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米マーベル、軍需企業との提携発表を半日で取り下げ ─ 相次ぐ批判考慮か

マーベル・エンターテインメント社が、アメリカはバージニア州に本社を置く軍需企業ノースロップ・グラマンとの提携を発表、開催中のニューヨーク・コミコン内ブースにて何らかの展開を予告したが、発表から僅か半日後にイベントの取り下げをアナウンスした。ファンからの批判を考慮したものと推察される。

マーベル、軍事企業とコラボ発表

アメリカ現地時間の2017年10月6日朝8時、マーベル・エンターテインメントは自社の公式Twitterでノースロップ・グラマン社とのコラボレーションを発表。ニューヨーク・コミコンのブースへの来場を現地時間10月7日の午後3時に呼びかけていた。

ノースロップ・グラマン社は軍艦製造企業としては世界最大。軍用機、空港母船、人工衛星、ミサイル防衛システムなどを主に手がけており、ステルス爆撃機B-2スピリットや、イラク戦争でも用いられた「地獄の業火」ヘルファイアの製造などで知られる巨大軍事企業である。

どうやらこの提携の狙いは、コミックや映画での戦闘やそれに伴うテクノロジーを描くマーベルと、実際の兵器やテクノロジーを開発・製造するノースロップ・グラマン社の描くビジョンを結びつけるためだったものと考えられる。

マーベルは、ノースロップ・グラマン社のテクノロジーを駆使して闘う架空のヒーロー・チームN.G.E.N.(Northrop Grumman Elite Nexus)とアベンジャーズが共闘するオリジナル・コミック「Avengers Featuring N.G.E.N – Start Your N.G.E.N.S!」をWebサイトで公開していた。(ニューヨーク・コミコンのブースでもフィジカル版を配布予定だったと見られる。)このコミックでは、ハドソン川からニューヨーク市街地に向かって進撃するレッド・ローニン(かつてゴジラ対策として開発された、日本の特撮ロボットのような姿のキャラクター)を食い止めるべくアベンジャーズが出動するも、大規模にアップグレードされたレッド・ローニンに敵わず、ハイテク・チームのN.G.E.Nに協力を求めるというストーリーだった。

マーベルとノースロップ・グラマンの2社は、コミックで描かれた夢が叶うとして、コミック・キャラクターとノースロップ・グラマン社の技術を物語る写真をコラージュしたポスターも公開していた。例えば、左半分には「DREAM」としてヴィジョンの姿が、右半分には頭上に座標マップが描かれた海兵隊の横顔を「REALITY」として、「夢を叶えよう」のメッセージと共に掲げたポスターや、同じく左側の「DREAM」にスターク・インダストリーズ社屋のコミック・イラストを、右側にはノースロップ・グラマン社の社屋の写真を捉えたポスターを公開していた。

「『アイアンマン1』を観直せ」批判殺到、取り下げへ

残念ながら、このコラボレーションにはSNS上でファンから非難が殺到。とりわけ、マーベル・シネマティック・ユニバースの記念すべき第一作目となった『アイアンマン』(2008)は、軍需企業の社長として財を成す主人公のトニー・スタークが、自社の武器によって人の命が奪われる様を目撃したことにより軍需産業からの撤退を宣言し、その責任を背負う意味もありヒーローに目覚めるという物語だっただけに、今回の提携はファンがマーベルに期待する価値観とあまりにも相反するとして疑問の声が相次いだ。

こうした批判を受けてか、発表から約13時間半後となった現地時間の6日21時34分、マーベルは自社Twitter上でイベントのキャンセルを発表。その以前には、Webサイト上で公開していたコラボ・コミックと、サンディエゴ旅行の懸賞特典もあった特設サイトmarvel.com/UnlockNGENを取り下げた。

この記事の執筆時点(10月7日20時)で、ノースロップ・グラマン社の公式Twitter(@northropgrummanのヘッダー画像は依然としてマーベルとのコラボ・アートが掲げられている。この度の提携と解消の経緯について、2社からの詳しい説明が待たれる。

※続報あり:米マーベル、軍需企業との提携解消について声明を発表

Eyecatch Image:https://twitter.com/Marvel/status/916317209017937920

Writer

アバター画像
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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