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なぜマーベル映画にはいつもポストクレジット・シーンがあるのか?マーベル・スタジオ社長がその理由と真相を語る

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品の観客にとって、作品のエンド・クレジット後に流れるポストクレジット・シーンの存在は毎回の“お楽しみ”だ。今回はどんなキャラクターが登場するのか、今後の作品とどう繋がるのか、何が起こるのか……。しばしばサプライズも仕掛けられるため、観客は劇場が明るくなるまで席を立つことができない。

思えば2008年の『アイアンマン』でニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が登場して以来、MCUは一度もポストクレジット・シーンを欠かしたことがない。なぜそこまで“クレジット後”にこだわるのか? マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のプロモーションでこの謎の真相を語っている。

「そういうのが昔から好きなんだよ」

MCU作品にポストクレジット・シーンがある理由、それはファイギ社長の“原体験”にあったという。

「そういうの(ポストクレジット・シーン)が昔から好きなんだよ。『フェリスはある朝突然に』(1986年)とか、『マスターズ/超空の覇者』(1987年)とかね。映画オタクとしては、(映画が)終わってほしくないんだ。いい映画だろうが、悪い映画だろうが、映画館にいるって体験を終わらせたくなかったんだよ。だから昔から、エンド・クレジットの間も(座席に)座ってた。僕の母親もそうだったな。出てくる名前を全部読んで、彼らがやってることを面白がってたよ。[中略]それで確か、何かの映画で(ポストクレジット・シーンが)一度あったんだ。だから“この映画にもきっと何かある”ってね。でも、ないんだよ。ほとんどの場合は何もないんだ」

ちなみにMCU作品ではないが、『デッドプール』のポストクレジット・シーンは『フェリスはある朝突然に』のポストクレジット・シーンのパロディとなっている。『デッドプール』はサミュエル・L・ジャクソンのニック・フューリーもイジっていたが、これを観たファイギ社長は一体どう思ったのだろうか……。

『アイアンマン』ポストクレジット・シーンができるまで

こうした思いを抱えていたファイギ社長は、自身が映画製作に携わるようになってからも「ポストクレジット・シーンを作るのは楽しいだろうな」と感じていたという。その考えが実現したのは『アイアンマン』だが、その経緯を彼はこう語っている。

「ニック・フューリーのアイデアは製作中に出てきたもので、その話を聞いて、サミュエルも喜んで引き受けてくれたよ。[中略]でも撮影したシーンを本編に入れたくなかったんだ、散漫になってしまうと感じたからね。そこで、子どもの頃の僕みたいな人のために、ご褒美としてエンド・クレジットの最後に入れようと考えた。それだけ長い間劇場にいる人なら、ニック・フューリーのこともきっと知ってるしね」

その後、MCU作品でポストクレジット・シーンは“お約束”となった。しかし、その内容は事前に決まることもあれば、撮影中に決まることもあり、時には編集作業などポスト・プロダクションの最中に決まることもあるという。

『アイアンマン2』のポストクレジット・シーンは、『マイティ・ソー』の脚本を読んでる時に思いついたんだ。コールソンがハンマーにたどり着いて、“見つけました”っていう短い場面さ。脚本を読んでる時に――今はiPadで全部やるんだけど、当時は紙だったんだ――思いついて、小さく丸をつけて“これがポストクレジット・シーンだ”ってね。そしたら撮影スケジュールを前倒しできたりして、その場面は『マイティ・ソー』で最初に撮影したシーンのひとつになった。そこを編集して『アイアンマン2』に使ったんだよ。でも『アベンジャーズ』に出てくるシャワルマ(ケバブ)のアイデアは、ポスト・プロダクションの、ほんとの、ほんとの、ほんとの最後に思いついたものだ」

まさかポストクレジット・シーンを映画に付け加える作業に、そんな裏側があったとは……。

ファイギ社長の10年間にわたる試みの結果、いまやMCU作品の観客は、ほとんどがエンド・クレジットをずっと見つめるように“教育”されている。最新作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』はまさに「映画がいつ終わるのかわからない」ような仕上がりで、社長の原体験が色濃く反映されたものだといってもよさそうだ。

これからもマーベル・スタジオは、劇場が明るくなるまで、さまざまな楽しみとサプライズを仕掛けつづけてくれることだろう。ほんの短いシーンだが、その数十秒を生み出す思想と努力に客席から敬意を表したい。

Source: http://www.slashfilm.com/guardians-of-the-galaxy-2-kevin-feige-interview/
Eyecatch Image: https://www.amazon.co.jp/ジェントル-ジャイアント-マーベルコミック-ブックエンド-GENTLE-COLLECTIBLE-BOOKENDS-MARVEL/dp/B071YRW76Y/

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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