シム・リウ、日本のファンに伝えたいこと ─ アベンジャーズ、デジモン、日本旅行を語る単独インタビュー『ラスト・ブレス』公開記念

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)『シャン・チー/テン・リングスの伝説』で初のアジア系単独ヒーローを演じ、一躍世界的ブレイクを果たした中国出身のシム・リウ。2025年9月26日より日本公開を迎える出演最新作『ラスト・ブレス』では、“地球上で最も危険を伴う職業”と呼ばれる飽和潜水士の実話を基に、人当たりはぶっきらぼうだがプロ意識が強い中堅潜水士を演じている。
リウは本作で、ウディ・ハレルソンと肩を並べて共演できるほどの売れっ子俳優に。ブレイクするまではストック写真のモデルをしていたり、ミュージックビデオでエキストラをやったり、ハリウッド大通り現地で有名なぼったくりコスプレイヤーに20ドル騙し取られたりと、リアルな下積み時代のエピソードも多く持つ等身大の男だ。
THE RIVERでは、シム・リウ本人とZoomを繋ぎ、本作『ラスト・ブレス』の裏話やマーベル作品での最新の状況、さらに日本愛やキャリアについて深掘りインタビューを行った。

『ラスト・ブレス』シム・リウ 単独インタビュー
──シム・リウ、今はとっても忙しいと思いますが、こうして日本のファンのために時間を割いてくれてありがとうございます。
もちろんです!喜んで。日本のファンの皆さんに、この『ラスト・ブレス』を観てもらえることをすごく楽しみにしていたんです。
──ところで、日本に来たことはありますか?
ありますよ!でも、すごく弾丸旅行だった。フィアンセと一緒に、東京に4〜5日だけ。それ以来、フィアンセとはずっと日本の話をしています。彼女、東京と京都がすごく気に入ったみたいで。だから、早くまた行きたくてウズウズしてるんです。
──日本で何か面白いものは見つけましたか?
たくさん見つけましたよ!こっち北米では、日本に行ったことがある人に「どうだった?」って尋ねたら、日本旅行についても日本の食事についても、誰も一つも悪いことを言わないんですよ。本当に、何から何まで、日本って国ごと、文化ごと愛されているんです、こっちでは。
僕の場合、すぐに思い出されるのは、ご飯が美味しすぎて衝撃だった。もともと日本食は大好きだし、ここロサンゼルスにも日本食はたくさんある。寿司からカツ丼、ラーメン、焼肉まで、こっちにも全部ある。でも、日本で食べたものは別モノだった。もう異次元。
特に、日本の知り合いから「ピザは絶対食べた方がいい」って勧められたんです。どういうことだと思いました。ピザ?日本食じゃないよね?って。そしたら、「いやいや、日本のピザは素晴らしいんだ、『聖林館』っていう店に行ってみて」と。だから聖林館に行って、長い間待って、ようやくテーブルに通されて食べてみたら……それはもう、人生で食べたピザの中でも最高に美味い一枚だったんです。
──さて、『ラスト・ブレス』はとてもスリリングで楽しめました。観ている間、息が詰まりそうな心地。とてもパワフルで刺激的で、これが実話だとは信じられません。僕もかつてスキューバダイビングをよくやっていて、水中の訓練でちょっとパニックになったことをはっきり覚えています。だからあなたの訓練もすごくハードだったと思う。しかも、今作で挑んだのは飽和潜水というもので、スキューバダイビングとはまた違ったものだそうですね。どんな違いがありますか?恐ろしかった瞬間はありましたか?
その通りです。飽和潜水と、いわゆる普通のスキューバダイビングは全然別モノなんです。スキューバは娯楽やバケーションのために行うもの。酸素タンクを背負って、レギュレーションをつけて潜りますよね?水中にいる時間は数分で、そして上がってくる。
飽和潜水の場合は、より深くに潜って作業をするので、もっと暗闇に包まれます。本作は水深100メートルまで潜りましたが、実際には水深200メートルや300メートルまで潜ります。海底では、何もかも勝手が違います。ウェットスーツとフィンではなく、海底を歩けるように重いブーツを履くんです。スキューバのように酸素ボンベも2本背負うんですが、深さによる水圧のため、多量のガスがかなりコンパクトに圧縮される。だから、その酸素は3〜5分間の量しかない。それ以外は、アンビリカルケーブルと呼ばれるものを通じて海上から供給されるんです。
なので、この映画の撮影準備を始めた時、そういう器材が多かったから、訓練も多くやる必要があった。まずは普通のスキューバダイビングを始めて、レギュレーターの使い方や、フィンでのキックを覚える。それを数週間やったら、今度は今まで覚えたことを一旦全部忘れて、ヘルメットなどの新しい機器を使って完全に新しいことを学び始めるんです。なので、それなりに大変でしたね。そういう機器を使うときは、必ず不具合や故障の可能性はつきまとう。そんな時は「ドント・パニック」です。何が起こっても、焦らずに、とにかく息を続ければ大丈夫です。

──まるで宇宙に挑むようです。
うん、そうですね。実際の飽和潜水士の皆さんとお話しさせていただいたのですが、確かに宇宙飛行士と同じような感覚をお持ちでした。