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『ミッション:インポッシブル』最新作、築111年の橋上で爆破シーンを撮影へ ─ ポーランド現地で賛否の声、政府は受け入れの方針

ミッション:インポッシブル/フォールアウト
(c) 2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

トム・クルーズ主演、『ミッション:インポッシブル』第7作(タイトル未定)の製作チームが、ポーランドにある建設111年の橋で爆破シーンの撮影を計画していることがわかった。ポーランドの現地メディア、Wirtualna Polskaが報じている。

報道によると、『ミッション:インポッシブル』第7作の撮影が行われる予定となっているのはポーランド・シレジア北部の村ピルホビツェにある「ピルホビツキエ橋」。近郊の都市イェレニャ・グーラと、町ブレンを結ぶため1909年に建設された鉄道橋だ。ピルホビツェのピルホビツキエ湖にまたがっており、長さは151メートル、湖から高さ40メートル。1920年代後半までは1日7万人以上が利用したというが、経年劣化のため2016年に廃止されている。

ここに目をつけたのが、トム・クルーズ&クリストファー・マッカリー監督率いる『ミッション:インポッシブル』チームだった。ポーランドにて実施される撮影において、ピルホビツキエ橋で本物の爆破シーンを撮影しようというのである。しかしながら、その歴史性などを鑑みて、現地の鉄道会社などからは反対の声も上がっている状況だ。さて、産業の振興のために撮影を受け入れるか、古くから残る建築物を保護するか。

現在、ポーランド文化・国家遺産省のパヴェウ・レヴァンドフスキ大臣は撮影を受け入れる方針を示している。

「私はこの橋が遺跡であるという考えは持っていません。古い建造物がすべて遺跡にあたるわけではないからです。法的には、遺跡とは社会的・芸術的・科学的価値を持つものだと定められており、文化・芸術的な価値は、その対象物と人々が関わりを持てることが必要となります。ですから、(鑑賞物として)利用されていない、利用できないものに価値は認められません。(文化・国家遺産省としては)遺産ではなく、脱工業時代の遺物という認識です。」

パヴェウ大臣によると、同省はピルホビツキエ橋の再開発とポーランドの広報活動を同時に行いたいという意向。ここには、『ミッション:インポッシブル』の撮影がポーランドで行われ、橋上でアクションシーンが撮影されれば、それが大きな経済効果につながるとの期待がある。大臣は、橋の破壊がごく一部にとどまること、湖への影響も最小限に抑えられることを強調し、撮影を受け入れれば橋の再建費用の捻出にもつながる、映画の製作チームも再建に出資予定だと語った。

もっともポーランドでは、このピルホビツキエ橋を遺産に登録する動きがあるほか、工業的な“遺物”を遺産として保護するよう政府に働きかける動きもあるとのこと。もしも橋が遺産に登録される場合、その決定は「制限の対象になる可能性もある」という。ちなみにパヴェウ大臣や文化・国家遺産省は、再建された橋を映画のロケ地としてアピールする計画も立てている。線路の再開通後は、駅のひとつを映画スタジオに見立てる案もあるという。

ちなみに大臣によると、ポーランドでの撮影は2021年4月に行われ、これに先がけてトム・クルーズは2020年9月に現地を訪れる可能性があるとのこと。果たして、予定通り爆破シーンの撮影は行われるのか、あるいは(今のところ可能性は低そうだが)断念せざるを得なくなるのか。現地メディアのThe First News「未来はピルホビツキエ橋に“かかっている”」と記した。

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Sources: Wirtualna Polska, The First News

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。