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『アメイジング・スパイダーマン』監督、両作品に後悔なし!「大失敗だとは思わない」

先日、キャプテン・アメリカ役からの卒業を示唆して大きな話題となった、クリス・エヴァンスの主演映画『ギフテッド(原題:Gifted)』には、ヒーロー映画に縁の深いクリエイターがもうひとり携わっている。監督を務めたマーク・ウェブだ。彼は、かつて『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)、『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)を手がけた人物である。

映画情報サイト「コライダー」のインタビューで、マーク監督は『アメイジング・スパイダーマン』2作への思いを素直に語っている。

悲運の『アメスパ』を監督自身が振り返る

サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演による『スパイダーマン』3部作が高い評価と興行成績を収めたあと、そのあまりに重いバトンを受け取ったのは、『(500)日のサマー』(2009年)で人気を獲得したマーク・ウェブ監督だった。実写映画版「スパイダーマン」としては初めてのリブートとなった『アメイジング・スパイダーマン』は全世界で約7億5,800万ドル、続編『アメイジング・スパイダーマン2』は全世界で約7億900万ドルと、その成績はわずかに下がったものの、概ね“大ヒット”と呼んで申し分ないであろう記録を示している。

©2013 CTMG. All Rights Reserved. http://spiderman-films.wikia.com/wiki/File:Spiderman-vs-electro-the-amazing-spiderman-2-1.jpg
©2013 CTMG. All Rights Reserved. http://spiderman-films.wikia.com/wiki/File:Spiderman-vs-electro-the-amazing-spiderman-2-1.jpg
ところが製作・配給を担当するソニー・ピクチャーズにとっては、この記録は納得のいくものではなかった。なにせサム・ライミによる映画版第1作『スパイダーマン』(2002年)以降、フランチャイズとしては興行成績に歯止めがかからないどころか、米国内の収入だけを見ると、『アメイジング・スパイダーマン2』は『スパイダーマン』の約半分にまで落ち込んでしまっていたのだ。その後、予定されていた『アメイジング・スパイダーマン3』の製作は中止となり、スピンオフ作品の計画も中断された。その後、ソニーはマーベル・スタジオを業務提携を結び、スパイダーマンはマーベル・シネマティック・ユニバースへの参入を果たしている……。

いわば、大ヒット&高評価の記憶を残して終了した『スパイダーマン』3部作と、マーベル・シネマティック・ユニバースへの参入で“お祭り”的な盛り上がりを見せる新スパイダーマン、その中間で“割を食った”のが『アメイジング・スパイダーマン』だったと言えなくもないだろう。マーク監督も初めての高予算映画で打ち切りという洗礼を受けたわけで、当時の心境たるや、想像するに余りあるというものだ。

ところがマーク監督は、シリーズの打ち切りから約3年が経とうとしている現在、両作品をとてもポジティブに振り返っている。

マーク・ウェブ監督(右) http://collider.com/amazing-spider-man-2-sequel-marc-webb-interview/
マーク・ウェブ監督(右) http://collider.com/amazing-spider-man-2-sequel-marc-webb-interview/

――『アメイジング・スパイダーマン』2作品で、最も幸せだったことと、最大の後悔は何でしょうか?

マーク: 後悔の面を考えるのは難しいね。うれしかったことはたくさんあるんだよ。特に2作目には熱が入ってたしね。“スーパーヒーローが全員を救えない”というアイデアは本当に気に入ってるし、誇りに思ってるよ。大切なメッセージだし、僕は今でもそう信じてるからね。

もっともマーク監督は、スパイダーマンという超人気キャラクターを映画化する難しさも十分に味わっていたようだ。

マーク: (『アメイジング・スパイダーマン』2作は)作るのが本当に難しい映画だったよ。みんなに十分理解してもらえないような複雑さがあったしね。大失敗だったとは思わないし、後悔という面で思うことはないな。機会に恵まれて、とても、とても幸運だった。公にすべきではないような、長くて深い話があるんだ。関わってくれたみんなのことが大好きだし、僕がスタジオと対立したことも一切ない。とてもスマートな人たちがたくさんいて、作るのがすごく難しい映画があっただけだよ。(『アメイジング・スパイダーマン』を)いろんな意味で誇りに思うし、僕は作品の味方さ。それに、僕はぜんぜん被害者じゃないしね。

思えば『アメイジング・スパイダーマン』で主演を務めたアンドリュー・ガーフィールドも、今ではシリーズの打ち切りを前向きに捉えていた。数年が経過した今、関係者たちが作品をこうして振り返っていることは、結果的に『アメイジング・スパイダーマン』の作り手たちが、製作当時、おのおの幸福な月日を送っていたことの証左ではないだろうか。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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