初代『キング・コング』はどんな作品?2017年『キングコング:髑髏島の巨神』と比べて

2017年3月25日に公開の火蓋が切って落とされた映画『キングコング:髑髏島の巨神』。世界一有名なお猿さん、キングコングを描いた作品は今までに何度も作られ、怪獣ファンたちを熱狂させてきた。その『キングコング』シリーズの原点といえば1933年の『キング・コング』。 

http://www.imdb.com/title/tt0024216/mediaviewer/rm2418329088

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 第二次世界大戦前に作られた、クリプラがこの前インスタで(勝手に)取り上げていた名作、『市民ケーン』よりも古い『キングコング』シリーズの原点。今回は現在公開中の映画『キングコング:髑髏島の巨神』と、1933年の『キング・コング』を比べてみよう! 

【注意】

この記事には、『キングコング:髑髏島の巨神』『キング・コング(1933)』に関するネタバレ内容が含まれています。

1930年代の映像ってどうなの? 

『キングコング:髑髏島の巨神』は、ジェットコースターに乗っているかのような大迫力の映像に圧倒される。ジャングルの様子や土煙、怪獣たちの口からしたたる涎や血…コングももちろん、毛の質感がわかるぐらいリアルに描かれていた。

©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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対して1933年の『キング・コング』。もちろんCG技術はまだまだ発達していない。コングはストップ・モーション、いわゆる人形を使って撮影されている 

着ぐるみが動いているようで、コングもなんだか途中から可愛らしく見えてくるのだが、白黒の映像だからこそジャングルの不気味さや、物語の”神話っぽさ”がより際立っている。髑髏島の原住民たちの集落など、本当に彼らが住んでいるかのような凄みが感じられるほどだ。 

登場人物たちの設定は?  

2017年『キングコング:髑髏島の巨神』登場人物たちは、髑髏島に地質調査と名目を打って出向く研究機関”モナーク”の学者や軍人、戦場カメラマンなどの調査隊だ。対して1933年『キング・コング』の登場人物たちは、映画業界の人々。怪獣映画を専門とする映画監督、デナムが新作映画の撮影のために髑髏島に出かけるのである。 

『キングコング:髑髏島の巨神』はサミュエル・L・ジャクソン演じる軍人、パッカードが自分の”信念”を無理やりに突き通し、コングと敵対する姿が描かれていた。

©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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1933年『キング・コング』では、新作映画を何としてでも撮りたい映画監督、デナムの言動が印象的である。隊員が殺されても「映画のため」 とコングをアメリカへ連れ帰り、騒動が起こってもまるで全て虚構の中の出来事だったかのような言葉をつぶやく自分の望みを叶えるため、利益のためなら神殺しも犠牲もかまわない。人間の傲慢さがデナムに現れている。 

http://www.imdb.com/title/tt0024216/mediaviewer/rm1639024384

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 1933年『キング・コング』の人々は映画撮影隊なため、2017年『キングコング:髑髏島の巨神』のように大掛かりな武器は持っていない。(爆弾1発でなぜかコングをしとめることができるのだが)髑髏島での戦闘シーンはさほど多くなく、丸腰でコングから逃げ惑う男たちの様子が印象的だ。巨神の前では無力な人間の姿が、より濃く描かれている。  

時代背景の違いは 

 2017年『キングコング:髑髏島の巨神』の舞台は第二次世界大戦後の世界だ。ベトナム戦争、ソ連との冷戦。冒頭でランダが髑髏島への調査を議員に認めさせる会話では、アメリカがソ連と研究の速度や成果を争っていることが見て取れる。 

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 初代『キング・コング』が生まれた1933年では、メリカには大恐慌の影が色濃く残っていた。映画のヒロインであるアンも登場シーンはまさかのリンゴを万引きしているところだ。そこを映画監督のナムに「映画に出ないか」とスカウトされ、仕事欲しさに髑髏島へ出向くことになるのである。仕事につけず、不況に悩む当時の人々の姿が反映されているのだ 

 ヒロインの描かれ方は 

2017年『キングコング:髑髏島の巨神』では、トムヒ演じるコンラッドとブリー・ラーソン演じるウィーバーがいい感じ…にも見えたが、ロマンス要素は無し。しかし1933年『キング・コング』はがっつりロマンス要素が強い。 

 船員の青年、ジャックはアンに恋をし、二人はあっという間に親密な仲になる。アンがコングにさらわれ、船員たちで助けに行くのだが、ジャック以外の男はほぼほぼ死亡。そしてジャックがアンを無事、コングから助け出すのだ。まさに”王子様がお姫様を助け出した”という描き方である。

©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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2017年ccの女性たち。戦場カメラマンのウィーバー、研究者のリン。彼女たちは男性に混じって自分の仕事をし、そして銃を携帯している。1933年『キング・コング』で登場する女性はアンだけだ。まさに”紅一点”。自分で戦うこともなく、とびきり賢いというわけではない。下着が見えるお色気シーンだってある。

http://www.imdb.com/title/tt0024216/mediaviewer/rm898205440

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作中で”美女と野獣”という言葉が何度も使われているが、その通りアンは”コングに恋をされ、男たちに守ってもらう美女”という役柄なのだ。ここに現代と昔の、女性像の描かれ方の違いを見ることができる。 

1933年のコングは悪者? 

2017年のコングは、髑髏島の神であり、恐ろしい怪物たちから人間や他の巨大生物たちを守っていた。1933年のコングも原住民たちから神と崇められている点では同じだ。

しかし、初代コングは2017年コングのように”島を醜い怪物たちを守る”というよりは”俺のアンを奪うやつはみんな許さん”という感じだ。恐竜のような生物からアンを守るため戦う姿はなんだかいじらしい。そう、コングは原住民にさらわれ、生け贄として捧げられた美女のアンに恋をしてしまうのだ。

ンをジャックに取り返され、怒り狂った時のコングの暴れっぷりは恐ろしいものである。自分を神と崇めていた原住民たちも容赦なく踏み潰し、ニューヨークの街でも大暴れ。しかし自分のことを恐れる女性に最後まで恋をしていて、叶うことはなかった…、思うと切なくなってしまう1933年『キング・コング』はパニック怪獣映画でもあり、そして不器用な者の悲恋物語とも受け取れるだろう。 

 2017年コングは『猿の惑星:創世記』のシーザーを思わせる、堂々たる立ち姿だった。ウィーバーを助ける時も手のひらにすっぽりと彼女を隠してしまうほどの巨大さ。1933年コングはやはり人形であるので、動きはいつもカクカクとぎこちない。アンを持つとまるでリカちゃん人形を持っているようである。コングの違いを見比べてみるのも、楽しみ方の一つだ。 

『キングコング:髑髏島の巨神』

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1933年『キング・コング』。80年以上も昔の映画だが、今観ても色あせない面白さと興奮。何十年も人々に熱狂される人気の秘密は、やはり恐ろしくも愛おしく感じられる、巨神コングの魅力にあるのだろう。

時代背景や登場人物たちの設定も変わりながら、人々を魅了し続けてきた『キングコング』。次の作品でもきっと、あの日本の怪獣とのバトルでハラハラさせてくれるはずだ! 

【レビュー】『キングコング:髑髏島の巨神』に見る日本らしさ、戦争映画らしさのカラクリ

『キングコング:髑髏島の巨神』©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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フリーライター(1995生まれ/マグル)

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