『ゴーストバスターズ』主演、才女クリステン・ウィグの功績に迫る

『ゴーストバスターズ』公開が迫っている。

関連ニュースについては、当サイトで何度か取り上げていた。そこで、今回は本作の主演女優であるクリステン・ウィグについて、そして、彼女が主演に抜擢された歴史的な意味について大いに語ろう! 

ジャド・アパトーに認められ、アカデミー賞候補にまで

『オデッセイ』(’15)でハリウッド大作にも進出した彼女のキャリアはコメディエンヌとしてスタートした。ブレイクは『サタデー・ナイト・ライブ』。2005年から2012年まで常連キャストとしてアメリカのお茶の間の人気者になる一方で、数多くの映画にも出演する。特に注目すべきなのは『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』や『寝取られ男のラブ♂バカンス』といった、ジャド・アパトー関連のコメディ映画だろう。

ジャド・アパトーはアメリカ喜劇界の大御所。映画、テレビを中心に監督、脚本から製作まで積極的にこなす超売れっ子クリエーターだ。しかし、彼の凄さはそれだけではない。アパトーは人を見る目がハンパなく研ぎ澄まされているのである。実際、アメリカでは「アパトー・ギャング」という言葉があるくらい、アパトーに気に入られた俳優たちは次々にブレイクを果たしていく。セス・ローゲンもジョナ・ヒルもポール・ラッドもみんなアパトー・ギャングの一員だ。アパトーが優秀なのは、才能ある役者を自作で起用して名を売るだけでなく、脚本の書き方や映画製作のノウハウを教え込み、独り立ちさせるから。そして、大物になったギャングたちが、今度は後輩を同じやり方で育てていく。どういうわけか、日本では劇場公開の機会が少ないが、アメリカのコメディ映画のすさまじいクオリティの高さは、アパトー・ギャングたちの功績によるところが大きいのだ。

クリステンもまた、そんなアパトーにライターの仕事を学んだ。そして、書いた脚本が『ブライズ・メイズ 史上最悪のウェディングプラン』(’11)。アパトー製作で映画化された本作で、クリステンはアカデミー脚本賞にノミネートされる。映画も大ヒットし、クリステンはテレビのスターからハリウッドスターへの道を歩み始める。

『ブライズ・メイズ~』はアパトーが得意とする、アラサーからアラフォーの男たちのリアルな恋愛事情や家庭、職場での悩みを描くコメディの女性版だ。結婚式で新婦の一番の親友が任命される「メイド・オブ・オナー」の座をめぐって繰り広げられる醜くも可愛い争いは、成人女性たちの共感を呼んだ。男性であるアパトーでは書けない女性の本音を、クリステンは見事に表現したのである。

 

女優・クリステンの魅力と功績

ghostbusters

クリステンの女優としての魅力は何か。それは、知的な美人でありながらも、「行き過ぎでないところ」だろう。それに加えて、若作りをしていないことである。例えば、一時期ラブコメの女王と呼ばれていたメグ・ライアンが、年とともに人気が没落していったのは、若さにしがみつき、美容整形を繰り返し、美形ヒロイン役にしがみついてしまったからだ。しかし、クリステンは年相応の役柄を背伸びせずに演じ続けている。『スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方』(’14)などの低予算映画に出演しても嫌味なくなじめてしまうのも、サンドラ・ブロックのようにスターぶった鼻につく演技をしないからだ。

そんな彼女は同業者からの評価が異常に高い。ベン・スティラーやドリュー・バリモアといった俳優仲間達が、監督作の重要な役どころでクリステンを起用したのは決して偶然ではない。ベンにせよ、ドリューにせよ、ハリウッド的なスターシステムが本来的には苦手な人達だ(ベンは『メリーに首ったけ』の現場でスター然と振舞っていたキャメロン・ディアズと不仲だったし、ドリューは子役時代にハリウッドの誘惑に飲まれてしまってから心を入れ替えた)。そんな気概のある映画人にこそ、クリステンは好かれるオーラがある。

そして、『ゴーストバスターズ』である。本作の監督は『ブライズ・メイズ~』のポール・フェイグ、そして共演は『ブライズ・メイズ~』でアカデミー助演女優賞にノミネートされたメリッサ・マッカーシー、つまり、クリステンも含め『ブライズ・メイズ~』のフォーマットを意識したスタッフとキャストが集結している。オリジナル版が公開された1984年、スターといえるアメリカのコメディ女優はゴールディー・ホーンくらいのものだった。しかし、現在では人気シリーズの最新作を、しかも過去作では男性キャストが並んでいたシリーズを、女性だけでメインキャストを張れるほどになったのだ(クリス・ヘイムワーズは除くとすれば)。そういえば、『ピッチ・パーフェクト』など、現在のハリウッドでは女性チームが主演のコメディ映画の勢いが目立つ。その流れを作り出し、現在も中心にいるのがクリステン・ウィグだといっても過言ではないのである。

About the author

京都在住、農業兼映画ライター。他、映画芸術誌、SPOTTED701誌などで執筆経験アリ。京都で映画のイベントに関わりつつ、執筆業と京野菜作りに勤しんでいます。

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