【インタビュー】『キングコング 髑髏島の巨神』ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督、リアルを超える“超・リアル”へのこだわり「とにかく最高の映画を作る」

2017年2月21日、映画『キングコング 髑髏島の巨神』の完成披露試写会が行われた。THE RIVERでは、去る2月8日、本作を手がけたジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督のインタビューを実施。監督の口から、初めての大作映画で「キングコング」という一大キャラクターを扱った心境と実感、また日本のカルチャーが監督にもたらした影響を聞くことができた。

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全編に詰まった「監督のこだわり」
『キングコング 髑髏島の巨神』を製作するうえで、ロバーツ監督は「これまでにないアプローチを採用すること」、そして「なぜ2017年にキングコングを作るのか」ということにこだわったという。確かに本作は、これまでの映画版キングコングとは明らかに異なる趣向の作品に仕上がっている。
では監督にとって、「現代にコングを現代に蘇らせる時に譲れなかったポイント」とは何だったのか? そう尋ねられた監督は、まず「全部ですよ(笑)」とニヤリ。それから、映画に詰め込まれたこだわりの一部を教えてくれた。一つ目のキーワードは“時代設定”だ。
「1970年代、ベトナム戦争を背景にするのがこだわりだったんですが、これは(スタジオに)言いにくかったですね。だって70年代なんて、みんなモミアゲがすごいし、ヒゲ生やしてるし、それってアリなのか?っていう。音楽も古い曲を使わないといけないし。そういう心配はありましたが、ワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズがサポートしてくれて、自由に作ることができました。懸念されたのは、“今の人たちにとって70年代はイカした時代なのか?”ということ。そうじゃないかも、ハードルになるかも、という怖さがあったんですけど、実際には、思っているよりずっと馴染みやすい時代なのではと思います」
ロバーツ監督のこだわりを表す、二つ目のキーワードは“ビジュアル”だ。本作には、監督が幼少期から親しんできた日本のカルチャーが強い影響を与えているという。
「今回の映画は、日本のビデオゲームやアニメの影響がとても強いんですよ。リアルを超える、“超・リアル”にこだわりました。クリーチャーは今までに見たことのないものだし、コングもゴリラではないモンスターです。いろんな監督が、“自分の映画のあのシーンが好き”っていうのを聞いてると、その大体が危うくカットされるかもしれなかったシーンだったりしますよね。そこでこだわりを守り抜くのがすごく大切で。ブッ飛んだアイデアだけど、やってみようよ、というのが大事なんです」

ちなみに監督は、ジョン・C・ライリー演じるマーロウが「自分の声を代弁してくれるキャラクター」だと話している。ほかにもマーロウという存在には、映画づくりにおける監督の信条が託されているようだ。
「(マーロウが持つ)オフビート感とか、シリアスな映画に軽やかさがあるのも大事だと思います。シリアスになったりコミカルになったり、というバランス感覚がすごく好きで。一辺倒なモノトーンにはしたくなかったんです」
モンスターファイト、日本文化からの影響
先に述べた通り、本作は、かつてないアプローチで撮られた「キングコング」だ。その仕上がりには、『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督も「正統派の怪獣映画」というコメントを寄せている。またロバーツ監督の耳にも、すでに周囲からの「クレイジーなものを作ったな」という評判が届いているらしい。監督自身は、作品への自信をこう話してくれた。
「クライマックスのシーンを観ると、自分でも“僕に何百万ドルも与えるとこういう映画ができるんだよ!”って思います。究極のモンスター・ファイトになりました。子供のころに観た、いろんな作品の影響がすべて入ってるんです。夢が叶ったと思います」

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