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【保存版】『ラ・ラ・ランド』全曲完全解説 ─ サントラ収録曲を知り尽くす

ラ・ラ・ランド
La La Land © 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.

映画『ラ・ラ・ランド』(2017)は、ミュージカル映画として数々の名曲が物語を彩る。楽しく、華やかに、そして切なく。この記事では、『ラ・ラ・ランド』サウンドトラックに収録の全曲について、複数の資料を元に余すことなく立体的に解説しよう。

Another Day of Sun

ラ・ラ・ランド
© 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

同作の音楽監督であり、サウンドトラックのプロデューサーを務めたマリウス・デヴリーズは、「オープニング曲はいつだって極めて重要だ」と語る。映画の幕開けを飾る同曲は、今作がミュージカル映画であることを宣言する大事な役目を担った。作曲のジャスティン・ハーウィッツは、「まず始めに”この映画はミュージカルです。登場人物は歌うし、踊ります。楽しいことがいっぱいですよ”と告げたかった」と紹介。最終版に至るまで何度も書き直し、吟味に吟味を重ねたという同曲を、マリウスは「ボーカルアレンジと演出、ロジックが最も複雑になった」と言う。


ジャスティンも、同曲の作曲は「大変だった」と振り返っている。幾度となく続いた書き直しは、「コーラスを入れられるようになった頃には、すっかり心が折れていた」と言うほど。ちなみにその印象的なメロディがジャスティンに”降りてきた”のは、ヴェネツィアにてデイミアン・チャゼル監督と同じ部屋で作業をしていた時のこと。デイミアンが脚本を執筆し、ジャスティンが何となくピアノをいじっていた時にメロディが浮かび、デイミアンも気に入ったのだという。

「Another Day of Sun」の歌詞は、夢追い人の理想と現実の過酷なギャップに対し、それでも「また新たな日が始まる」とあくまでも前向きに歌うもの。これから『ラ・ラ・ランド』で描かれる主題を象徴するような内容となっている。「何についての曲にするかを確立するのはすごくトリッキーだったけれど、ベンジー(作詞)とジャスティンがポエトリーとナチュラリズムの間、狭義と広義の間の完璧なバランスを見出してくれた。L.Aのルーティン生活への賛歌です」とマリウスは紹介している。

なお、同曲が高らかに歌い上げられるオープニング・シーンの撮影舞台裏の苦労は以下の記事でご紹介しているので、あわせてご参考頂きたい。

道路を封鎖して撮影した?

Someone in the Crowd

報われない日々に辟易としていたミアを、ルームメイトの友人がパーティーに連れ出すシークエンスで華やかに歌い上げられるのがこの「Someone in the Crowd」だ。マリウスは「この曲も複雑だった」と振り返る。

アパート内から路地へ、そしてパーティー会場、プール、最後には花火も上がる同曲シークエンスは、「色々なピースが、色々なタイミング、色々な場所で展開されるので、製作には何年も費やした」とジャスティン。別の場でも「この映画の中で一番ヤバい撮影だった」と振り返っているから、相当な労力を要したようだ。映画ではカラフルなジェットコースターのような見事な映像となったが、バラバラに撮影されたショットが上手く繋がった映像を見て、マリウスもホッとしたという。ちなみに撮影に至るまでの楽曲制作にも苦労があり、一度は気に入っていた歌詞を2014年時点ですべて放棄し、ジャスティンはまた新たな歌詞で作曲に打ち込んでいる。

マリウスによればこの曲は「編集段階で変更が生じた、珍しい曲」なのだという。「当初は”2番”があって、もう少し演出と振り付けがあったんです」と言うことは、幻の2番があるということか。なお、カットされた理由は、「ここではもっと物語を進めておくべき」との判断のため。ジャスティンはもう少し詳細を語っていて、「観客がミアの感情の起伏を見失うようだったから。ルームメイトたちを長く追いすぎていたので、カットしたんです」とのこと。

Mia and Sebastian’s Theme

ジャズ・バーの演奏にアーティスト性を込めたいセバスチャンと、ツイてない出来事が連続して気の落ちているミアが出会うシーン。繊細な表情をしながらも、行き場のない感情が絡みつくようなピアノ演奏を聴くことが出来る。

「ここで大事なのはライアン(・ゴズリング)。彼のピアニストとしての旅路の下積み時代です」とマリウス。ライアン・ゴズリングは今作のため実際にピアノをイチから練習しており、映画で観られる演奏シーンは手元のアップまで全て差し替え無しだ。

このシーンの撮影は本作の中でも初期に行われており、マリウスはその撮影時のエピソードを共有している。

「皆ちょっと緊張していました。でもライアンの1テイク目が終わると、拍手が巻き起こるまで少なくとも10秒は皆驚いてシーンとしていましたね。」

A Lovely Night

ラ・ラ・ランド
La La Land © 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.

プールパーティーで再会したミアとセバスチャンは、2人で互いの車のもとまで戻る。マジックアワーの夕空に包まれながら、歌とタップダンスに乗せた2人の心は触れ合う手前まで接近する。

ジャスティンによれば、同曲はメインテーマよりも早く、最初期に作られた曲だそう。作曲が初められたのは2011年のこと。マリウスからは、もともと完成版とは全く異なる歌詞で準備が進められていたことが語られている。その内容は「ウィットに富んだ、クレバーな」ものだったというが、ライアンとエマの2人がキャラクターのトーンに合わないと感じたため書き直しに。作詞のベンジーとジャスティン・ポールが「繊細で、落ち着いた、穏やかに浮ついた、自惚れたような」歌詞を書き上げた。「それがあのシーンと楽曲に完全にハマってくれました」とマリウス。その内容についてジャスティンは、「絶対ありえないから、と言い合うものです。付き合うなんてありえないし、どうとも思ってないって。でも同時に、お互いに興味を持っている様子が見られます。恋に落ちているところなんですよね」と語る。

Herman’s Habit

ラ・ラ・ランド
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ジャズは好きではないというミアを、セバスチャンはジャズ・バーに連れていく。そこで演奏されていた「Herman’s Habit」は、プリプロダクション(本撮影前の準備作業)時に最初にレコーディングされたもので、本物のミュージシャンを起用した。ドラムにピーター・アースキン、ベースにケビン・アックスト、サックスにボブ・シェパード、トロンボーンにアンディー・マーティン、トランペットにウェイン・バージェロン、ピアノはランディー・カーバーといずれも一流揃いだ。ミックスは、数々の映画音楽の仕事で知られるニコライ・バクスター。

マリウスは語る。「『ラ・ラ・ランド』の製作で最大の喜びのひとつは、製作で地元の音楽関係のコミュニティとしっかり連携する様子が見られることでした。だからこそ、この映画が放たれる土地の感覚を強めてくれるのだと思います。」

City of Stars

“スターの街よ、その輝きは俺のため?” ライトハウス・カフェでジャズへの理想論を語ったセバスチャンは、どうやら夢に向かって着実に歩んでいる様子のミアと別れた後、ひとり桟橋で黄昏るように歌う。”素敵な恋の始まりなのか あるいはこれも また叶わない夢なのか…”

セバスチャンは口笛を吹くが、実はライアン・ゴズリングは口笛が吹けないそう。代わりにこの場面では、ジャスティンの口笛に差し替えている。

ちなみにこのシーンの撮影時、美しいマジックアワーに包まれた水平線に、かなり大きな米軍戦艦が写り込んでしまっていた。後にプロデューサーのマーク・プラットが「10分ほどで消してくれた」とはマリウス談。

Planetarium

ラ・ラ・ランド
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ボーイフレンドやその仲間とのディナーに同席したミア。それまでBGM程度にしか認識していなかったジャズに、かつてない愛着を覚える。セバスチャンへの想いを確信したミアは店を飛び出し、彼の待つ映画館へ向かう。2人は『理由なき反抗』(1955)を上映する映画館から、グリフィス天文台へと移動する。

「『Planetarium』の始まり、2人が振り子の側でワルツを踊るところでは、演奏が気まぐれなんです」とジャスティン。そわそわするような2人の関係性を表現しているのだ。「フルートは震えていて、ピッチパーカッションとソロの木管楽器が互いに対話しているんです。」

演奏は、2人の距離感に呼応して盛り上がっていく。溢れ出すような頂点に達するのが、互いへの想いをついに抑えきれなくなった2人が、プラネタリウムが映し出す満天の星空の中にふわりと浮かぶ瞬間だ。ジャスティンはこの部分のスコアを解説する。

「舞い上がる瞬間は壮大にしたかったので、ティンパニ・ロールをアップビートで少し入れて、それから弦楽器隊の全部が各々のテクスチャーを持って入ってくるようにしました。それぞれがメロディの上にありながら、それぞれの旋律が調和し合っているんです。それから木管楽器が敷かれて、とは言っても互いが対位旋律になっています。」

「Planetarium」に大きな影響を与えた作曲に、フランスの生ける伝説ミシェル・ルグランによる傑作「シェルブールの雨傘」がある。最も、マリウスは「ジャスティンがたどり着いた優雅で洗練されたオーケストラ演奏は、他の(正当な)褒め言葉の中でちょっと見過ごされがちだと思う」と述べている。

Summer Montage/Madeline

ラ・ラ・ランド
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夏の始まり、恋の始まりだ!デートを始めるようになったミアとセバスチャンの幸せの日々を、楽しく爽やかに彩る「Summer Montage/Madeline」。「この曲がミアとセバスチャンの関係の絶頂期だ」とマリウスも認める。確かに、2人にはこの後ほろ苦いすれ違いが続くこととなる。

実はこの曲、当初はコーラス隊を使いながら、ミアとセバスチャンのデュエットを聴かせる運びだったという。その名も「La La Land」とのタイトルまで付けられており、他のメイン曲と同じくらい長い時間を費やしていた。「だから、手放す時は少し辛かったですね。映画の流れがこの曲の重さを支えきれないと分かってしまったんです」とマリウス。

City of Stars (duet)

偶然再会したかつての仲間キースのバンドに加入することになったセバスチャンだが、保守派のセバスチャンはバンドの方針に心から納得できない。2人の生活のためには金を稼がなければならないことも分かり始めていたセバスチャンの前に、現実が顔を出す。それでも、今のセバスチャンにはミアという安らぎがあった。”スターの街よ その輝きは俺のため?”ピアノの弾き語りを始めたセバスチャンのもとに、ミアが寄り添って歌う。

2人のボーカルはライブ・オンセット、つまり別撮りでなく撮影時に歌われたもの。劇中唯一、弾き語りに挑んだライアンにもご注目。

Start a Fire

セバスチャンが加入したキースのバンド「ザ・メッセンジャーズ」で華々しく演奏された「Start a Fire」を、マリウスは「これはジャズの純性と先進性のせめぎ合いを表したデイミアンのニュアンス表現によるものです」と解説する。「それが、ミアとセバスチャンの深刻な関係性の明示になっていく。」

キースを演じ、このシーンで魅力的な歌声を聴かせているのは有名歌手のジョン・レジェンド。「オーディナリー・ピープル」など多くの名曲で知られ、グラミー賞10冠に輝く超実力派シンガーだ。『ラ・ラ・ランド』は映画初出演となった。

デイミアンがジョンにオファーを出した頃、まだジョンを出演者として迎え入れるか、楽曲提供のみとするか決めかねていた。一方ジョンは、ミュージシャンを描いた監督の前作『セッション』(2014)を観て「彼ならうまくやってくれそう」と感じていたという。ちなみに、同作でピアノからタップダンスまで習得したライアン・ゴズリングの才能には「実はちょっと嫉妬しました」と語っている

エレクトロ・サウンドなど現代的なアプローチをふんだんに取り入れた「Start a Fire」のライブでは、ダンサーまで登場する派手な演出でフロアを湧かせた。セバスチャンのプレイを見に来ていたミアも、始めこそ華やかなステージングを喜んだが、セバスチャンの思想とはあまりにもかけ離れたバンドの創造性に戸惑う。

ジョンが語るには、デイミアン監督が同曲に求めたのは「実際にいい曲であり、普通に聴けて、楽しいもの。でもセバスチャンがやりたい方向性とは明らかに違うもの。そのバランスを狙っていました。」

「革命を起こすなら、伝統に固執するな。過去にしがみつくなよ。ジャズは未来だ。」──革新派のキースは、ジャズに対する価値観がセバスチャンとは真逆。「お前はケニー・クラークやセロニアス・モンクにこだわるが、彼らだって革命家だっただろ。」ミュージシャンであるジョン・レジェンドには、キースの考えが分かるという。

「キースの言っていることには同意です。音楽やあらゆる芸術における”偉人”は、過去の真似事ではなく、その芸術で革命的なことをやってきました。過去に影響されたり歴史にヒーローを見出すことも重要ですが、前進して新しい何かを創り出すことも、同じくらい重要。成功したアーティストは皆、どれだけ他のアーティストから影響を受けていようが、革新的なことをやっているものです。」

Engagement Party

やがて2人は、互いの間に決定的な「価値観の違い」が存在することに気付いてしまう。セバスチャンは仕事の予定を失念しており、ミア初の独演舞台に行きそびれる。駆けつけた頃には既に終演しており、ミアにとっても舞台は失敗に終わった。全てに限界を感じたミアは実家に帰ることを決意。再びセバスチャンは独り身となり、ミアは実家の自室で夢破れたことを思い知る。

「Engagement Party」は、セバスチャンがピアニスト役を務めた結婚式のパーティで演奏される。幸せそうな新郎新婦と自身の境遇のギャップにやるせなさを感じさせる曲だ。「運命の誰かに出会えるかも」と歌った「Someone in the Crowd」のスローアレンジになっている点も切ない。マリウスは、「(「Someone in the Crowd」にあった)豪華なパーティーのエネルギーを、この穏やかで切なく、鬱な形に変化させたのが愛おしい」と語っている。

Audition

ミアの夢は潰えていなかった。独演舞台を観た関係者が、オーディションの場を設けたいとセバスチャンに連絡していたのだ。セバスチャンは彼女をロサンゼルスに連れ戻す。

これまでオーディションでさんざんな目に遭ってきたミアはこの日も気乗りしない様子だったが、最初に映画の具体的な企画内容を聞かされた彼女の目に「チャンスかも知れない」という反応が見られる。オーディション内容は自由演技。ミアは叔母の物語を語り始める…。

ジャスティンにとっては、「おそらく今作の中で一番好きな曲です」と語るほどのお気に入り。どうやら、閃きに恵まれた作曲プロセスのためでもあるようだ。

「たとえば、他の曲ではインスパイアを得るためにフレッドとジンジャー(※)の曲や色々な参考曲を聴いたのですが、『Auditon』の時は何も聴きませんでした。何にも似せようとしませんでした。ただピアノで作曲したんです。だから、非常にピュアな形で生まれた、感情が作り上げた曲のように思います。ピアノの前に座って、この曲はどうなるのかな、歌詞が入ったらどういう曲になるのかな、と考えていたのはとても良い経験になりました。」

※:フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースは、1930年代から1950年代にかけてハリウッドのミュージカル映画で活躍した名コンビ。

ジャスティンに曲が降りてきてから完成までは早く、書き直しは微調整程度だった。重要なのは撮影だ。「あの曲を彼女と準備して、撮影に挑むまでは長かったです」とジャスティンが語る一方で、マリウスは次のように述懐する。

「エマにとっては間違いなく大事な場面でした。現場の彼女に対し、私達は皆不安でした。エマ1人の撮影ですし、クローズアップも多く、メロディも高低あって難しい。ストーリーの中でも非常にエモーショナルな部分です。それに、ボーカルも現場で録音されるのですから。」

そんな心配は杞憂だったことは、本編をご覧になれば分かる通り。マリウスは「彼女は大健闘でした」と、ジャスティンも「素晴らしい仕事をしてくれた」と語る。「映画の中で聴けるのは、すべて彼女のライブ歌唱なんですよ。」

撮影時、エマは小型のイヤフォンを装着し、別室でジャスティンが弾く電子キーボードに合わせて歌った。「彼女はリハーサルでモノにしてくれました。」エマは撮影日までに猛練習を積み、仕上がった状態だった。ジャスティンは「彼女が曲をリードしてくれて、私はただ同伴しただけでした」と語る。「全テイクがこれまでにない経験でした。撮影時の形式であの曲を演奏したことがなかったからです。現場の全員が感動しきりで(エマの演技を)見ていましたね。」

「Audition」の歌詞は、ミアが女優を目指すきっかけとなった叔母の昔話。冷たいセーヌ川に飛び込んで、風邪を引いてもまた飛び込むという叔母に、夢追い人の姿を重ねたものだ。ジャスティンは、「このメッセージは明白で、飛び込む価値はある、ということ」と解説する。

「この曲のテーマは、ミアとセバスチャンの関係にピッタリと結びついています。それから愛と喪失を経験した私達にもね。恋をして、燃え尽きて、痛む心を抱えなければならないこともあるかもしれません。それでも、試す価値はある。彼女の歌詞は最後にこう言います。”笑って跳んだ。おばは言った、もう一度跳ぶと──”」

Epilogue

5年後の冬。2人は、思い描いていた未来とは違う道を歩んでいた。オーディションに合格したミアは、今やハリウッド女優として成功していた。ハンサムで優しい夫デイビッドと結婚し、子宝にも恵まれた。一方セバスチャンは、念願のジャズ・バーを開業。大好きなジャズをたっぷり演奏できる日々を過ごしていた。

そのジャズ・バー「SEB’s」に、ミアは夫と偶然入店(いや、運命と言うべきか)。ミアは、今や人気店のオーナーとなったセバスチャンを見上げ、セバスチャンも客席にミアを見つける。別れる前、「ずっと愛している」と交わしたはずの2人に「あり得たかもしれない現実」とは──。マリウスが語る。

「信じられないほど大胆なシークエンスで、『ラ・ラ・ランド』における感情表現がいかに複雑であるかをよく表しています。後悔、記憶、受け入れ。そのダンスが、豊かな映像によるストーリーテリングと結びつく。哀愁とユーモア、無邪気さと喜びが創造的なプロセスの中で全てひとつになって踊り、ラストへ向かっていく。ミアとセバスチャンの間の、名残惜しい視線です。」

なおラストシーンには、ジャスティンが自宅のピアノで演奏していたものを離れたマイクで録音した音源が使われている。「デモのつもりだったのですが、その儚い響きをデイミアンが気に入ったんです。スタジオでしっかりレコーディングしたものではありません。でも、求めていた感情が表現できていたので使ったんですよ」と語るのは、幻想が現実に重なる場面で儚く聴こえる、涙のようなピアノの単音演奏だ。

あり得たかもしれない現実。何かが、どこかで違っていれば、ミアとセバスチャンは今も一緒にいたのかもしれない。当たり前のように手を繋いで、何気ないジャス・バーに立ち寄っていたのかもしれない。

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Source:The Independent(1,2),Variety,WTOP,EW,NYLON

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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