少年の心からの願いが奇跡を起こし、日系人男性との友情に涙する『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』レビュー

メキシコ最大の映画賞・ルミナス賞で作品賞、最優秀監督賞、新人賞の3冠を受賞し、数々の映画やTVシリーズに出演し、ハリウッドで活躍する日本人俳優・尾崎英二郎の出演でも話題になっている『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』。メキシコ出身の新鋭監督、アレハンドロ・モンテヴェルデがアメリカ人の少年と日系人の友情を通して、戦争に対する真摯なメッセージを発信している感動作だ。

アメリカが第二次世界大戦を戦っているころ、カリフォルニア州の小さな漁村で暮らす、ジェイコブ・サルヴァーディ演じる8歳の少年ペッパーは、とても背が低く、“リトル・ボーイ”と揶揄されていた。ある日、デヴィッド・ヘンリー演じる兄のロンドンが偏平足を理由に入隊審査に落ちてしまったことで、マイケル・ラパポート演じる父のジェイムズが徴兵されることになる。そんなある日、合衆国への忠誠を示した日系人が収容所から釈放されることになり、ペッパーたちの住む町にケイリー=ヒロユキ・タガワ演じる日系人のフジモトが現われる。
最初は父親を捕虜にした日本兵を想像して忌み嫌うペッパーだったが、窓を割ったことで、トム・ウィルキンソン演じる司祭からフジモトに親切にするように言われる。ペッパーは渋々フジモトに会い、彼の人柄に次第に心を開いて友情を深めていくというのがストーリー。

この映画の主役はペッパーを演じるサルヴァーティだが、もうひとりの主役といえるのがフジモトを演じるタガワ。これまでに映画やTVシリーズに出演してきた名バイプレーヤーが人種差別にも負けず、ペッパーの成長を見守りながらも友情を育むというフジモト役を抑えた演技で熱演。アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされてもおかしくないほどに素晴らしく、彼の演技を見ているだけでもグッとくる。

そして、ふたりの友情のほかにも感動ポイントとなるのが、ペッパーと父親ジェイムズとの親子の絆。父親の無事を願ってペッパーが取る行動は、最初は奇異に見られるが、その純粋な心が起こす奇跡がさらなる感動を生む。映画が持っている反戦へのメッセージは見ている者に確実に伝わるはずだ。
そして、存在感のある演技を見せるのが尾崎。ペッパーが勇気を奮い立たせるきっかけとなるキーマンとなる役を演じている。出演している場面は少ないが、ハリウッドで活躍する日本人俳優としてさらなる活躍を期待せずにはいられない。

Eyecatch Image:http://www.washingtontimes.com/news/2015/apr/15/cal-thomas-little-boy-a-classic-modern-film/

About the author

小学館のテレビ雑誌『テレパル』の映画担当を経て映画・海外ドラマライターに。小さなころから映画好き。素晴らしい映画との出会いを求めて、マスコミ試写に足しげく通い、海外ドラマ(アメリカ、韓国ほか)も主にCSやBS放送で数多くチェックしています。

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