カイロ・レンの傷の位置は、なぜ『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で移動したのか

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の予告編が公開となった。
映像の情報量自体は決して多くはないものの、待ちに待った待望の映像とあり、世界中のファンは既に様々な考察や推理を展開している。
その中でも、カイロ・レンの顔にある傷跡が『フォースの覚醒』でレイにつけられた時の位置と異なっている、という発見は、様々な推察を呼んだ。
『フォースの覚醒』終盤、スターキラーでライトセーバーを握ったレイと一騎打ちになったカイロ・レンは、覚醒したレイと競り合った後、顔面への斬撃を受ける。その際、額の中央から眉間、右頬にかけて走る傷跡ができてしまった。
イビツな傷跡は、アダム・ドライバーの整った顔立ちを不気味な形で文字通り”キズモノ”にしており、カイロ・レンの悲劇性をいっそう引き立てた。多くのファンによる二次制作イラストも生み出している。
ところが、『最後のジェダイ』予告編に登場した素顔のカイロ・レンの傷跡は、何故か左目上にサクっと刻まれたものに変わってしまっているのだ。
https://youtu.be/9428Q-QMsCc?t=1m30s
一体、何がどうして傷が移動してしまったのだろうか。早速ファンらの間では「ミスではないか」「フラッシュバックか何かではないか」と様々な推理を始めるが、とあるファンがTwitterでライアン・ジョンソン監督に直接問いかけた所、監督自ら以下のように弁明を行っている。
@origonalname113 @mutlubulutlar @StarWarsNewsNet @TheLastKylo It was my decision to slightly adjust it, and that was my justification. It honestly looked goofy running straight up the bridge of his nose
— Rian Johnson (@rianjohnson) 2017年4月19日
「私の判断で少し調整しました、という弁明です。正直、鼻筋の上から傷があると間抜けに見えてしまって。」
そんなのあり?
つまるところ、審美性の問題で傷の位置を改変したライアン・ジョンソン。しかし、スター・ウォーズほどファンが作品史実や考証に熱心な作品で、このような大胆な改変は賛否両論待ったなしであろう。
監督の弁明に対し、ファンからは「まぁ、間抜け感は拭えるかもしれないけど、もうカイロの傷ではないね」という意見や、「ライアン・ジョンソン、細かいことにいちいちうるさいスター・ウォーズ・ファンの世界へようこそ!」といった皮肉な激励も飛んでいる。
今回の傷位置移動問題が、”細かいこと”であるかどうかは、ファンひとりひとりの価値観によるだろう。あるファンの「なんで皆がそんな大事(おおごと)にしてるのかがわからない。こっちの方が見た目がカッコいいんだから、いいじゃん」という素朴な本音に対しては「だってスター・ウォーズだよ、全てが大事なんだよ!」との意見も。
この件が許せるか、納得できるかどうかは別として、しかしながらスター・ウォーズの歴史ではこれまで度々の改変がなされているのも事実だ。もはや具体例を挙げるまでもないが、『特別版』関連の改変については未だ議論の絶えないものもある。
そのことを示唆するように、ライアン・ジョンソン監督は『帝国の逆襲』オリジナル版で見られたホログラムの皇帝の劇中画像を無言でツイート。ご存知のように、この皇帝は後のDVD版でイアン・マクダーミドが演じたものに置き換えられている。「審美的な改変は事例もあるケースだから、認めてね」という意思表示だろう。
@lizea77 pic.twitter.com/hjaGcS40QF
— Rian Johnson (@rianjohnson) 2017年4月19日
この改変、あなたはどう思う?個人的には、『フォースの覚醒』では”不名誉の勲章”といった生々しさを感じさせた傷跡が、『最後のジェダイ』ではかつてのアナキン・スカイウォーカーの傷を想起させるような”カッコいい傷”となり、カイロ・レンの”中二”っぽさが一層引き立ったように感じられるが…。もしかしたら、もっと正当化できるような驚くべき理由が隠されているのかもしれない。
『スター・ウォーズ / 最後のジェダイ』は2017年12月15日公開。