【レビュー】『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』がティム・バートン好きにはたまらない理由
2014年公開『ビッグ・アイズ』以来となる、鬼才ティム・バートンの監督作品『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』が2月3日に公開された。
『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』あらすじ
かつて“ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち”と一緒に住んでいたという話を祖父から聞かされて育った少年、ジェイク。その祖父が「ケインホルム島へ行け。そこで鳥がすべて教えてくれる」という言葉を遺して不可解な死を遂げたあと、ジェイクは、その言葉を手がかりに”ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち”を探す決意をするのだった。
本作には、ティム・バートン監督作品の常連であるジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーターは出演していない。ミス・ペレグリン役は『ダーク・シャドウ』で恐ろしくも妖艶な魔女、アンジェリークを演じたエヴァ・グリーンだ。
おなじみの俳優は不在、しかも今回はバートン節が炸裂するダーク・ファンタジーでもない……が、それでも『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』はバートン・ファンにはたまらない作品である。
過去のティム・バートン作品を思わせる映像
『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』を観た後には、必ず、過去のティム・バートン監督作品を観返したくなるだろう。なぜなら、かつて彼の映画で観たことのある様々な風景が本編に盛り込まれているからだ。
たとえば『シザーハンズ』でキムやエドワードが住んでいた、屋根の低いブロックのような家が並ぶ街並みや、エドワードが芸術的にカットした植木。『チャーリーとチョコレート工場』に登場した、チョコレート工場の気味の悪い入り口。
『ビッグ・フィッシュ』 のテーマは“父と子の絆”だった。時間をかけて理解し合い、また決して切れることのない強い絆があたたかく描かれていた。同様に本作では、“祖父と孫の絆”が描かれている。ティム・バートンは、劇中に父性を感じさせる人物をほぼ必ず登場させている。本作でも、彼が伝えたい家族の絆の優しさを、改めて感じとることができるだろう。
どこかで観たことがあるキャラクターたち
また『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』は、登場するキャラクターたちも「ティム・バートンっぽい!」と、思わずニヤリとしてしまう個性豊かな人物ばかりである。
ティム・バートンは双子が大好きだ。『アリス・イン・ワンダーランド』のトウィードルダム&トウィードルディー、『ビッグ・フィッシュ』の双子の姉妹のように、本作にも奇妙でかわいらしい存在感を放つ双子が登場する。いつも仮面をかぶっているこちらの兄弟だ。
本作でミス・ペレグリンを演じているエヴァ・グリーンは、すっきりとした妖艶な美貌の持ち主だが、やはりティム好みの美少女がヒロインとして登場していた。空気よりも体重が軽い少女、エマ(エラ・パーネル)だ。彼女が着る薄いブルーのワンピースは『アリス・イン・ワンダーランド』のアリスを連想させる。ふわふわとしたかわいらしいワンピースに、ゴツゴツとした鉛の靴を履かせるところにバートンのセンスが現れている。
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