『ロード・オブ・ザ・リング』新ドラマ「力の指輪」は6つのストーリー軸で展開へ、冥王モルゴスの「悪影響下に」 ─ J・A・バヨナ監督、単独インタビュー

2000年代初頭、世界を熱狂の渦に巻き込んだファンタジーの王の帰還が近づいている──
J・R・R・トールキン著『指輪物語』の中つ国第二紀に迫るドラマシリーズ「ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪」が2022年9月2日に配信開始となる。米Amazon Studiosが手掛ける本シリーズでは、ピーター・ジャクソン監督の映画版3部作では描かれなかった冥王サウロンの台頭と諸悪の根源となった指輪創造の物語が紐解かれる。
全5シーズンとされている本シリーズで、物語のスタートを切るシーズン1第1&2話でメガホンを取ったのは、J・A・バヨナ監督。ギレルモ・デル・トロ監督に見いだされ『永遠のこどもたち』(2007)で監督デビューを果たしたバヨナ監督は、『インポッシブル』(2012)『怪物はささやく』(2016)などを経て、2018年に『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を手がけたことで世界的に名を知られるようになった。
THE RIVERは、ハリウッド超大作からそのまま大作路線を進み続けるバヨナ監督に単独インタビューを実施。多くが謎に包まれている「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」について、ストレートに直撃してきた。監督によると、どうやら物語は6つのストーリーに別れた群像劇となっているようだが、最後には1つの場所へと集結していくことになるという。気になる新旧キャラクターの活躍についても語ってくれた。

「ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪」J・A・バヨナ監督インタビュー
── 本日はよろしくお願いします!
どうも、こんにちは。
── 監督、実はTHE RIVERのインタビューには2度目の登場です。前回は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の時でした。お話をまた伺うことができて光栄です。
こちらこそです。ありがとうございます。
── この作品に監督が参加されると聞いた時、ものすごいスケールになるんだろうなと確信しました。企画には、どのようにして参加されたのでしょう?
この作品では、オファーを頂きました。ショーランナーのパトリック(・マッケイ)とJ・D(・ペイン)から電話をもらった後、腰を据えて話し合いました。二人とは初めてお会いしたので、作品についても、どんな話になるのかも全く分かりませんでした。映画版で描かれた出来事を繰り返すんだろうかとか、『シルマリルリオン』(『シルマリルの物語』)の映像化になるのかとか、色々考えましたけど、その時は全く情報は入っていませんでした。
話してみたら、嬉しいことに驚かされました。『指輪物語』の付録でさらっとしか触れられていないような第二紀を映像化するというアイデアも優れていました。本シリーズでは、トールキンがデザインした世界に対して堅実かつ一貫したように感じられる取り組みの術があっただけではありません。これまでに見たことのないキャラクターや世界を伝える上での自由も多く与えられていました。

── 先程『シルマリルの物語』について触れていましたが、やはり本シリーズはエルフの歴史をベースにしているのでしょうか?
いや、必ずしもそういうわけではないんです。この作品は、どちらかといえば第二紀の出来事を年代記的に記した『指輪物語』の付録を基にしています。そこでの出来事が描かれます。
── 本シリーズは徹底的な原作研究がなされているようですが、監督自身、製作開始前にトールキンの小説は読み直しましたか?
もちろんです。10代の時に初めて読んだ小説をもう一度手に取って、親しんでおきたいと思って。トールキンの世界は綿密に設計されていて、詳細も豊富に記されているので、素晴らしいツールになります。私たちが必要としていた全てがそこにはありました。
原作研究、映画版を超える野心
── ドラマ史上最大規模の予算が費やされていることでも話題です。監督は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を手がけましたが、同作で得た経験や知識は活きましたか?
間違いなく活きました。次の作品に向きあうという時、これまでの作品一つひとつが多くの糧になってくれます。『ジュラシック・ワールド/炎の王国』や『怪物はささやく』といった映画を例に挙げると、本シリーズでは技術的に難易度の高い視覚効果の経験が大きく役に立ちました。