【ネタバレ】『ロード・オブ・カオス』衝撃ラスト、ユーロニモス役ロリー・カルキンが語る裏側

この記事には、『ロード・オブ・カオス』のネタバレが含まれています。

『ロード・オブ・カオス』では、バンド「メイヘム」の漆黒の歴史に基づく事実が描かれる。バンドのリーダーであり、「ヘルヴェテ」設立者や「インナーサークル」の中心人物としてシーンに君臨したユーロニモスは、まるで邪悪さのコンテストを競うようだったメンバーのヴァーグから歪んだ恨みを買い、刺殺されてしまう。それは奇しくも、ユーロニモスがヴァーグとの確執の精算を準備し、メタル・アーティストにとって魂とも言えるロングヘアを切った直後のことだった……。
THE RIVERが「撮影で一番大変だったことは何ですか?」と尋ねると、ロリーは「ユーロニモスとヴァーグの対決シーンですね」と答えた。「実際に起った殺人事件の再現をしなくちゃならないわけですし、真剣にやりたかったから」。
映画では、「ユーロニモスが自分を殺そうとしている」との勘違いをこじらせたヴァーグが、激しい殺意と共にユーロニモスのもとにやってくる。ユーロニモスの一挙一動を怪しむヴァーグは、突然ナイフを取り出してユーロニモスの腹部に刺突。隙を見て逃げ出そうとするユーロニモスの懸命さもむなしく、ヴァーグにめった刺しにされ、ついに絶命してしまう。
こじれた友情、覇権争い……。暴力的でショッキングな最後を撮影するにあたって、ロリーは、ヴァーグ役のエモリー・コーエンとはあえて距離を置いていたという。
「撮影期間中ずっと一緒にいたので仲良くなっていたんですが、あのシーンに入るときには前日から距離を置きました。激しい感じを出せるように努めました。彼がかなりの激しさで(撮影に)挑んできたので、僕もその激しさに合わせようと。あの日はまる一日かけて階段のシーンを撮ったんですけど、いやぁ、キツかった(苦笑)。」
映画のラストでは、ファンたちがユーロニモスを追悼した献花や献灯の数々にあわせ、「やめろよ 湿っぽいぞ」「俺の死を悲しむことなんてない」とボイスオーバーされる。『ロード・オブ・カオス』は話が進むにつれダークになっていくが、最後の最後に、純粋だった頃の初期衝動を思い出させるのだ。哀しいラストであることは間違いないが、ユーロニモスの功績を讃えた、どこか妙な明るさがある。
そう伝えるとロリーは喜びながら、「確かに劇中では恐ろしいことが沢山起こるけど、彼らはアーティストであり、プロモーターだった。でも、どこかでタガが外れてしまった」とユーロニモスたちの漆黒の青春を振り返る。「でも、彼らはアーティストなんだってことを忘れないで、って。そういうエンディングでしたよね」。

監督のジョナス・アカーランド監督は『ロード・オブ・カオス』でのユーロニモスらの描き方について、「彼らは怖いモンスターではなく、普通の若い青年だったということは伝えたかった。人間らしさの部分」とインタビューで話している。「それは監督である僕の責務でもあった。あと、彼は有能なビジネスマンだったし、クリエイティヴ性も高かった。そして、若くてイノセントだったということ。もし彼が今の時代でも生きていたら、とてもすごい人になっていたと思う」。
『ロード・オブ・カオス』は2021年3月26日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにて公開中。以降順次公開。