『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』新恐竜ギガノトサウルスは頭だけで「車と同じ大きさ」とアニマトロニクス製作者【インタビュー】

世界的大ヒットフランチャイズ『ジュラシック・ワールド』シリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では、名物恐竜T-レックスの大きさをも上回る新恐竜・ギガノトサウルス(通称:ギガ)が遂にお披露目となる。『ジュラシック』シリーズに登場する恐竜の再現には、アニマトロニクス(animatoronics)と呼ばれる、遠隔操作によって動作するロボット人形で動物を再現する技術が大きく貢献しているが、本作『新たなる支配者』では、スタン・ウィンストンやニール・スキャンランといったアニマトロニクス製作における先人のレガシーを引き継ぐ新たな人材が起用された。気鋭スタジオ「John Nolan Studio」を率いるイギリス出身のCFXアーティスト、ジョン・ノーランだ。
アニマトロニクス分野において『ハリー・ポッター』シリーズでアシスタントの経験を積んだノーランは、『タイタンの戦い』(2010)『戦火の馬』(2011)で技術者、『ロビン・フッド』(2010)ではシニアデザイナーを務め、20年以上のキャリアで豊富な大作経験を持つ。そして本作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では、アニマトロニクス製作を統括するリーダーを担った。
参加の経緯も気になるところだが、前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)から一変した物語の状況での恐竜製作という大役に、ノーランはどう挑んだのか。THE RIVERとの単独インタビューに自宅から応じてくれたノーランが制作過程を振り返る。
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』ジョン・ノーラン 単独インタビュー

── 本日はどうぞよろしくお願いします。『ジュラシック』シリーズは初参加となりますね。まずは参加の経緯を教えて下さい。
本作の(アソシエイト・)プロデューサーのティム・ウェルスプリングと別の映画でご一緒していて、彼がスタジオやコリン・トレボロウ監督、プロデューサー陣との面会に誘ってくれたんです。そこで恐竜について話しました。コリンは私に「恐竜が好きですか?」と尋ねてきて、そう聞かれるのは初めてだったんですけど、私も「好きです」と答えたら、「ファミリーへようこそ」って。それだけで、仕事が決まりました。その後は14種・計38頭の恐竜のリストを渡されて、ただ驚くばかりでした。
── あなたが率いる製作スタジオは、ロボットや怪獣、未知の動物といった様々なクリーチャーを再現されてきたと思います。特に恐竜を製作するにあたっては、どのような難しさがありましたか?
私たちは動物やクリーチャー、モンスター、人間などを作ってきましたが、恐竜についてはそれまでの映画を参考にしたり、古生物学者と働いたりすることを除いて、参照できる過去の作品がなかったので難しかったです。正直に言えば、当て推量で仕事を進めることもあって、動物園に行ったり、は虫類動物を参考にしたりすることもありました。
複雑な作業ではありましたけど、周りにいる選りすぐりのメンバーのみんなと協力して、何か間違いがあれば指摘し合うといった感じで進めました。(『ジュラシック』シリーズの)6作目に携われてよかったと思うのは、それまでの5作を参照することができたことです。スタン・ウィンストンやニール・スキャンランが手がけた視覚効果で再現されたキャラクターや、アニマトロニクスのおかげでなんとか乗り切れました。
── 『ジュラシック』シリーズ以外に、この映画の製作で参考にした作品はありますか?
正直、特に無いんですよね。映画で培った自分たちの経験のみです。参考にしたのは全て『ジュラシック』シリーズからだけです。より良いものを作ることに注意を払い、会社として、デザイナーとして新しい恐竜に何をもたらすことができるかを意識していました。具体的には、恐竜に瞳孔や舌、喉、呼吸のメカニズムを新しく加えました。
頭だけで「車と同じ大きさ」、ギガノトサウルスの再現について
