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なんて映画撮るんだよ、もう!『ラ・ラ・ランド』は「映画の大傑作」だ!

僕は正直「ミュージカル映画」にあまり関心がありません。映画といえばアクション・サスペンス・バイオレンスのいずれかがあってナンボという、偏重した嗜好の持ち主です。当然、同ジャンルを熱心に見てはいませんので、今作『ラ・ラ・ランド』にもそんなに食いついていなかったのですが、アカデミー作品賞最有力候補と騒がれていることとか、なんかウチの編集長が盛り上がりすぎてロケ地のLAまで行っちゃったとか、デミアン・チャゼル監督の前作『セッション』(2014)でJ・K・シモンズが「ファッ○ンテンポ!」バチーン!とかやっててある意味バイオレンスで最高だったからとか、内容とは全く関係ない興味が募って2月24日(金)日本公開封切りの日におめおめと鑑賞してきました。

上に書いたようなミュージカル映画とのこれまでの距離感から、見るまでは、鑑賞してもレビューを書くつもりはなかったのですが、この『ラ・ラ・ランド』が僕にとって、何というかあまりに深く刺さってしまったため、とにかく感想文程度のことでも残しておきたくなりキーボードを叩いている状態です。

【注意】

この記事には、『ラ・ラ・ランド』に関する微ネタバレ内容が含まれています。

Copyright © GAGA Corporation. All Rights Reserved.
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映画『ラ・ラ・ランド』、まずこのタイトルに騙されていました。その軽快な語感やロサンゼルスを文字ったテキストから、同じくショービジネスを題材にしたミュージカル映画『シカゴ』(2002)や『プロデューサーズ』(2005)、または『バーレスク』(2010)のような、ショービジネスでの成功を夢見る人間たちのテンプレート的な成功群像劇、実際のミュージカルも好んで扱う「似たようなテーマ」の映画だと思っていたのですが、監督・脚本のデミアン・チャゼルを甘くみていました。考えてみりゃ20代で『セッション』(2014)撮っちゃうような人が、そんなオーソドックスな(失礼)作品作るわけもなかったのです。

ラストシークエンスから逆算されたような伏線

映画序盤から中盤にかけては、予想が当たったかのように色彩豊かで軽やかないわゆるミュージカル映画っぽい演出が続きます。見ていて楽しく、画角の色彩設計やカットをほぼ割っていないようなシークエンスの連続に引き込まれますが、何となく「よくできたミュージカル演出」を見せるためだけに存在すると見流していたそれらのシーンが、ラスト、まるで大聖堂のステンドグラスのように組み合わさり、巨大な奔流となって観客の感情に襲いかかってきます。「全てがこのためにあったのか」思う間も無く、ピアノの音色と共にスパッと幕を閉じる物語。このラストに圧倒されたまま終わってしまう感覚は監督の前作『セッション』とどこか通じるものがありますが、あちらはその盛り上がりがヴェンジェンス的と言いましょうか、「よっしゃ!やってやれ!」という高揚感を伴った盛り上がりだったのに比べて、こちらはもう為す術もない「胸を切り裂かれるような痛み」に押しつぶされます。本当、なんて映画作ってくれちゃってんだよ、座席からしばらく立ち上がれなかったぞこっちは。

この『ラ・ラ・ランド』、褒めるべきところは数限りなくあり、主演俳優陣の演技も歌もとにかく素晴らしいの一言ですが、特に凄みを感じるところはやはり「構成」です。うつろいゆく季節、美しい景観、見事な楽曲、微笑ましい場面、何気無いセリフ、それら全てがまるでラストシークエンスから逆算した伏線のように配置されています。鑑賞を終えるまで絶対に気付きませんが。そしてミュージカルという手法で散りばめたそれら場面を、「映画でしか成し得ないやり方」でラストに集約させる脚本、この映画は「ミュージカル映画」ではありません。ミュージカルの場面もある「映画の大傑作」です。デミアン・チャゼル監督、「天才」の疑いありです。

この映画をどう受け取るか。おそらく観客の年代や、生き方によって大きく分かれるでしょう。「何を犠牲にしても叶えたいこと」がある若人にとっては背中を押してくれる力があり、夢が過去のものとなった人間にとっては耐え難い切なさを、あるいは過去の決断を悔やんでいる人間にとっては一層の慚愧の念を喚起してしまうかもしれません。僕自身、忘れていた色んな記憶や感情を思い出してしまい、映画の世界から現世へ戻ってくるのにしばらく時間がかかりました。

「夢追い人に乾杯を」。季節は移ろい人は変わっていきます。その中で自らの中にある「消えない光」を追うことの意味とは何か。「恋愛ミュージカル映画」なんてわかりやすいレッテルを貼る前に、おそらく2017年年間ベストを本命として争うであろうこの一大傑作、是非劇場でご覧ください。アカデミー賞取っちゃってからだとさらに混みますよ!あ、ハンカチ・タオルは忘れずに!

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Writer

アクトンボーイ
アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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