【海外取材レポ】クリス・ヘムズワースの『メン・イン・ブラック:インターナショナル』は過去シリーズと何が違うのか(写真26枚)

かつてトミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスの名コンビで世界的人気を博したSFアクション・コメディ『メン・イン・ブラック』が、『マイティ・ソー』シリーズでもお馴染みのクリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソンのコンビで新たに登場する。シリーズ最新作『メン・イン・ブラック:インターナショナル』が、2019年6月14日より日米同時公開だ。その副題が示すように、今度の舞台は世界。ニューヨークを飛び出し、ヘムスワーズが演じるエージェントHと、テッサが演じる新人エージェントMが個性豊かなエイリアンと共に大冒険を繰り広げる。

2019年5月28日、アジア各地のメディアに向けた今作の記者会見がインドネシアのバリで開催。これに出席するため、THE RIVERもバリへ飛んだ。(記事最後に写真ギャラリー26枚。)
透き通ったターコイズブルーの海と青に包まれ、ヤシの木が穏やかな風を届けるバリの地で、ヘムズワースはリラックスしたリネンシャツの開いた胸元にサングラスをぶら下げて登場。小学校と高校時代に学校でインドネシア語の授業があったものの、「あまり真面目に聞いてなかった」というヘムズワースは、「でも10までなら数えれるよ。サトゥ、ドゥワ、ティガ、ウンパッ、リマ、ウナム、トゥジュ…、ドゥラパン、スンビラン、スプル!」とインドネシア語を披露して現地の記者たちを喜ばせた。会見が行われたバリ島デンパサールから飛行機で約1時間、世界的な秘境として知られるスンバ島で家族を集めて結婚式を挙げただけあって、バリへの思い入れは深い。小麦色の肌が眩しいヘムスワーズは、趣味のサーフィンのため度々訪れるというバリで『メン・イン・ブラック:インターナショナル』についてじっくり語った。

クリス・ヘムズワース、『メン・イン・ブラック』出演を決めた理由
──あなたが演じるエージェントHは、宇宙版ジェームズ・ボンドといった感じですよね。このキャラクターについて教えてください。
まず僕は、トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスが築いたオリジナル・シリーズが大好きです。このシリーズに飛び込めると聞いた時は興奮しましたし、同時にシリーズの良さを活かせるだろうかと不安もありました。でも、前作までの旅を継続しながらブラッシュアップして、インターナショナルでエネルギッシュな作品にすることができたと思います。
エージェントHはちょっとだらしなくて、反体制的で生意気なんですけど、憎めない魅力もあって。僕がこれまで演じてきた役とは異なるキャラクターです。アクションやアドベンチャー、コメディが詰まった作品なので、ファンが喜ぶ映画にしたかったのはもちろんのこと、僕自身も楽しくて映画館に観に行きたくなる作品になるようにしました。
──テッサ・トンプソン(エージェントM)、エマ・トンプソン(エージェントO)、クメイル・ナニジアニ(ポーニィ)との共演はいかがでしたか。撮影現場にクメイルもいたそうですね。
これまでもCGキャラクターとの共演は多かったですが、今回は(声を演じている)実際の役者と現場でカメラが回っていない間も一緒にいられて楽しかったです。同じ空間で即興し合って、キャラクターたちの間にもケミストリーが生まれました。クメイルは頭の回転も早く、ウィットに富んだスマートで楽しい人で、今作の撮影でも一番楽しかったですね。
エマやリーアム、テッサとの共演も最高でした。テッサとは『マイティ・ソー:バトルロイヤル』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』でも一緒でしたから、撮影に入ったときには既に彼女との間にケミストリーがありました。お互いのことや、相手のリズムを把握するために貴重な撮影時間をたくさん割かなくて済むから、すごく得しましたね。数年前からお互いのことをよく知っているというのは、大きなメリットでした。

──テッサ・トンプソンの新たな一面は見られましたか?
そうですね。別のキャラクターを演じれば、別の一面は出てくるものです。ヴァルキリーとしての彼女は数年間見てきて、僕もすごく好きなんですが、今回は全く異なるキャラクター。ソーは時代物やファンタジー的要素がありましたが、今回は現代的な設定です。そういったジャンルや世界で彼女と共演できて最高でした。
それに今作では、僕と一緒に物語をリードしていく立場だったので、彼女はやることも多かったはずです。彼女が役に入り込んでいって映画をナビゲートする様子も、見ていて驚きました。大きな才能の持ち主ですから、これからも共演していきたいですね。
──『メン・イン・ブラック』への出演にあたって、最も興味をそそられたのは何ですか?また、観客がこの映画を観るべき理由は?
リメイクやリブートではなく、これまでの作品から地続きになっていて、さらに世界観を広げられるところですね。今までのニューヨークという都会の風景から飛び出して、ロンドン、モロッコ、イタリアと、舞台が広がって、新しいフィーリングやエナジーが得られるところに興味を惹かれました。それから、90年代の警察ドラマ的な懐かしい要素に加えて、エイリアンが登場するところも楽しい。スケールがデカくて大いに楽しませてくれるアドベンチャー映画に参加するのは大好きですから。お客さんも、それを求めて映画館に出かけるわけですし。
──『メン・イン・ブラック』のレガシーを引き継ぐのはどんな気持ちですか?
どんなキャラクターをやらせてもらう時でも、やはりプレッシャーはあるんですよ。ストーリーに忠実にであろうという情熱と同時に、皆さんが映画を観たいと思うような楽しさも必要で。
偉大なシリーズに参加するわけですから、今回もプレッシャーはありました。でも僕にとってこういうのは慣れている部分もあって、というのもソー役だって4~50年続くコミックのキャラクターで、既にファンベースも確立されていましたからね。でも、そういう恐怖や不安、それにこれまでの作品やファンの存在こそが、頑張るぞというモチベーションになるんです。シリーズにふさわしい仕事をし、過去の作品に関わっていた人たちや、昔からのファンたちに誇らしく思ってもらえる作品にするためですね。現場に入ってからは、それぞれのシーンを演じることや、ストーリーに忠実であることに集中するから、そういったことは忘れないといけないけれど、話をもらった当初は、そういうことを色々と考えます。

お笑い要素もたっぷり
──アクションシーンはいかがでしたか?スタントも自分でこなしたんですか?
そうですよ。もともと役者になった理由の一つは、ファンタジーやアドベンチャーが好きだったのもあります。運動神経は鍛えて育ったので、スタントをやるのは大好きです。でも自分でやろうとしたら、「怪我するかもしれないし、死ぬ可能性もあるから、ちょっと向こうに行っててくださいね、スタントは別でいますので」って止められることもあります(笑)。今作は、例えばマーベル映画ほど決まったファイティング・スタイルがあったわけじゃなくて、もっと地に足着いたアクション中心。アクションの振り付けもたくさんあって、僕のお気に入りはモロッコのストリートで繰り広げられるホバークラフトのシーンです。3輪バイクをホバークラフトに変形させたトリッキーな乗り物で、ストリートには大勢の人がいるカオスな状況でした。皆に見られていて、歓声とかも聞こえる中で、背中にテッサを乗せているという。リスクも大きかったけど、超楽しくって、きっと観て楽しいシーンになっているはずです。それから、ジャガーを分解するみたいに、ホイールやサイドミラーから武器を引っ張り出すシーンも最高。過去の作品でも、あそこまではやっていなかった。シーンが進むにつれてどんどん凄いことになっていくんです。

── 撮影ではアクションとコメディ、どちらを楽しみましたか?
アクションでのフィジカルな撮影は楽しかったですし、コメディ部分もかなり楽しみました。かなりアドリブも許されていたので、脚本にはないセリフも言ったり。爆笑をさらうか、それともシーンをぶち壊すのかという予測不可能なリスクを取っていくのが好きなんです。ゲイリー監督は、まず元々ある素晴らしい脚本のページ通りに撮影して、最後にアドリブありで2、3テイクやらせてくれるんです。上手くいくテイクもあれば、ひどいテイクもある(笑)。でも、これこそ僕が俳優になった理由。その状況に没頭できる感覚が好きなんです。
── ソーのようなお笑いもありますか?
予告編にもありますけど、ハンマー投げてます。まさかあんなシーンが実現するとは(笑)。
── 撮影にあたって、トミー・リー・ジョーンズやウィル・スミスからアドバイスを貰いましたか?
いいえ、トミーやウィルとは話していません。でも、2人のキャラクターは皆さんや僕の心の中で存在し続けているわけで、『メン・イン・ブラック』のキャラクターを演じるとなれば当然織り交ぜられるものです。オリジナル・シリーズにあるトーンは僕たちの作品でも合わせるべきですが、過去作の繰り返しとは思われたくないので、あくまでも新しいことをやるのが目標です。僕とテッサのケミストリーも笑えて、前作の(JとKの)関係にちょっと似ているなと思いましたが、僕たちの解釈でよりユニークに仕上げています。