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「ロキ」ドラマ版、テーマは「アイデンティティとの格闘」 ─ MCU映画の10年間を経て、さらに掘り下げる

マイティ・ソー バトルロイヤル
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のドラマシリーズ「ロキ(原題:Loki)」は、これまでの映画で描かれてきたロキのテーマをさらに掘り下げ、より深めていく作品になりそうだ。脚本・製作総指揮を務めるマイケル・ウォルドロンは、本作のロキが、自身のアイデンティティをめぐって葛藤することを明かしている。

「ロキ」は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)以降を舞台に、ロキが人類史のあちこちに出没し、歴史的事件に影響を与えていく物語。米国のポッドキャスト「The Writers Panel」にて、ウォルドロンは「ロキ」のテーマを「アイデンティティと格闘すること」だと語っている。「自分は何者なのか、どんな人物になりたいのか。(自分の)コントロールをめぐって戦うキャラクターに大きな魅力を感じています」

そもそも、このテーマは、『マイティ・ソー』(2011)での初登場以来、ロキが常に向き合ってきたものである。雷神ソーの弟であるロキは、兄へのコンプレックスに苦しみ、自らの出自に悩み、家族への怒りを抱え、それゆえに、一時はサノスの手先として地球侵略を目論んだこともあったのだ。それから『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)まで、ロキは“自分自身”を手に入れるまでの物語をゆるやかに歩んできたのである。

もちろん、ウォルドロンもこれまでの流れをしっかりと受け止めている。“アイデンティティとの格闘”というテーマは「これまでの10年間、映画のロキで見てきたもの」だと認め、「彼は人生の大切な時期、自分をコントロールすることができなかった。すべてにおいて、家族への怒りや恨みが現れていた」と分析しているのだ。MCU全体の流れでいえば、その上に何を描くのかが本作のポイントといっていいだろう。

ロキに生命を吹き込み、多くのファンから愛されるキャラクターに育て上げたのは、俳優のトム・ヒドルストン。以前、ドラマへの出演にあたっては、「真摯に演じる、新たな挑戦をもって表現するとなると、あらゆる意味で彼を変化させなければいけません」と語っていた。「ロキに特別な才能や知性があり、人を裏切り、悪さをし、そして魔法を使うことはご存知ですよね。そんな彼が、見たことも聞いたこともないような恐ろしい敵に出会うのです」と。それからトムは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)冒頭シーンの謎や、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)におけるスペース・ストーンの謎が本作で解けることも認めている

「ロキ」は全6話構成で、物語は『ドクター・ストレンジ』(2016)の続編『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』に直結する。出演者にはトム・ヒドルストンのほか、『ナイト ミュージアム』シリーズのオーウェン・ウィルソン、『美女と野獣』(2017)のググ・バサ=ロー、『イエスタデイ』(2019)のソフィア・ディ・マルティノー、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)のリチャード・E・グラントが参加。製作総指揮・脚本は「リック・アンド・モーティ」(2013-)のマイケル・ウォルドロン、監督はNetflixドラマ「セックス・エデュケーション」(2019-)のケイト・ヘロンが務める。

なお、本作の撮影は2020年1月に開始されたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、3月中旬より一時中断となっている。米国配信は2021年初旬と告知されているが、製作の遅延によるスケジュールへの影響は不明だ。

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Sources: The Writers Panel, Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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