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『ジョジョ・ラビット』誕生のきっかけ、タイカ・ワイティティの実母だった ─ 完成した映画に賛辞贈る

ジョジョ・ラビット
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation &TSG Entertainment Finance LLC

タイカ・ワイティティ監督の最新作『ジョジョ・ラビット』について、もともと原作小説をワイティティ監督に勧めたのは、ユダヤ人である実母だったという。このたび米Varietyにて、監督の実母ロビン・コーエン氏がインタビューに応じている。作品づくりのキーパーソンは、いったい『ジョジョ・ラビット』をどう観たのだろうか。

本作は第二次世界大戦下のドイツを舞台に、空想上の友達であるアドルフ・ヒトラーに背中を押されながら、立派な兵士を夢見て日々奮闘する10歳の少年ジョジョを描く物語。ワイティティ監督は、クリスティン・ルーネンズによる原作小説『Caging Skies』(2004年発表)を大胆にアレンジして映画に落とし込んでいる。原作には、監督自身が演じるヒトラーは登場せず、ユーモラスな要素も少ないという。

ニュージーランドのヴィクトリア大学ウェリントンの講師を務めるロビン氏は、ワイティティ監督がファシズムを戯画化する手法として、不謹慎とも言われかねないコミカルなタッチでナチス・ドイツを描いたことに感心している。この方法は実に勇敢で、賢く、皮肉な面白さがあり、そして希望があると思いました」と述べて称賛したのだ。

ロビン氏は、「作品を観る前から、本作によってヒトラーとナチスの描写をめぐる論争が引き起こされたことが嬉しかったんです」と話し、「未だこの社会に根付いている、うんざりするような思考や態度を描くため、タイカが小説のテーマを翻案したことを誇りに思います」ともコメントしている。また、これまで吸血鬼や神父など様々なキャラクターを演じてきた役者・タイカについては「いつも少しだけ不思議な感覚で見ていましたが、今回のちょび髭姿のタイカにはさすがに驚きましたね」とジョークも交えた。

ジョジョ・ラビット
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation &TSG Entertainment Finance LLC

ロビン氏は、ワイティティ監督が、危険なヒトラーを親しみやすい空想上の友人、そして“英雄”として描いたことについて、以下のように話している。

「今でこそ私たちは、ヒトラーが何百万人もの人々を殺害し、拷問した極悪人であったことを知っています。しかし、ヒトラーが協力を得るため、いかにして世界の半分を納得させたのかを深く考えなければならないと思います。さもなければ、同じことを繰り返す可能性があると思うからです。タイカが、ヒトラーを少年の空想上の“親しみやすい英雄”として描くことで、​​私たちが抱くヒトラーへの考え方は歪んでいきます。空想上のヒトラーは、私たちに不快な現実を思い起こさせるのです。」

ちなみに『ジョジョ・ラビット』と母親の関係について、ワイティティは以前、全米監督協会賞でのインタビューにて、「この映画は母へのラブレターでもあります」と語っていた。スカーレット・ヨハンソンが演じた、強く、美しく、聡明な母親ロージーについては「様々な映画で見た素晴らしいキャラクターたちを参考にしただけでなく、母の姿も投影しています」と。

映画『ジョジョ・ラビット』は2020117日(金)より全国公開中。

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Source: Variety

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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