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「『ジョン・ウィック』はリアリティがない」批判に監督が応答 ─ 「キアヌと僕はジョークをやっている」

ジョン・ウィック:コンセクエンス
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「『ジョン・ウィック』にはリアリティがない」。これは、キアヌ・リーブス主演の人気作『ジョン・ウィック』シリーズに寄せられる代表的な批判のひとつだ。『プラトーン』(1986)『JFK』(1991)のオリバー・ストーン監督が、最新作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を「極めて不快」「(劇中で)300~400人を殺しているが、何ひとつ真実味がない」と批判したことも記憶に新しい。

では、シリーズの全作を手がけてきたチャド・スタエルスキ監督は、この“リアリティ”問題をどう考えているのか? 米Inverseにて、スタエルスキは「(シリーズの)サブテキストは70年代の残酷なハードボイルドもの」だと述べつつ、「皆さんには笑ってほしい。キアヌと僕はジョークをやっているんだから」と語った。

「一匹の子犬のために、80人の男を殺すことがいかにバカバカしいか(笑)。たとえば、“リアルじゃない、ジョン・ウィックが生き延びられるわけがない”なんて批評を読むと、それを言うならバッグス・バニーもそうだろう、と思うんです。わかっていてジョークをやっているんですよ。だから、3人じゃなくて300人を殺すんです。」

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スタエルスキが心がけるのは、あくまでも「笑ってもらいたいけれど、笑いを取るべきだとは思わない」というスタンスだ。大切なのはギャグで笑わせるのではなく、シチュエーションの残酷さで笑わせること。「階段を10段落ちたら残酷でも、200段落ちたら笑える。ナイフを投げる時も、15メートル先からトマホーク(斧)を投げればアクセントになる。犬に攻撃させるのは時に残酷だけど、股間を噛ませればより残酷、しかしより笑えるものになる」と語る。

すなわちスタエルスキからすれば、『ジョン・ウィック』シリーズにリアリティを求めることがお門違い、ということになろう。言い方を変えれば、これは一種のアクション・コメディなのであって、リアルに命のやり取りが行われるシリアスなアクション映画ではないのだ。

今回、インタビュアーは「(『ジョン・ウィック』に)バスター・キートンやジャッキー・チェンの影響を感じる。マーシャルアーツやコミカルなスタントの歴史との繋がりがありますよね」と述べて、スタエルスキからこのコメントを引き出した。仮にリアリティがないにせよ、その裏側には別の何かがある……という話だとも言うことができる。

Source: Inverse

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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