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ゴジラ実写ドラマ「モナーク」マット・シャックマン監督単独取材 ─ ゴジラは「恐ろしくて美しい」、東宝スタジオは「アメリカにない魔法が」

モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ
画像提供 Apple TV+

──日本で撮影されたシーンは、全編のおよそ何割程度にあたるのでしょうか? 日本での印象深いエピソードや思い出もお聞かせください。

東京に行き、東京の街中で撮影できたのは本当に特別なことでした。撮影は数週間にわたり実施し、ほとんどの映像は最初の2~3話に登場します。日本の皆さんはとても親切で、東京という賑わった街で壮大かつ複雑なことをやりたいという困難を、僕たちのために実現してくださいました。本当に感謝しています。

日本では、東宝のスタジオでも素晴らしい時間を過ごしました。黒澤映画が作られ、ゴジラが生まれた聖地を歩いたことは特別な体験でしたね。東宝のスタジオは、アメリカの映画スタジオにもよく似ているように思いましたが、より活気があってエキサイティング。金型や怪獣の工房があったことにも興奮し、アメリカのスタジオにはない魔法を感じました。

モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ
画像提供 Apple TV+

──監督は第1話・第2話の演出だけでなく、エグゼクティブ・プロデューサーとしても本作に関わっています。プロデューサーとしてはどのように関わったのでしょうか?

僕が監督したのは第1話と第2話だけで、他のエピソードは素晴らしい監督たちが演出しています。僕の仕事は主に、作品のトーンやスタイルの枠組みを作ること、キャストをまとめること、序盤に登場する多くのモンスターをデザインすること。そして、シリーズに参加するフィルムメイカーが僕たちの狙いを理解できるようサポートすることでした。

テレビシリーズの場合、第3話の監督が仕事を始める時点では、まだ第1話と第2話を撮影している最中で、参考にできるものがほとんどありません。だから、そんな中でも一定の連続性を提供するのです。どんな資料を参考にしているのか、どのように物語を描き、登場人物を形づくろうとしているのか。そして、最も大切なのは俳優との仕事です。役柄にふさわしい俳優を見つけることが第一、彼らとともに人物を作りあげるのが第二。皆さんに愛される、応援されるキャラクターにしなくてはなりませんから。

──第2話の時点では、物語の人間ドラマとサスペンス要素が大きな魅力です。物語が展開するにつれ、よりゴジラ映画やモンスター・ヴァースらしいスペクタクルを期待してもいいのでしょうか?

クリエイターのマット&クリスは、複雑で美しい人間ドラマを構築しつつ、それらを派手な怪獣のスペクタクルに絡ませるという素晴らしい仕事をしてくれました。つまり、スペクタクルはたくさんあるということです。それらは人間ドラマがいかに展開し、人物がどのように変化し、彼らが怪獣とどのように関わっていくかという点で不可欠なもの。物語の展開において、怪獣たちは非常に重要な存在となっていきます。

モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ
画像提供 Apple TV+

──あなたはゴジラやモンスター・ヴァースだけでなく、MCU作品にも参加し、残念ながら離脱されましたが『スター・トレック』にも携わられました。有名なフランチャイズ/IP(知的財産)に挑戦しながら、自らの作家性を発揮する秘訣を教えてください。

まずは、何よりもそのIPを深く愛することです。ゴジラの場合で言えば、僕の愛情はオモチャで遊んでいた幼い頃まで遡ります。それが大人になった今、フィルムメイカーとして、とんでもなく大きな砂場で、そして壮大なスケールで遊べるようになりました。現在は『ファンタスティック・フォー』に取り組んでいますが、コミックに読みふけった若い頃と同じような愛情をもって臨んでいます。僕は『スター・トレック』も、子どもの頃に「新スター・トレック」(1987-1994)を見ていたし、「宇宙大作戦」(1966-1969)の再放送も見ていたんですよ。

けれども一番大切なのは、対象への愛情を持ちながら、そこに昔の自分とは異なる形で、作り手としての視点や、人間ドラマやエモーションを信じる者としての思考を取り入れること。今の自分の視点で、キャラクターやシチュエーションを捉えることです。それは(IPの)キャラクターたちが、どのように僕自身の、個人的な人生の物語を表現する手助けをしてくれるのかを考えることでもあります。

その取り組みが、この新たな物語を、10年前や20年前の物語、あるいは50年前に語られた物語とは異なるものにしてくれます。僕が今回挑戦したゴジラは、これからも永遠に生き続けるキャラクター。きっと永遠に、この世界の物語を表現する手助けをしてくれることでしょう。

Apple TV+

「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」は、2023年11月17日(金)にApple TV+で第1話・第2話が世界配信され、その後1月12日まで、毎週金曜日に新エピソードが配信される。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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