表では崇拝される優しいおじさん、裏では悪事と操り ─ デ・ニーロ史上最恐の犯罪者の姿

マーティン・スコセッシ監督の最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で名優ロバート・デ・ニーロが演じるのは、デ・ニーロ史上最恐とも言える実在の犯罪者、ウィリアム・ヘイルだ。
この人物は1920年代、石油発掘によって爆発的な富を得たオクラホマ州のオセージ族に目をつけ、財産を奪うために強奪から殺人、その揉み消しに至るまでを裏で操っていた人物だ。

表向きは“キング”と呼ばれ、皆から崇拝される慈善家だ。街の人のために尽くしているように見せ、気を配っているように見せ、人々から絶大な支持を得ていた。しかし、裏の顔は、オセージ族が持つ巨額の財産を自らのものにするため、数々の凶悪犯罪を指示した人物。「実際、ヘイルは悪の典型だった」「彼はオセージの富と領土を奪い取ろうとする。彼らを利用し操る」と、デ・ニーロが演じたヘイルの甥アーネスト役のレオナルド・ディカプリオは話す。

スコセッシ監督は、そんな2つの顔を持つヘイルについて「とても複雑。彼はまるで預言者。彼ら(白人)の時代が来たと信じている。『彼ら(オセージ族)を助けよう。ゆっくりと死に向かわせよう。楽にそうさせてやろう。文明は行き来するものだ』と話す。

劇中では、ヘイルの「オセージはこの世で最も素晴らしい人々だ」という台詞があるが、スコセッシ監督は「肝心なのは、ヘイルは彼らのことが確かに好きだったということ」と話す。スコセッシ監督が知るところでは、実際のヘイルの葬式には数名のオセージ族が参列。「だから、悪役とヒーローという単純な話ではない」という。
映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は、10月20日(金)劇場公開。
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