『ミッション:インポッシブル2』ヒロイン役、トム・クルーズとの恐怖の撮影体験「お互いイライラ」

「トム・クルーズはとても怖かった」──。映画『ミッション:インポッシブル2』(2000)でヒロインのナイア役を演じたタンディ・ニュートン(タンディウェ・ニュートン)が、やや特殊だったという撮影の思い出を語った。どうやらニュートンにとって、本作の撮影は良い経験ばかりではなかったらしい。
公開から20年が経った2020年のインタビューで、ニュートンが真っ先に思い返すというのは映画序盤のスペインのシーンだ。米Vultureでは、「夜のシーンを撮影していました。私と彼がバルコニーにいる場面でしたが、あまりいいシーンではなかったんですよね。私は彼に腹を立てていたし、お互いにイライラしていました」と振り返っている。「トムが私の演技に満足していなかったんです。私のセリフはひどいものだったから」
その当時の様子を、ニュートンはとても具体的に記憶していた。
「彼(トム)は説明するのに疲れて、“とにかくやってみよう、カメラに向かってリハーサルをするんだ”と言ったんです。リハーサルを録画しておいて、それから、“僕が君の役を演じるから、君は僕になりきってくれ”と。それで、そのシーンをまるごと、私が彼の役を演じて──あわててセリフを覚えたんですよ──彼が私の役を演じて撮影したんです。だけど、それは本当に無駄なことで、何の役にも立ちませんでした。恐怖と不安のどん底に突き落とされました。」
ニュートンは「トムは怖かったし、とても支配的な人だった」と言っているが、重要なのは、決して彼を告発しようとしているわけではないことだ。「彼はいい人であろうと懸命に努めているんです。だけど、プレッシャーがある。彼はいろんなものを背負っているし、自分だけがすべてをベストにできると思っているから」
問題のシーンの撮影中、監督のジョン・ウーは現場におらず、階下のモニターからすべてを見ていた。しかも香港からハリウッドに進出してきたウーは、撮影現場で英語を話さないようにしていたという。「それは彼(ウー)のためにはなっただろうけど、私たちのためにはならなかった」とはニュートンの談だ。「トムには感謝したい。彼はとにかく一生懸命だったのだから」
それでも、当時27歳のニュートンは不安でいっぱいになり、『愛されし者』(1998)でタッグを組んだジョナサン・デミに電話で相談したそうだ。「その夜のことを“悪夢だった”と話しているうち、私が自分自身を大問題だと思っていることがわかったんです。ジョナサンは“タンディ、それは違う。自分の味方になれ”と言ってくれました」。その後、再撮影の連絡を受け、自分ができるかぎりの仕事をしたという。
「現実じゃないような体験でした。クリエイティブなことは難しいものだし、私は優しくて繊細だったから」とニュートンは振り返る。もっとも彼女は、今の自分なら同じ行動は取らないと強調した。「今の私なら、“ちょっと!”って言うでしょうね。バルコニーで役を入れ替える必要なんてなかったし、私はもっと粘っていたと思いますよ」。
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Source: Vulture