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完璧な黒人高校生は優等生か、それとも怪物か ─ 『ルース・エドガー』公開決定、アメリカの矛盾と人間存在の本質えぐる

ルース・エドガー
© 2018 DFG PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

誰からも愛され、称賛される、17歳の黒人高校生ルース。彼は完璧な優等生か、それとも恐ろしい怪物なのか。人間の謎めいた本質とアメリカの現実をえぐるサスペンスフルなヒューマンドラマ『Luce(原題)』が、邦題『ルース・エドガー』として、2020年5月15日(金)より全国公開される。

バージニア州アーリントンの高校生、ルース・エドガーは文武両道に秀で、スピーチやユーモアのセンスにも長けた17歳の少年だ。アフリカの戦火の国で生まれた過酷なハンデを克服し、さまざまなルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われているルースは、自由の国アメリカで希望を象徴する存在へと成長した。しかし、とある課題のレポートをきっかけに、ルースは同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立し、“順風満帆”の日常が揺らぎはじめる。ルースが危険な過激思想に染まっているのではないか、というウィルソンの疑惑は、ルースの養父母である白人夫婦エイミーとピーターにも疑念を抱かせるのだった。果たして、ルースは本当に“完璧な優等生”なのか、それとも世間を欺く“恐ろしい怪物”なのだろうか。

J・C・リーの同名戯曲を映画化した本作は、観る者に強烈な問題提起を突きつける。主人公ルースは成績優秀なスポーツマンで、誰とでも分け隔てなく接するオープンな人柄。アフリカ系移民で、白人の養父母に育まれてトラウマを克服したルースは“バラク・オバマの再来”とも称されるが、その真意は不明なのだ。ルースの“完璧な優等生”というイメージは、両親や校長らが一方的に押しつけたものではないか。真逆の“恐ろしい怪物”という見方も、極端に偏った思い込みではないか。人種・容姿・性別・階級・学歴・思想・信仰など、人間の“価値”は何によって決定されるのか。アメリカという国の歴史や政治をも取り込み、理想と現実をあぶり出す一作だ。

ルース・エドガー
© 2018 DFG PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

本作は2019年のサンダンス映画祭でプレミア上映されるや批評家に絶賛され、全米の映画賞で20以上のノミネートを達成。優れた独立系作品を選定するインディペンデント・スピリット賞でも監督賞・主演男優賞・助演女優賞に名を連ねた。

主人公ルース役は『イット・カムズ・アット・ナイト』(2017)や『WAVES/ウェイブス』(2020年4月10日公開)で主演を務めたケルヴィン・ハリソン・Jr.。プライベートに問題を抱えながら、ルースと敵対する教師ウィルソン役には『ドリーム』(2016)『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)のオクタヴィア・スペンサー。ルースの養父母役はナオミ・ワッツティム・ロスが演じ、観客の視点を担う役どころに説得力を与えた。

監督・脚本は『クローバーフィールド・パラドックス』(2018)のジュリアス・オナー。ナイジェリア出身のアフリカ系移民であり、物語の舞台となったバージニア州アーリントンで育った新鋭監督が、洗練された語り口と、繊細にして多面的な心理描写で、深刻な矛盾をはらむアメリカ社会の現状をえぐり出しながら、“人間”という存在の本質に鋭く切り込む。絶え間なくスリリングで、心揺さぶる映像世界が、観る者を白熱のクライマックス、深い余韻を残すエンディングへと誘い、それぞれの想像力で変わる“真実”を浮かび上がらせるだろう。

映画『ルース・エドガー』は2020年5月15日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

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THE RIVER編集部
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