜサノスが資源の倍増ではなく生命の半減を目指したのか、その理由を語った。まず、ジョシュは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』について、「観客のみなさんが(サノスに)共感したり、単純には共感しなかったり、いろんな反応を示してくれました。それが面白かったですね」と話している。

「彼(サノス)は単なる“宇宙最悪の男”じゃない。人口が増えすぎているけれども、資源は限られていると彼は考えたんです。だから彼のやっていることは実に正しい……正しくないですか?」

司会者のスティーブン・コルベアに、ジョシュはあえてこう問いかけている。するとスティーブンは、「でもサノスは(指を鳴らしてみせながら)資源を倍にすることもできましたよね」と問い返したのだった。これに対してジョシュは、そもそもサノスの根底にあるものを明らかにしている。

「彼には(資源を倍増させることも)できました。でも当時、彼はそんなこと思ってもいなかったわけです。なぜなら、彼は本当に非情だから。そのマニフェストも無慈悲なんですよ。
ドナルド・トランプ(米大統領)のことを…国境問題について考えてみましょう。すべての国境には問題がある。人々がやってくれば人口は増えるし、資源は限られています。でも(トランプ大統領が)示すものは極めて非情です、特に子供たちが関わっている時はね。」

ジョシュが言及した「子供たちが関わっている」ケースとは、メキシコ国境を越えた不法移民の親子を引き離す、トランプ大統領の政策を指している。ここでジョシュは、言外に“より良い方法があるはずなのに残酷な手段を選択している”として政策を批判しながら、サノスも“そもそも資源を増やそうという発想がない”のだ説明しているのだ。平和的なかたちで人口や資源の問題に対処するのではなく、考えられるかぎり最も暴力的な手段を取る、それこそがサノスの根底にある非情さの表れである。

ちなみにこの番組で、ジョシュは胸毛をマジックペンで書かせたり、スティーブンと腕相撲で対決したりとユーモラスな一面を存分に見せてくれている。しかしジョシュがトランプ大統領に言及したのは偶然だったのだろうか、最後には番組側の企画として「サノスの声でトランプ大統領のツイートを読む」というコーナーが設けられていた。“サノスは非情”だというジョシュの解釈を聞いたあと、サノスの描写を思い返しながら、その声でトランプ大統領のツイートが読み上げられるのを聞くと…これはまさしく、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』という作品の同時代性をダイレクトにあぶり出しているように感じられるだろう。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国の映画館にて公開中。なお、日本での上映は6月21日をもって一斉に終了する。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/

Sources: The Late Show with Stephen Colbert, BBC

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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