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『ミナリ』ゴールデングローブ作品賞除外、監督や俳優から批判相次ぐ「米国人が英語しか話さないというのは時代遅れ」

ミナリ
Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24 

スティーヴン・ユアン主演、アメリカに移住してきた韓国人一家を描く『ミナリ』(2021年3月19日公開)を、ゴールデングローブ賞は「作品賞」の選考から除外し、「外国語映画賞」として現在検討中。この決断に対して、映画監督や俳優陣から反発の声が上がっている。

サンダンス映画祭で審査員大賞と観客賞の2冠に輝き、世界中の批評家から絶賛を浴びる本作は、ゴールデングローブ賞だけでなく、アカデミー賞有力候補との呼び声も高い。称賛が相次ぐ本作の製作は、気鋭の映画会社「A24」とブラッド・ピット率いる「PLAN B」が務めており、リー・アイザック・チョンというアメリカ人の監督が本作を手掛けている。スティーヴン・ユアンもまたアメリカ人であるため、本作はアメリカ映画とみなされるべきだが、それでも作品賞の選考対象から外されてしまった理由は一体何なのか。

Varietyによると、ゴールデングローブ賞の作品賞の選考対象となるには、全編を通して半分以上の台詞が英語でなけれならないという。本作は基本言語が韓国語であるため、その基準を満たしていないと判断されてしまったようだ。

2019年にも中国の家族を題材にした映画、『フェアウェル』(2019)が同じ理由で作品賞の選考から除外されてしまった。同作の監督、ルル・ワンは今回の件について自身のTwitterにて不満を露わにしている。「私は今年、『ミナリ』ほどのアメリカ映画を観たことがありません。アメリカを舞台に、アメリカン・ドリームを求める移民家族の物語です。アメリカ人が英語しか話さないという時代遅れな捉え方は、本当に変える必要があります」。

『スパイダーマン: スパイダーバース』(2018)フィル・ロードも、この件について反応した。「『ミナリ』とゴールデングローブ賞の間で起きていることは、ミスなんかではありません。そういう選択を取ったのです。基準は昨年以降に変更されるべきでした。今年は多くの人が、『ミナリ』がアメリカ映画であると主張しています。これは慎重に検討した結果に生まれたもので、意図的で最悪な決断でしょう」。続けて、「どのような映画であれ、言語を理由に作品賞部門の選考から外される理由が私には理解できません。理論的根拠でもあるのでしょうか?」と述べ、基準に疑問を抱いている様子だ。

その他には、「LOST」(2004-2010)ダニエル・デイ・キムは、「米国出身なのに、自身の国に帰りなさいと言われているような基準」と皮肉の言葉を呟き、『シャンチー・アンド・レジェンド・オブ・テンリングス(原題:Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings)』シム・リウ「マンダロリアン」(2019-)ミン・ナ、『パチンコ』(文藝春秋)ミン・ジン・リーらもまた、本件に反応し不満を露わにしている。果たして、ゴールデングローブ賞の決断は覆るのか。今後の動向に注目しよう。

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Source: Variety , Deadline

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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