【インタビュー】『キングコング 髑髏島の巨神』ジョーダン・ボート=ロバーツ監督、リアルを超える“超・リアル”へのこだわり「とにかく最高の映画を作る」

 2017年2月21日、映画『キングコング 髑髏島の巨神』の完成披露試写会が行われた。THE RIVERでは、去る2月8日、本作を手がけたジョーダン・ボート=ロバーツ監督のインタビューを実施。監督の口から、初めての大作映画で「キングコング」という一大キャラクターを扱った心境と実感、また日本のカルチャーが監督にもたらした影響を聞くことができた。

©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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全編に詰まった「監督のこだわり」

『キングコング 髑髏島の巨神』を製作するうえで、ロバーツ監督は「これまでにないアプローチを採用すること」、そして「なぜ2017年にキングコングを作るのか」ということにこだわったという。確かに本作は、これまでの映画版キングコングとは明らかに異なる趣向の作品に仕上がっている。


では監督にとって、「現代にコングを現代に蘇らせる時に譲れなかったポイント」とは何だったのか? そう尋ねられた監督は、まず「全部ですよ(笑)」とニヤリ。それから、映画に詰め込まれたこだわりの一部を教えてくれた。一つ目のキーワードは“時代設定”だ。

「1970年代、ベトナム戦争を背景にするのがこだわりだったんですが、これは(スタジオに)言いにくかったですね。だって70年代なんて、みんなモミアゲがすごいし、ヒゲ生やしてるし、それってアリなのか?っていう。音楽も古い曲を使わないといけないし。そういう心配はありましたが、ワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズがサポートしてくれて、自由に作ることができました。懸念されたのは、“今の人たちにとって70年代はイカした時代なのか?”ということ。そうじゃないかも、ハードルになるかも、という怖さがあったんですけど、実際には、思っているよりずっと馴染みやすい時代なのではと思います」

ロバーツ監督のこだわりを表す、二つ目のキーワードは“ビジュアル”だ。本作には、監督が幼少期から親しんできた日本のカルチャーが強い影響を与えているという。

「今回の映画は、日本のビデオゲームやアニメの影響がとても強いんですよ。リアルを超える、“超・リアル”にこだわりました。クリーチャーは今までに見たことのないものだし、コングもゴリラではないモンスターです。いろんな監督が、“自分の映画のあのシーンが好き”っていうのを聞いてると、その大体が危うくカットされるかもしれなかったシーンだったりしますよね。そこでこだわりを守り抜くのがすごく大切で。ブッ飛んだアイデアだけど、やってみようよ、というのが大事なんです」

©2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS,

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ちなみに監督は、ジョン・C・ライリー演じるマーロウが「自分の声を代弁してくれるキャラクター」だと話している。ほかにもマーロウという存在には、映画づくりにおける監督の信条が託されているようだ。

「(マーロウが持つ)オフビート感とか、シリアスな映画に軽やかさがあるのも大事だと思います。シリアスになったりコミカルになったり、というバランス感覚がすごく好きで。一辺倒なモノトーンにはしたくなかったんです」

モンスターファイト、日本文化からの影響

先に述べた通り、本作は、かつてないアプローチで撮られた「キングコング」だ。その仕上がりには、『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督も「正統派の怪獣映画」というコメントを寄せている。またロバーツ監督の耳にも、すでに周囲からの「クレイジーなものを作ったな」という評判が届いているらしい。監督自身は、作品への自信をこう話してくれた。

「クライマックスのシーンを観ると、自分でも“僕に何百万ドルも与えるとこういう映画ができるんだよ!”って思います。究極のモンスター・ファイトになりました。子供のころに観た、いろんな作品の影響がすべて入ってるんです。夢が叶ったと思います」

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なかでもロバーツ監督に強い影響を与えたのは、日本の文化だったという。

日本文化への入り口は任天堂ですね。ゲームボーイをずっと持ち歩いてたし、ファミコンは最高にクールな遊び道具でした。『スーパーマリオ』や『ゼルダの伝説』をやったりしていて。日本映画への入り口は『ゴジラ』(1954年)でした。そこから、黒澤明監督が素晴らしい、小津安二郎監督がいい、三池崇史監督が……とか、いろいろと発見したんです」

また、自らを“オタク”と自認するロバーツ監督は、その青春時代をこう振り返る。

10代の頃、みんなは女の子と付き合ったりしますけど、僕たちはひたすらアニメやマンガ、日本の食文化などのカルチャーに没頭していました。あらゆる好きなものが日本発祥だということには、あとから気づいたんです。スクウェアやカプコンのゲーム、『クロノトリガー』『メタルギアソリッド』『ドラゴンボール』。そんなアニメやビデオゲームが、僕の趣味嗜好を決定していったんです。宮本茂さんや小島秀夫さん、宮崎駿さんの作品が、もっとも大きな影響を与えてくれました」

『ゴジラ』とのつながり、どこまで意識した?

『キングコング 髑髏島の巨神』は、もちろん、単純にキングコングを蘇らせるためだけに作られた映画ではない。本作は『GODZILLA ゴジラ』(2014年)に始まった「モンスターバース」の一作であり、2020年には怪獣王ゴジラと直接対決する『ゴジラ vs コング(原題:Godzilla vs. Kong)』の公開が予定されているのだ。

初めての大作映画、しかも大きな期待を集める「モンスターバース」の一部とあって、ロバーツ監督のプレッシャーは並大抵のものではなかったはずだ。しかし監督は、まず本作を独立した映画として割り切ろうと考えたようだ。

「できるだけ一本の映画として完結させたかったんです。今の映画って、たとえば“あと9作品作りたいからこんな伏線を……”みたいになりがちですが、幸い今回は、そういうヒントを散りばめてはいるものの、伏線をつくるために脱線するようなことはしていません。とにかく今回は最高級の作品をつくること。最高級の作品を作れば、必ず観客はその次を観たくなりますから」

ロバーツ監督が、自身の触れてきたカルチャーの影響をありったけ詰め込んだ“怪獣映画であり戦争映画”、それが『キングコング 髑髏島の巨神』だ。32歳の若い感性が紡ぎ出す新たな世界観は、これまで「キングコング」に親しんできた観客には新鮮に、従来の映画版「キングコング」を知らない観客には衝撃的に映ることだろう。

映画『キングコング 髑髏島の巨神』は2017年3月25日全国ロードショー

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THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくお伝えしたいと思っています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp へ。

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