ジオラマの起源は、19世紀初頭、フランスの舞台背景画家であり、史上初めて実用的な写真技術を完成した人物として知られるルイ・ジャック・マンデ・ダゲール(Louis Jacques Mandé Daguerre)が、新古典主義を代表する画家ジャック=ルイ・ダヴィッド(Jacques-Louis David)の弟子であるシャルル・マリ・プートンと共に、従来の『パノラマ』に代わる新たな投影装置を開発し『Diorama』と名付けたのが最初だと言われている。そして『ジオラマ』という言葉自体は、明治時代に入ってきたフランス語由来の外来語であり、フランス語発音に基づいた『ディオラマ』や、英語発音に基づいた『ダイオラマ』と呼称表記される場合もある。
ベンツロさんは若い頃から映画などのアクション・フィギュアを蒐集していたそうなのだが、そのフィギュアたちを棚において鑑賞するだけでは飽き足らず、その映画のシーンを再現するために棚の中をまるごとジオラマにするというジオラマ作りをはじめたという。ちなみに最初に制作したのは15歳の時、お気に入りの映画だったヴィクター・フレミングの『オズの魔法使』(The Wizard of Oz)だそうである。
すごい、たしかに棚の空間を使ったジオラマになっている。部屋の中にこんな棚があったら相当テンションが上がるはずである。まだ15歳ということもあり稚拙な影はありつつも、作品の雰囲気を見事に表現していると感じる。空の彼方の虹の上にメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(Metro-Goldwyn-Mayer Inc.、MGM)のトレード・マークが浮かんでいるあたりも、なんだかシュールでおもしろい。そして見切れてはいるが、棚の上下にも気になるジオラマが写り込んでいる。上段はフランクリン・J・シャフナーの『猿の惑星』(Planet of The Apes)、下段はウォシャウスキー兄弟の『マトリックス』(The Matrix)。
いったいこの場所が自宅なのかどうかは不明であるが・・・、やはり棚。これたぶん、制作している本人が一番興奮してるんだろうなあというのが、目に浮かぶ。そしてジオラマも気になるが、その周囲が非常に気なる。家族の写真かのようにルーク・スカイウォーカーの写真が飾られていたり、ロバート・ゼメキスの『フォレスト・ガンプ/一期一会』(Forrest Gump)で登場する『ババ・ガンプ・シュリンプ』のキャップが掛けてあったり・・・。そして下段はやはり別のジオラマ、ピーター・ジャクソンの『ロード・オブ・ザ・リング』(The Lord of the Rings)。