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スティーヴン・キングが考える新型コロナウイルスの「最悪のシナリオ」、過去にパンデミック描いた経験から

スティーヴン・キング
CC BY 3.0 | Porter Square Books https://www.youtube.com/watch?v=3UjQPXQ7TKU

『IT/イット』シリーズをはじめ、小説の映像化が相次いでいるホラー作家の巨匠スティーヴン・キングは、1967年以来、なんと半世紀以上にわたって“恐怖”を追求してきたクリエイターだ。そんなキングは今、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厳しい外出制限が課せられる中、“コロナの恐怖”といかに向き合っているのか。

米国のテレビ番組「The Late Show」に登場したキングは、新型コロナウイルスの現状について「あなたがこんな物語を書くとしたら、こんな展開にしますか? (今の現実は)あなたが想像しうる展開でしょうか?」という問いかけに対して、自身の代表作『ザ・スタンド』を挙げて答えた。同作は恐るべき感染力と致死率のインフルエンザが蔓延し、人類の99%が死滅してしまった世界を生きる人々の物語だ。

「『ザ・スタンド』を書いたのは1975年、76年のことでしたが、40年経った今では申し訳ないと思っています。いろんな人が、小さいマスクを着けて、“まるでスティーヴン・キングの小説の中にいるみたいだ”って言うんですよ。僕の反応は“ごめんなさい”です。」

もともとキングが『ザ・スタンド』を着想するきっかけとなったのは、1968年、米ユタ州で羊が大量死した「ダグウェイ羊事件」。現場の近くには米陸軍の実験施設があり、そこでは化学兵器の実験が行われていた。事件の前日、軍はこの施設にて神経ガスの散布実験を実施しており、これが大量死につながったとする説が有力だ。これを受けて、キングは知人の医師を訪ね、「人類の99%が死んでしまうパンデミックのシナリオを教えてほしい」と頼んだという。その医師は「インフルエンザが一番危ない。ウイルスだよ、誰にも正体がわからないやつだ」と答えたという。

「感染症の問題は、それがずっと続くということ。毎年戻ってくるし、形が変われば打つ手も変えなければいけません。コロナウイルスについても、状況は元通りになるのかもしれない。けれどウイルスは変異して戻ってくる、これが私には恐ろしい。ふたつの可能性があるでしょう。ひとつは、弱体化して戻ってくる可能性。これなら大した問題ではありません。しかし最悪のシナリオは、より強力になって戻ってくることです。そして、僕はどうしても悪いほうを考えてしまいます。すみません。」

ちなみに、長きにわたって“恐怖”と向き合ってきたキングだが、「今の現実にどう向き合っているんですか?」との質問には「みなさんと同じですよ」とわずかに笑顔を浮かべている。「だいたいは家にいて、スーパーに行く時はマスクを着けて、帰ってきたら手を洗って。だけど、想像力とは時に恐ろしいものですね。ビスケットみたいなサイズの細菌が、自分の手から腕に這い上がってくるのを想像することがあるんです」。

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Source: The Late Show

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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