【レビュー】映画『モンスターハンター』モンスター&フィールド&武器など溢れる原作愛、想像を絶する世界に一狩り行こうぜ

実写映画版『モンスターハンター』が、2021年3月26日に待望の日本公開を迎える。想像を絶する世界に一狩り行こうぜ!
本作では、突如発生した超巨大な砂嵐に遭遇してしまい、謎の世界に飛ばされた米軍の中尉アルテミス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が、ハンター(トニー・ジャー)と手を組み、モンスターと決死の戦いに挑む姿が描かれる。狩猟を協力する調査団、大団長役に『ヘルボーイ』シリーズのロン・パールマン、受付嬢役に山崎紘菜が起用されている。監督は『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソンだ。
筆者は世界中が待ち望む本作を一足先に観賞する機会に恵まれた。『モンスターハンター』シリーズのモンスター、フィールド、武器など、原作愛に溢れた要素について読者の楽しみを損なわない程度に紹介し、レビューをお届けしたい。
圧倒的な存在感、ディアブロス&リオレウス

本作では、“砂漠の暴君”で馴染み深い「ディアブロス亜種」、“空の王者”の異名を持つ「リオレウス」が降臨する。ゲーム版の看板的存在と言っても過言ではない2体だ。ディアブロス亜種は、アルテミスとハンターが狩猟する最初の敵。砂漠の中から角を剥き出しにして素早く飛び出す動きや、頑丈かつ強力な角で突進する攻撃は、ゲーム版以上に迫力満点だった。攻撃だけでなく、部位破壊・致命傷を与えられた時などに体制を崩す姿なども、驚くべきほどに忠実。その光景に筆者は、「グッジョブ!」と胸が熱くなった。
動きの再現度の高さに驚かされると同時に、アルテミスとハンターが戦う姿にも驚愕。ディアブロス亜種が最初の狩猟相手とは、ゲームでは普通には考えられないためだ。狩猟経験が豊富なハンターであればまだしも、アルテミスにとっては初めて見る巨大かつ凶暴な敵。米軍の中尉とはいえ、逃げることに徹しても不思議ではない局面ではないだろうか。ところが、アルテミスはハンターに劣らない強さと勇姿を見せながら立ち向かっていく。

全身に炎を纏いながら巨大な翼を広げて大空を翔けるリオレウスは、ゲーム版以上に壮観な仕上がりとなっていた。最大金冠級のリオレウスによる、相手を一瞬にして焼き払う強力な火炎ブレスや、鋭い目で相手を威嚇する姿は想像を遥かに越える存在感を放っており、ゲーム版では体験できないような、映画ならではの恐怖を観客に与える。容赦なく繰り出される攻撃に気を抜く瞬間もなく、逃げ場もないアルテミス。そんな空の王者を相手に、アルテミスは決死の勝負に挑む。
『モンスターハンター4』からは、「ネルスキュラ」が本作に登場する。吐いた糸で獲物を拘束して毒攻撃を仕掛ける、巨大な蜘蛛のような姿をしたネルスキュラは、アルテミスを地の果まで追い詰める敵として序盤に登場する。サイズはリオレウスやディアブロス亜種と比べると少し小さいが、その凶暴さは2体にも劣らないほどのものだ。
ネルスキュラが登場する場面では、『バイオハザード』シリーズを彷彿とさせられるような恐怖演出も施されており、本編で最も怖い場面のひとつと言えるだろう。ちなみにネルスキュラは、ポール・W・S・アンダーソンがゲームシリーズの中で、特に感銘を受けたモンスターでもあるのだという。さらに予告編で一瞬だけ登場した黒く染まる黒蝕竜、「ゴア・マガラ」についても詳しく紹介したいところだが、こちらに関しては自身の目で実際に確かめて貰いたい。
息を呑むフィールド、圧巻の武器さばき

再現度の高さはモンスターだけではない。『モンスターハンター』シリーズの醍醐味は、地形や多種多様な生態系が混在する世界で、モンスターという本能のまま生きる相手を自由に狩猟すること。そんな極限の世界観を再現するため、モンスター以外ではCGが使用されていないようで、「古代樹の森」や「大蟻塚の荒地」を彷彿とさせるフィールドもまた、鬱蒼とした森林や壮大な砂漠を実際に探して撮影されたようだ。フィールドの細部まで計算された再現力や、その美しさに思わず息を呑むだろう。
- <
- 1
- 2