兄・ソーがいないから描ける、弟・ロキのアイデンティティ ─ マーベル「ロキ」のテーマ、トム・ヒドルストンらが予告

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のドラマシリーズ「ロキ」は、『マイティ・ソー』(2011)での登場以来はじめて、ロキというキャラクターを独立した個人として捉える物語となる。これまでのロキには、いつも兄・ソー(クリス・ヘムズワース)との関係性から存在を定義づけられてきた部分があった。しかし本作では、ついにその本領をのびのびと発揮することになる。
米Entertainment Weeklyにて、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、本作実現の経緯について「ロキは長らく、いろいろな冒険をしてきました。その空白を埋めたい、ロキ自身の物語を見たい、というのが最初の思いでした」と語っている。主演のトム・ヒドルストンは、ファイギからの打診をこのように振り返っている。
「ケヴィン・ファイギには、“ソーとの関係性から独立したロキを描くべきだと思う”と言われました。僕としても、ある二重性の中にいるロキ、他者との関係性の中にいるロキを見せるのはすごく面白いと思った。(『マイティ・ソー』の)3部作にあったオーディンソンの物語は完結しているので、本を開き直し、語り直す必要はありません。」

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)において、『アベンジャーズ』(2012)当時のロキは四次元キューブを手にして逃走。“世界の時間”を監視する組織・TVA(Time Variance Authority)に捕縛されたロキは、改変した現実を元に戻さなければならなくなる。本作で製作総指揮を兼任するヒドルストンは、ロキの能力や性質を改めて掘り下げられることに惹きつけられたようだ。
「ロキの混沌としたエネルギーが私たちには必要なのだ、という考え方が気に入りました。とはいえ、さまざまな理由から、彼を信じていいのかはわかりません。裏切られるかもしれないし、行動の動機も読めない。変身してしまえば、彼自身でさえ、自分が何者なのかわからないのではないかと思います。しかし彼は、自分自身に興味があるんでしょうか? 外見や魅力、知性は自分を守るものですが、その下に本物の自分があるのかどうか。それを知るために内省することがあるのか、知る勇気があるのか。こうしたアイデアは、アイデンティティや自己認識、自己受容、その難しさというテーマにつながっています。」
本作は“時間”や“現実”を描くストーリーだが、脚本・製作総指揮のマイケル・ウォルドロンは「キャラクターについて、もう少し複雑な問いを投げかけたかった」とも語っている。「単なる善悪の対決にはしません。完全なる善、完全なる悪は存在するのでしょうか? 何がヒーローをヒーローたらしめ、何がヴィランをヴィランたらしめるのかを描きます」。
ちなみにヒドルストンは、本作がコロナ禍の影響を受けていることも強調した。「このシリーズは“時間”や“時間の価値”、時間の価値とは何か、そして生きることの価値とは何かを描いています。ロックダウン中の出来事が反映されているかどうかはわからないところもありますが、ある意味では確実にそうなっているでしょう。私たちが作るものはすべて、その時の世界を写し取るものですから」。パンデミックの影響で一時中断を余儀なくされた撮影についても、ヒドルストンは「人生で最も大変で、最もやりがいのある経験として残っていくと思います」とも語った。
ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ「ロキ」は2021年6月9日(水)16時より日米同時配信。
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Source: Entertainment Weekly