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【洋画ファン的なりたい漢その1】ジョン・ウィックをミドルエイジ向け男性ファッション誌風に解剖する

ロシアン・マフィアの最終兵器、ブギーマン専門の殺し屋としてその名を馳せるジョン・ウィック。一時は引退が噂されていましたが、約五年間の充電期間を経て、一昨年、元パートナー、ヴィゴ御大の運営するカルテルを単身で壊滅させるという前人未踏、誰にも真似できないような偉業を成し遂げ、復活を高らかに宣言したのは我々の記憶に新しいところです。

2017年2月には「ジョン・ウィック チャプター2(邦題未定)」が公開予定。願わくば、前作のように日本公開が一年遅れるなんてことがないよう、そんな切なる願いを込めまして、今回は殺し屋界のスーパーセレブ、「ババイエガ」ジョン・ウィックのファッションや携帯するアイテム、愛車などにスポットライトを当て、そのパーソナリティ、魅力を紐解いていきます。

1. 大人の男の「黒」の着こなし

ジョン・ウィックのルックイメージといえば、細身のダークスーツ。氏の仕事には激しい動きが要求されますが、どんな場面でも決してフォーマルを崩さないその姿勢に、一流のプロフェッショナルとしての確固たるプライドを垣間見ることができます。また、THE RIVER的に気になるのは、奥様の葬儀の際に着用されていた詰襟のような衣装。イタリア人デザイナー、ルカ・モスコ氏によるワンオフのオーダーメイド。TPOをきっちり踏まえながらも、さりげなく個性を主張。大人らしく「黒」を着こなす、それがジョン・ウィックのスタイルです。

2. 実用第一主義の腕時計

場合によっては、服装以上に持ち主のパーソナリティを象徴する、大人の男に許された数少ないアクセサリー、それが腕時計。ジョンのチョイスはスイスの老舗カール F・ブヘラの「マネロ オートデイト」。モダンクラシックなデザインと優れたメカニズム、実用性が高次元で融合したシリーズで、控えめな装いの中に光る上質のエレガンスが特徴です。ジョンは装着の仕方も一工夫。文字盤のガラスが光を反射して標的に自らの存在が気づかれないよう、文字盤が手首の内側に来るよう装着しています。正にプロの知恵、お手本にしたいものです。

3.服の下に光る個性。こだわりのタトゥー

ハリウッドセレブの中では、もはやファッションツールとして、マスターピースとなりつつあるタトゥー。ジョンの所属していたロシアンマフィアの世界では、来歴を証明するためのツールとしてタトゥーが用いられてます。好んで彫られる主なモチーフは、別荘滞在時の罪名やバカンスの刑期、性的嗜好など。いわばその人の履歴書です。
しかしジョンの背中一面に彫られているタトゥーはそれらとは趣が異なります。中でも一際目を引く「Fortis Fortune Adiuvat」という文字。このラテン語の文章の意味は「幸運は勇者に味方する」。ハワイのカネオヘ湾に駐留する米海兵隊のモットーです。腕時計の身に着け方や、このタトゥーからも、彼が海兵隊出身であり、アイデンティティーがそこから去来することが判ります。

4.千変万化、シーンによって使い分けるガンアイテム

ジョン・ウィックといえば、「ガン・フー」と呼ばれる、体術と射撃のハイブリッド格闘術がトレードマーク、が故に相棒となる銃の選択は氏の生命線とも言えます。ジョンがパートナーに選んだのは、ヘッケラー・コッホ社のP30L。ドイツ連邦警察やノルウェー警察などで制式拳銃として採用されているP30の、バリエーションモデルP30Lに、コンペンセイターという精度を高めるパーツを取り付けたものを、メインに使用しています。これは威力よりも、乱戦の中での取り回しの良さと、何よりも精度を重んじる、実に“らしい”チョイスと言えます。サブとして名機グロック17の超コンパクトモデル、グロック26も携帯し、あらゆる戦況に対応。また、屋外で多数相手の中距離戦では、ケルテックのデュアルマガジンショットガン、KSGを使用。

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「コンパクト&ハイキャパシティ」が売り文句のこのアイテムの特徴は、二つのチューブラーマガジンが搭載されていることによる最大15発装填可能という容量と、二つのマガジンに異なる弾丸を装填し、セレクターによって使い分けることができるという利便性、ショットガンとしてかなり尖ったアイテムです。
またアサルトライフルにはCoharie Arms CA-415、スナイパーライフルにはDTA Stealth Recon Scout A1など、いわゆるメインストリームを外した独特なチョイス。これらを戦況によって自由自在に使い分けています。「弘法筆を選ばず」なんてのはお習字の話。より正確に、より無駄のない仕事をするためには、道具にこだわるのは当然のこと。読者の皆様も参考にされてみてはいかがですか?筆者的にはKSGなんか佇まいも素敵だし、価格も800ドルとリーズナブル、お勧めですよ。

5.省エネ何それおいしいの?男に生まれたならばマッスルカー

この文体も疲れてきました。もとい、腕時計、銃、ときたら、あとはそう車、それも大排気量のマッスルカーなら言うことなし。ジョンが、乗り回す車はどれもこれも、カーマニア垂涎の名車揃い。男なら一度は乗ってみたい。いや男ならずとも全人類憧れの名車たちを順番にご紹介します。

1969年式 フォードムスタングBOSS429

http://www.imcdb.org/i739596.jpg
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ご存じジョンの愛車。不幸にも禍根の種となってしまった車です。一目で不良BOYの心を奪ってしまったこの車、フォードが、そのエンジンをNASCARに送り込むために開発した特別車です。ボンネット上のインテークが嗜好心をあおります。生産台数はわずか限定859台。80年代の排ガス規制の煽りでその多くが潰されてしまい、現存する良コンディション車は、非常に稀少です。公称375hpとされていますが、これは規制を逃れるためのあからさまな虚偽で、本当は500hpを優に超えるモンスターカー。余談ですが、この69年式BOSS429の美コンディション車が先日オークションに出て、うっかりポチりそうになったのですが、開始価格が4600万円でした。まさに「至宝」と呼ぶにふさわしい、マフィアの息子でなくても欲しくなる逸品です。

1970年式 シボレー シェベルSSハードトップ

車屋からレンタル?押収?して、乗りつぶしてしまった車です。こちらはシボレーのマッスルカー、70年式シェベルSS。どこかで見たと思った貴方は相当な映画通。そう、「ワイルドスピード」でドミニクことヴィンの兄貴が乗ってるやつと同じです。BOSS429と同じくV型8気筒エンジンを搭載、つまりV8。イモータンジョー様も納得のチョイスですので、ジョンの怒りもこの車のおかげで少々沈静化したとか、しなかったとか。発売から40年を経過してなお、絶大なる人気を誇る名車中の名車です。

2011年式 ダッジ チャージャー

ジョンの定宿、ホテル・コンティネンタルのオーナーから、夜間の襲撃を見過ごしたお詫びとして贈られた車です。こちらもV8、6.1L V型8気筒のHEMIエンジン搭載。最近の車っぽいマッシブなボディは、ジョンの好みであったかわかりませんが、この第3世代チャージャーは、ハイウェイパトロール用としての採用実績もある車です。年式が新しい車ですので上記2台と比較すれば、かなりお求めやすい価格も魅力。中古車市場では、V8搭載モデルは450万円くらいから、普及グレードの3.6lモデルになりますと、250万円くらいで手に入ります。素人にはパッと見、排気量の違いなどわかりませんので、ジョン・ウィックを気取るには、まずこの車の購入から、が現実的です。

「一流は一流を選ぶ」、これは筆者の言葉ですが、いかがでしたでしょうか。ジョン・ウィック本人のパーソナリティにさらに深みと彩りを加える、一流のアイテムチョイスをご紹介しました。
冗談はともかく単体のアクション映画としては特筆するほど、ガジェットを中心に細部にわたるこだわりが光った「ジョン・ウィック」、「チャプター2」の公開を前に、いま一度、こんな目線でおさらいしてみるのも面白いと思います。

Writer

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アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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