【ネタバレ解説】「マンダロリアン」シーズン3第3話、クローン技術の闇と『スター・ウォーズ』映画シリーズへのつながり

この記事には、「マンダロリアン」シーズン3チャプター19『改心』のネタバレが含まれています。
キーワードは“クローン技術”?
ドラマ「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」(2021)では、主役であるはずのボバ・フェットが一切登場せず、ディン・ジャリン視点で物語が進んでいくエピソードがあったが、今回はドクター・パーシングという比較的マイナーなキャラクターがディンを差し置いて主役を張る展開となった。
惑星コルサントを舞台に人間ドラマが描かれる様は、さながらドラマ「キャシアン・アンドー」(2022‐)のようでもあった。パーシングは静かに仕事への不満を募らせ、イライアは戦闘ではなく心理的にターゲットの人物を囲い込んで目的を達成しようとする。
そんなイライアの狙いはどこにあったのか?どうも、わざと恩赦計画のルールに違反する行動を誘発させ、マインド操作できる場にパーシングを持っていきたかったようだ。モフ・ギデオンも逃走したとの噂があったため、今も彼の指揮下のスパイとして恩赦計画に潜り込んでいるのだろう。となると、洗脳された彼をギデオンが主導するクローン研究に再び従事させるのが目的だと考えられる。

シーズン2を振り返れば、チャプター12でパーシングは研究進捗をギデオンへ報告していた。その際には「2週間は効果が続いたのですが、体が血液を拒絶した」「このM値以上のドナーは恐らくいない」と述べていた。また本話では複数ドナーのDNA鎖を組み合わせ、最高の特質を持つDNAを作り出すことが彼の研究目的であったと話している。
M値とは、『エピソード1/ファントム・メナス』(1999)でも言及された“ミディ=クロリアン数値”のことであろう。細胞内に存在する微生物ミディ=クロリアンの数を表しており、この数値が高いほど、フォースと強いつながりを持つとされる。アナキンからはヨーダをも超える「2万以上」という高い数値が検出され、オビ=ワン・ケノービを驚かせた。
前置きが長くなったが、結論としてパーシングはミディ=クロリアン数値の高いグローグーをドナーとして、フォース感知者であるクローンを作ろうとしていたと考えられる。詳細は不明であるが、遺伝子操作だけではM値を上げることができず、数値の高いドナーからの輸血が必要であるようだ。血液に対しクローンが拒絶反応を起こすという設定は、正史扱いではなくなった小説『ダース・プレイガス』を引き継いでいる。
いよいよ、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)において「スノークは余が作った」「(どういうわけか)パルパティーンは生きている」とひと言で片付けられた設定の詳細な経緯が語られていきそうだ。
さて、すっかり記憶のはるか彼方へと押しやられていたが、グローグーが初めての言葉らしきもの発していたことにも注目したい。前話でゴリ押しの「ペリと言った」とは違って、はっきりとディン、ボ=カターンに続いて、「我らの道」(This is the way.)と言おうとしていた。
デイヴ・フィローニがグローグーはそのうち喋るかもしれないと発言していたこともあり、シーズン3中には初めての言葉があるのではと予想していたが、ディンの子育ても報われる生粋のマンダロリアンな初めての言葉をシーズン序盤に聞くことができた。
グローグーが図らずも“カルト”の一員に迎えられたボ=カターンの後を追う日も近いのかもしれない。銀河の大局を動かすクローン研究と、“3人”のマンダロリアンの行く先から目が離せない。
「マンダロリアン」シーズン3はディズニープラスにて独占配信中。
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