『ムーンライト』続編実現の条件は ─ バリー・ジェンキンス監督、現在の心境を明かす
アカデミー賞で作品賞を含む3部門受賞を成し遂げた映画『ムーンライト』(2016)で監督・脚本を務めたバリー・ジェンキンスが、続編実現の可能性について見解を示している。
孤独に生きるシャロンという人間の内に秘めた感情の機微が、少年期・思春期・青年期の3部構成で鮮明に描かれた『ムーンライト』。米IndieWireによる取材にて、「『ムーンライト』の次なるチャプターの可能性について考えたことはありますか?」と尋ねられたジェンキンス監督は、「お酒を飲んでいる時だけです。お酒をたくさん飲まなきゃ(続編の)考えまでたどり着きませんね。(普段の生活では)一度も思い浮かべたことはなかったですよ」と返答した。
原作は、アメリカ出身の劇作家タレル・アルヴィン・マクレイニー氏が、AIDSで母親を亡くした自身の経験に基づき執筆した戯曲『In Moonlight Black Boys Look Blue』。個人的な経験に端を発する本作について、ジェンキンス監督は「もし、タレルが続編を書いたら…物語は、タレルが始めなければいけないんです」と語っている。
「(シャロンと幼馴染ケヴィン役の)トレヴァンテとアンドレが、続編について素敵な話をしていたんですよ。それで私は、物語がどう進展していくか想像を巡らし始めたんです。でも(構想は)ないですね。もしタレルが書くのなら……私の中にはないと思うんです。」
物語は、薬漬けの母親との亀裂や同性の幼馴染への特別な想いなど、複雑な心の揺れを抱え込みながら生きていたシャロンが、幼馴染のケヴィンとの久しぶりの再会を果たし、自身の想いを打ち明けた所で幕を閉じている。果たして、その後のシャロンの物語が語られる時は訪れるのだろうか。
『ムーンライト』以降、ジェンキンス監督は『ビールストリートの恋人たち』(2019)を手がけ、同作はアカデミー賞やゴールデングローブ賞などの各映画賞にノミネート。現在は、米Amazon Studios製作のドラマシリーズ「The Underground Railroad(原題)」の企画を進行させるなど、精力的に監督業に力を注いでいる。
Source: IndieWire