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『ジョジョ・ラビット』タイカ・ワイティティ監督、戦争へのメッセージ語る ─ トロント映画祭でワールドプレミア「僕たちは語り継がなければならない」

ジョジョ・ラビット
(C)2019 Twentieth Century Fox

『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のタイカ・ワイティティが監督・脚本・出演を務める新作映画『ジョジョ・ラビット』が、2019年9月8日(現地時間)、第44回トロント国際映画祭にてワールドプレミアを迎えた。会場にはスカーレット・ヨハンソンやサム・ロックウェルら豪華キャストが集合、ついに初披露となった作品についてタイカ監督が熱く語った。

ジョジョ・ラビット
(C)2019 Twentieth Century Fox

舞台は第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョは、空想上の友だちであるアドルフ・ヒトラーの助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちにもからかわれてしまう。そんなある日、母親とふたりで暮らしていたジョジョは、家の小部屋にユダヤ人の少女が匿われていることを知る。皮肉屋で口うるさいアドルフのかたわら、ジョジョは少女と心の距離を縮めていくが……。


アカデミー賞作品賞に4度輝き、創立25周年を迎える名門FOXサーチライト・ピクチャーズとタイカ監督、豪華キャストがタッグを組んだ本作は、すでに世界中で熱い注目を集めている。プレミア当日のレッドカーペットには大勢のマスコミ陣や映画ファンが集結し、観客からは「タイカ!タイカ!」とタイカコールが巻き起こった。

ジョジョ・ラビット
(C)2019 Twentieth Century Fox

会場には脚本・監督・ヒトラー役のタイカ監督を筆頭に、主人公ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビス、ルイ・ヴィトンの真っ赤なブラウスとタイトな黒のワンピースに身を包んだユダヤ人少女エルサ役のトーマシン・マッケンジー、ニューヨーク発祥のブランド・ロダルテによるゴールドのワンピースに身を包んだジョジョの母ロージー役のスカーレット・ヨハンソン、ヒトラーユーゲント教官役のサム・ロックウェル、次官役のアルフィー・アレン、秘密警官ティエルツ大尉役のスティーヴン・マーチャントらが登場。キャスト陣はファンからのサインや写真撮影の要望に丁寧に応じていた。

ジョジョ・ラビット
(C)2019 Twentieth Century Fox

タイカ監督は、本作について「第二次世界大戦の時代が舞台となっていて、シリアス要素もある作品です。過去に何が起きて、将来何を起こしてはならないのかを、僕たちは物語を語り続け、お互いに心に留めておかなければなりません」と語った。「そのために今回は、過激さとコメディ要素を取り入れて、新たな形で描いてみました。アドルフを親しみやすいキャラクターとして演じたことは興味深かったし、(ジョジョ役の)ローマンはとても繊細で素晴らしい俳優でした」。

ローマンは「この作品に出演できて本当に幸せです。タイカにはたくさんのことを教えていただきましたし、エネルギッシュさや魅力的な脚本、演出のしかたはすごく面白かったです。ユーモラスで、クレバーで」とコメント。「想像力に溢れた映画で、ユニークでコメディタッチなところもあれば、シリアスで悲しい部分もあります。戦争の新たな部分を描いている作品です」と語った。トーマシンは「この物語は重要なものとして語り継いでいくべきだと思います。歴史の一部が、誰も予想しない方向へとユニークに描かれていきます」と話し、ローマンとの撮影を「すごく楽しくて、最高でした!10歳の男の子なのに、演技には驚かされっぱなしで。大人びているし、感情豊かなんです」と振り返った。

ジョジョ・ラビット
(C)2019 Twentieth Century Fox

作品を引き締める役割を担ったスカーレットは、「脚本に感激しました。独特の見方で、想像とは全く違う物語になったことに驚いたんです」と語る。「心に響く、人間味あふれる作品です。タイカが繊細で情熱的な人だからこそ作れた映画で、彼はユーモアで人々をひとつにする、とても賢い人。観客のみなさんが映画を楽しんでくれることを祈ります」。また、サムも「面白くて美しい、まさに完璧な、天才的な方法で物語を語る作品」と絶賛。「タイカは特別な才能だと思います。脚本を書き、監督をやり、演じることもできるから」。

同じく、アルフィーは「タイカ・ワイティティは天才。かつてない、新鮮で素晴らしい体験でした」と賛辞を述べる。「映画には少年兵が登場して、手榴弾の投げ方を教えたり…信じられないけど、本当にあったことです。そんな時代でジョジョは父親を知らず、空想のアドルフといつも一緒にいる。面白い映画ですが、心に届く作品でもありますよ」。さらにマーチャントは、タイカ監督がチャールズ・チャップリン作品をはじめ、多くの戦争映画を観ていたことを明かし、「監督はチャップリンのような、不思議で純真なヒトラーを少年の頭の中で演じています」と話した。「大人にドイツの信念を植え付けられた少年が、いろんなことを知り、成長していく。とても美しく勇敢で、楽しく、エモーショナルな物語です」

ジョジョ・ラビット
(C)2019 Twentieth Century Fox

ワールドプレミアの会場となったのは、約2,000の客席を有するPrincess of Walesシアター。上映後には約2分間のスタンディングオベーションが巻き起こった。舞台挨拶では、タイカ監督が「母から教えてもらった“Caging Skies”という小説が映画のアイデアとしてピッタリでした。素晴らしい物語でしたね、母親の説明とは全然違いましたが」と笑い、「この映画は母へのラブレターでもあります」と明かした。「僕はジョジョと同じくシングルマザーに育てられました。ジョジョの母親ロージーは、僕にとって、映画にとって非常に重要なキャラクターだし、唯一、地に足の着いた人物です」。自ら演じた空想上のアドルフは、ジョジョが生み出した“父親代わり”でもあるといい、「僕自身、いつも父親とはどういうものかを想像し、人生に父の存在を探していました。ナチス時代に育った少年ジョジョも、きっと僕と同じ思いなんじゃないかと思ったんです」

舞台挨拶の最後に、タイカ監督は本作のメッセージについてスピーチしている。

毎日、毎週、何気ない小さな間違いを、大したことではないと思って見過ごしていると、気がついた時には手遅れになり、恐ろしい結果を招きます。“些細なことだ、少数派の言っていることだ”と放置していると、過去の世界大戦のような大惨事が、取り返しのつかない過ちがまた起こってしまう。無知をそのままにして、忘れてしまう傲慢さこそが、人間の罪であり過ちなんです。この出来事を決して忘れないために、何度も何度も、語り継ぐ事が重要。私たちはどのように成長し、愛情を持ち、協力しながら前進していくのか。どんな未来を作り上げるのか。あらゆる方法で同じ物語を伝え直し、自分たちや次の世代に語り継いでいくことが僕たちの使命であり、大切なことだと考えています。」

トロント映画祭の最高賞である「観客賞(ピープルズ・チョイス・アワード)」は一般観客の投票で決められ、アカデミー賞作品賞にもっとも近い賞としても知られる。過去には『グリーンブック』(2018)『スリー・ビルボード』(2017)といった作品が名を連ねているだけに、ワールドプレミア上映で喝采と高評価を浴びた本作の受賞、賞レースでの健闘にはますます期待が高まっている。トロント国際映画祭初出品となったタイカ監督は、果たして見事初受賞の快挙となるか。

『ジョジョ・ラビット』ギャラリー

映画『ジョジョ・ラビット』は2020年1月全国ロードショー

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THE RIVER編集部
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