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【ネタバレ】「ロキ」第6話、黒幕の正体とは ─ フェーズ4の重要な伏線に

ロキ
(C)2021 Marvel

この記事には、「ロキ」第6話『とわに時を いつまでも』のネタバレが含まれています。

ロキ
(C)2021 Marvel

「ロキ」最終話にて、時の終わり「シタデル」で待ち構えていたのは、ミス・ミニッツが「在り続ける者(He Who Remains)」と紹介する謎の人物だった。「全ての創造主であり管理者」というから、一体どのような恐ろしい黒幕が登場するのかと思いきや、姿を現したのはごくごく一般的な姿の人間。青りんごをかじりながら、飄々とした態度でロキとシルヴィを出迎えた。

この人物は一体誰なのか?「ロキ」最終話では、結局エンドクレジット表記に至るまで「在り続ける者」としか紹介されなかったが、彼は2023年2月に米公開予定の映画『アントマン&ワスプ:クアントゥマニア』のメイン・ヴィランとされる、カーンだ。『クアントゥマニア』にカーン役でキャスティングされているジョナサン・メジャーズが、一足先に「ロキ」でMCUデビューすることとなった。

劇中でも「支配者」「征服者」など様々な呼ばれ方をしてきたと語られていたように、カーンは原作コミックなどで「征服者カーン(Kang the Conqueror)」と呼ばれる強大な存在。複数の世界に同時に存在し、あらゆる時空間の征服を試みるヴィランだ。

Marvel.comで「ロキ」脚本家マイケル・ウォルドロンが「カーンはおそらく、複数の映画をまたぐ次期巨大ヴィランになる」と話しているように、征服者カーンはサノスに続くラスボス級キャラクターとなるはずだ。「彼はタイムトラベルもできるし、マルチバースに存在する敵だから、そうなるのも頷けます。多元宇宙間戦争のアイデアを思いつき、プロデューサーたちにプレゼンしたら、“是非それでいきましょう”と」。

「ロキ」最終話では、カーンが“黒幕”として我々のまだ知らない壮大な裏側を明かした。31世紀の地球に暮らしていたカーンの変異体である科学者が多元宇宙の原理を発見すると、カーンは変異体同士で接触し、知識や技術を共有しながら平和に過ごしていた。しかし、その中で宇宙征服を企む邪悪な変異体が合わられ、多元宇宙間での全面戦争が勃発する。

「ロキ」に登場した平和主義的なカーンは、現実の裂け目から創られた怪物「アライオス」の力を制御・活用し、多元宇宙間戦争に終止符を打った。そして我々の知る時間軸だけを切り離し、「神聖時間軸」として時間の流れを管理し、分岐の発生を防いでいたのだという。TVAとは、このための使者だったのだ。

「ロキ」プロダクション・デザイナーのカスラ・ファラハニによれば、カーンの登場は当初から見込まれていたようだ。その伏線として、「シタデル」の城に見られた、金の筋の入った黒石を、TVA内のあらゆる場所に散りばめていた。米Marvel.comでファラハニは、レンスレイヤーのオフィスの彫像、法定の台、タイムキーパー(のアンドロイド)のいた部屋に続くエレベーターなどは全て同じ石から彫られたものだったと明かしている。

オフィス以外はほぼ廃墟と化したシタデル城の有様が示していたように、カーンは時間の管理者としての責務に疲れ果てており、ロキとシルヴィにその座を譲るオファーを提示する。あるいは、カーンを殺して全てを終わらせることもできるが、その代わりに、別世界のより邪悪なカーンたちが解放させられてしまうという。これを信じなかったシルヴィはカーンを刺殺。カーンが「近いうち会おう」とだけ言い残して絶命すると、時間軸が無数に枝分かれする様子が描かれる。

おそらくシルヴィが殺害したカーンは、複数いる変異体の中でも最も平和的で穏やかな個体で、今後はより凶暴で尊大なカーンが登場することになるのだろう。コミックでのカーンは緑と紫のコスチュームに、紫のヘルメット、青紫の仮面のようなデザインで知られる。TVAに戻ったロキは最後にカーンの石像を目にするが、これはコミックでのカーンのコスチュームを模しているようだった。(ちなみに、ここでロキが飛ばされた世界は「別のタイムライン」であると、ファラハニはMarvel.comで認めている。)

原作コミックでのカーンの出自はドラマとは異なっており、『ファンタスティック・フォー』に深い由来を持っている。『ファンタスティック・フォー』リーダーのミスター・ファンタスティック/リード・リチャーズの父親ナサニエル・リチャーズは、もともと自分のいた世界線(アース-616)から別の世界線(アース-6311)に移り住んでおり、そこでは英雄として称えられていた。ナサニエルの移住から長い月日が流れた30世紀、ナサニエルの子孫として登場したのが征服者カーンなのだ。『ファンタスティック・フォー』はMCUで再映画化が予定されているから、ここにカーンが関わってくることも十分考えられる。

征服者カーンを解放した「ロキ」最終話は、言わばパンドラの箱を明けてしまったようだ。MCUは今後、2021年8月11日にアニメシリーズ「ホワット・イフ…?」の配信を控えている。「もしもの世界」を描くという外伝要素の強い作品のように思われたが、「ロキ」最終話を経ると、なぜ「ホワット・イフ…?」が「ロキ」の後、そして『スパイダーマン』3作目や『ドクター・ストレンジ』2作目といったマルチバースに深い関係を持つ作品の前に配信されるのか、妙な合点がいく。トム・ヒドルストンは「ホワット・イフ…?」で「MCUでの様々なことが設定されていく」と予告。おそらく我々は「ホワット・イフ…?」の各エピソードにて、分岐したタイムラインのひとつひとつを見ていくことになるのだろう。もし、その背後に征服者カーンの悪意があるのだとしたら……?

Source:Marvel.com(1,2

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。