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洋画にありがち? 何故だかよく見る『倒れてる人』のポスターが意味すること

2017年1月28日に公開される映画、『ゾンビ・サファリパーク』
ある女性がゾンビと孤島で対決するアトラクションに参加するという内容の斬新なゾンビ映画だ。 

そして2月18日に公開されるのが『ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男』 

こちらの新作映画2つのポスターをご覧頂きたい。

http://www.imdb.com/title/tt3923662/mediaviewer/rm2626885888
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http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k236299066
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『ゾンビ・サファリパーク』のポスターでは、氷の上で主人公と思われる女性がたった1人で仰向けに横になっている。『ライク・ア・キラー』は手前に赤いワンピースを着た女性がうつぶせで倒れており、奥には三人の人間が見える。人が体を横たえていて、背景はシンプル…みなさんどこかデジャヴにかられないだろうか? 

同じ構図のポスター 

https://www.amazon.co.jp/ファーゴ-DVD-フランシス・マクドーマンド/dp/B00005V2NC
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こちらは1996年公開のコーエン兄弟によるクライムムービー、『ファーゴ』。真っ白な雪景色のなか、赤いジャンパーに青いデニムを履いた男がうつぶせに倒れている。 

https://www.amazon.co.jp/パーフェクト・ホスト-悪夢の晩餐会--DVD-デヴィッド・ハイド・ピアース/dp/B0057373ZK
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2011年公開の『パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会』。このポスターも真っ白な部屋の中、男がうつぶせに倒れている。奥には”ホスト”と思われし人物がテーブルに座り、こちらを睨みつけている。 

https://www.amazon.co.jp/スイミング・プール-DVD-シャーロット・ランプリング/dp/B00I2LTND4
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2004年公開のフランス映画、『スイミングプール』。キラキラと光るプールのそばで、ビキニ姿の女性があおむけに寝そべっている。女性がビキニ姿で・・・というところは、『ゾンビ・サファリパーク』と同じだ。 

https://www.amazon.co.jp/SAW-ソウ-DTSエディション-DVD-ケアリー・エルウェズ/dp/B00067HCXU
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大人気シリーズの『SAW』1作目でも、白い部屋の中で男性がうつぶせに倒れている。そして2人の男性が、倒れている男性の様子を伺う様が描かれている。 

「この映画を観よう!」と決めるきっかけの1つとなるポスター。”人がシンプルな空間で横たわっている”という構図がとても多いのだ。なぜこんなにも人が寝そべっている、倒れている構図が好まれているのだろうか?

「そういえば…」と感じられる疑問について、これらのポスターが持つ意味について、大真面目に考えてみよう。 

”寝そべる人”の意味  

私たちは”寝そべっている人”を見て、何を思うだろうか? 

あおむけならば寝ている、休息をとっている。無防備な状態。 

うつぶせならば寝ているともとれるし、倒れているとも思う。苦しそうだなあとも思うかもしれないし、道のど真ん中で人がうつぶせになっていたとしたら「具合が悪そうだ」「大丈夫かな?」と思うはずだ。 

 

『ライク・ア・キラー』『ファーゴ』『パーフェクト・ホスト』ポスターでうつぶせになっている人々は血こそは流していないものの、「何があったのだろう?」と私たちに思わせる。

『スイミング・プール』であおむけになっている女性はビキニ姿でのんびりとしているが、寝ている姿はプールのわき。寝返りをうったら水の中に落っこちてしまいそうだ。別にジョジョ立ちをしているわけでもない、この”寝そべっている”という姿が、私たちに様々な想像を駆り立てるのだ。 

空間が多い構図 

人が寝そべっている、という以外にこれらのポスターで共通すること。それは周りの空間の多さ、そして色合いも極めてシンプルということだ。 

『ゾンビ・サファリパーク』『パーフェクト・ホスト』『SAW』『ファーゴ』の背景はどれも白。『ゾンビ・サファリパーク』『ファーゴ』は真っ白な氷、雪景色の中に人物1人しか存在していない。 

http://www.imdb.com/title/tt0324133/mediaviewer/rm2297796864
http://www.imdb.com/title/tt0324133/mediaviewer/rm2297796864

『ライク・ア・キラー』のポスターの部屋の中と見られる空間は青。『スイミング・プール』も青い水が大部分をしめている。そしてどのポスターも白、青、赤、黒のほぼ4色しか使われていないことが分かる。 

雑多に散らかっているところに、ポンと物が置いてあっても、それは決して目立たない。何もない空間に何か1つものが置いてあったとしたら、例えそれが小さなものであっても目が惹きつけられる。だから私たちはポスターを見た瞬間に横たわっている人物に注目させられる。 

そしてそのシチュエーションが、だだっ広い雪景色だとしたら?氷の上だとしたら?いかにもひんやりと冷たそうな床のタイルの上だとしたら?

絶対に人が横たわらないであろうシチュエーション、そしてそこに存在しているのは”何かあったであろう”その人だけ…ぽっかりと空いた空間は私たちに”異常だ”という意識を植え付けているのだ。 

人々の立ち位置 

『SAW』の倒れている人物はポスターの真ん中に存在している。『パーフェクト・ポスト』『ライク・ア・キラー』の倒れている人物たちはポスターの一番手前側に存在していて、その他の人物は奥側に座りこちらに眼差しをやっている。 

普通、物語の最も要となる人物、力があると思われる人物はポスターの真ん中、一番手前側に置かれていることが多い。

『X-men ファースト・ジェネレーション』のポスターはチャールズ・エグゼビアが、『アベンジャーズ』ではトニー・スタークが一番手前だ。ぱっと目を惹くし、一目で”強そうな人”ということが分かる。

しかし、『パーフェクト・ホスト』などのポスターで一番手前側にいるのは倒れている人物…私たちも無意識に、向こう側に座っている人物たちと同じように、彼らを見下ろしているかのような感覚にさせられる。

普通は力を持っていそうな人物がいる位置に、弱い存在とみられる人物が倒れていること。彼らをそのような立場にした”そっち側”の人間の視点に我々を立たせることで、映画の不気味さ、狂気を際立たせているのではないだろうか。 

このようなポスターの映画はどれも狂気的な人々を描いた作品が多い。間もなく公開の『ゾンビ・サファリパーク』『ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男』、今から気になるところだ! 

映画『ゾンビ・サファリパーク』 は2017年1月28日、
ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男』は2017年2月18日公開予定。
  

Writer

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Moeka Kotaki

フリーライター(1995生まれ/マグル)