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【ネタバレ】『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』予告編はいかに作られたか ― 物語を予測させない、ルッソ監督の執念

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
© Marvel Studios 2018

いまや、観客たちが映画の内容を予想する能力は高度化している

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でメガホンを取ったアンソニー&ジョー・ルッソ監督はそう語った。身の回りにあらゆるコンテンツがあふれている現代においては、普通の観客ですら映画の中で何が起こるかを簡単に予想してしまうというのだ。それゆえ二人は、本作の予告編を作るにあたって「秘密を隠すことに時間を費やし、ミスリードを誘うように予告編を編集し、情報を扱った」というのである。


劇場公開から少し時間が経過した今、ルッソ監督は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の予告編をどのように組み立てたのか、その裏側を明らかにした。しかしこれは、もはや“執念”としかいいようのない仕事ではないか……。

注意

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。

アベンジャーズ インフィニティ・ウォー
© 2018 MARVEL

“予告編にあったものが、本編にない”

まずは復習も兼ねて、本作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の特報映像をご覧いただきたい。なぜ本予告編でなく特報映像かといえば、こちらにはとりわけ印象的なショットが含まれているからだ。

https://www.youtube.com/watch?v=HtxEYvZ6nlA

「予告編にあったシーンが本編にない」という現象は、マーベル・シネマティック・ユニバース作品において特別に珍しいことではない。たとえば『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)では、スパイダーマンとアイアンマンが並んで飛ぶシーンが本編になかったことがファンの間で物議を醸した。
同じく本作の場合も、特報映像で象徴的だった、キャプテン・アメリカやブラックパンサー、ハルク、ブラック・ウィドウ、バッキー・バーンズらがワカンダを走るシーンは存在しない。そもそもハルクは冒頭シーン以外、本編で姿を見せないのだ……。

このたびルッソ監督は、米国のポッドキャスト“Happy Sad Confused”に登場。そこでアンソニー監督は、なんとこのショットについて「映画のために作ったものではありません。予告編のために撮った映像なんです」と述べているのだ。さらにジョー監督の口からは、「映画本編と予告編はまるで別の体験だと考えています」という衝撃発言も飛び出した。

「観客のみなさんが見事に予想するので、どうやって予告編を組み立てるのかということにまったく気を抜けないんですよね。予告編を見たら、本編で何が起こるのか伝わってしまうわけですから。」

“本編と予告編は別の体験”という信条は、本予告編をご覧いただいてもわかるように、特徴的な場面をことごとく本編で変更するスタイルにも現れている。たとえばティ・チャラの「この男に盾を(Get this man a shield.)」というせりふや、スパイダーマンとドクター・ストレンジのやり取りは本編にも存在するが、そこに使われている映像は予告編とは別のテイク/ショットだった。

「予告編を作るために、“ゴミ箱”の映像をいろいろ使いました。[中略]“ゴミ箱”には、本編に使われていないショットがたくさんあるんです。予告編の目的に合わせて、伝えたいストーリーを作るべくCGも使える。本編にはないんですけどね。」

むろん、こうした手法には賛否が分かれるところであろう。しかしルッソ監督は、「映画のストーリーを味わう」という最も基本的な楽しみを事前に奪わないよう、ひたすら心を砕いているわけなのだ……。

本編にないせりふはどこへ?

一方、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』では、本編の冒頭から予告編にあるせりふが次々に登場する。予告編で聞かれたサノスのせりふは、ほとんどが脱出船ステイツマンの内部にて語られるのだ。
ただし本編からは、あるせりふが削除されている。それは「宇宙の均衡を取ろうという時に楽しみはない。しかし、これは笑える(Fun isn’t something one considers when balancing the universe, but this does put a smile on my face.)」という言葉だ。

ジョー監督によると、このせりふは観客をミスリードするために入れたものではなく、脚本にきちんと書かれていたものだったという。作品の編集段階で変更が加わり、本編から削除されることになったそうだ。

「脚本にあったせりふなんですが、別のせりふに置き換えました。ガモーラとのストーリーにもう少し寄せようと思ったんです。惑星ノーウェアで、リアリティ・クローク(編注:リアリティ・ストーンによって生まれた虚構)からサノスが出てくる際に言っていたものだと思います。もっとストーリーに寄せたせりふに変更したんですよ。」

かたや独立した短い映像作品として予告編を作るがゆえの変更、かたや本編を完成させる上で生じる変更……。ここで「予告編」なるものは、もはや本編のダイジェストや、あるいは見どころをシンプルに伝えるものとして作られてはいない。
さて、来たる『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』の予告編はどんな内容になるのだろうか? はっきり言えるのは、今や映っているものをすべて鵜呑みにはできないということだけである。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国の映画館にて公開中

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/

Sources: HSC, Collider

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。国内舞台作品の執筆・創作にも携わっています。ビリー・アイリッシュのライブに行きたい。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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