リーアム・ニーソン、映画出演100作目『探偵マーロウ』について聞く ─ SFスリラーの次回作も予告【単独インタビュー】

──この業界で、これだけ長い間ご活躍を続ける秘訣はありますか?
正直に言うと、私はとても恵まれているのだと思います。一緒に仕事をする人たちが素晴らしいのです。私は自分の仕事を愛していますし、仕事ができることは恵みだと思っています。もうすぐ誕生日なのですが、そのことについては触れたくない(照れ笑い)。
アクション映画も数作撮りましたが、おそらく、あと1本か2本はやると思います。とにかく、私は素晴らしい監督、役者、そして素晴らしい撮影クルーにいつも恵まれているのです。

──実は僕は、あなたが2018年に『トレイン・ミッション』で来日された際に、直接お会いしてインタビューさせていただいていました。その時あなたは、NetflixやAmazon、Huluといったストリーミングサービスの台頭によって映画製作に変化が生じており、そのことに関心があるとおっしゃっていました。まさにあなたの言う通りとなり、その後に起こったコロナ禍で映画業界は大きく変化することを強いられたわけです。あれから5年が経過しましたが、映画についての今のお考えはどう変化しましたか?
仕事へのアプローチ方法でいうと、今も全く変わりません。ただ、確かに映画業界は変化していますね。まさに今、アメリカでは脚本家たちのストライキが起こっています。今も変わらず、ストリーミングサービスは大きな成功を収めており、素晴らしいものを作っています。常に、というわけではなくても、素晴らしいTVシリーズや映画などを作っていますね。
彼らはますます豊かになっているのだから、そうした富はきちんと配分されるべきだと思います。脚本家たちは、生活のための賃金を求めている。脚本家がいなければ、映画業界は成り立たないのですから。チャーリー・チャップリンのいた頃のような無声映画時代は別としてね。
ドラマというのは会話ありきで、会話というのは脚本家ありきです。脚本家たちは尊敬され、より良く扱われなければなりません。ストリーミングサービスは、彼らの利益をもっと公平に配分するべきだと私は思います。単純な話です。
ただ結局のところ、彼らにも欲があるのでしょう。ストリーミングサービスが行っている仕事は敬愛しています。彼らは映画業界や俳優たちに、たくさんの仕事をもたらしてくれました。だからこそ、もう少し脚本家たちに利益を分配してほしいと思います。
──その通りだと思います。さて、現在はすでに次の企画を進めているということですね?
はい、今は2作が控えているのですが、それこそ脚本家のストライキで、まだ正式なゴーサインが得られていません。
今は、モロッコとイタリアで撮影した『Cold Storage(原題)』という映画を撮り終えたところです。実は、ちょうど昨晩に撮影終了になったばかりです。私のクランクアップは3週間ほど前でしたが。
──わぁ、どんな映画ですか?
NASAがウイルスの実験をするために宇宙に送り込んだ“菌”や解毒剤を描くんです。そのうちの一つのキャニスター(保存容器)がオーストラリアの奥地に落下する。そのキャニスターの中に、菌がほんのわずかに残っており、しかもNASAが宇宙に送ってから変異していた、というストーリーです。そこからどうなるかは、ネタバレになってしまうので内緒です。SFやスリラー、そして少しホラー要素もありますよ。

『探偵マーロウ』は、2023年6月16日より日本公開。