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ネイモア単独映画、「権利上の都合」でMCUでは実現不可能 ─ マーベル・スタジオが認める

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
© 2022 MARVEL.

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)で、コミックの人気キャラクターであるネイモアが、いよいよマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に初登場した。コミックの名称は「ネイモア・ザ・サブマリナー」だが、映画版の名前は「ネイモア」のみ。彼が治める海底帝国・アトランティスも、独自の海底文明・タロカンに設定を変更されている。

ところが、マーベル・スタジオは現時点でネイモアの単独映画を製作することができない。プロデューサーのネイト・ムーア氏によると、ネイモアは「借り物」であるために、MCUへの再登場は可能だが、権利の都合により単独映画は実現できない状況にあるという。米The Wrapにて明かした。

「(権利問題について)多くをお話しすることはしませんが、確かに影響を受けています。ネイモアを映画に登場させることよりも、宣伝の面に影響が出ていました。(本編で)キャラクターの面で実現できないことは特になかったんです。[中略]ビジネス的な理由で叶わないことがなかったのは良かったですね。」

ムーア氏が強調するのは、ライアン・クーグラー監督がネイモアに現実的な設定を与え、コミックとは異なる角度からキャラクターを掘り下げたこと。「原作からインスピレーションを受けつつも、現実味のある世界に登場させるため、コミックにはなかった大きな変更を加えたので、その点では良かったと思います」と改めて安堵している。

MCUにネイモアを登場させるため、マーベル・スタジオが権利を“借りてきた”のは、ハルクの権利を有しているユニバーサル・ピクチャーズだ。マーベル・スタジオの設立以前(ディズニーによる買収以前)、マーベルは経営のためにキャラクターの映像化権を他社に販売したのである。X-MENやファンタスティック・フォーが20世紀フォックスに、スパイダーマンがソニー・ピクチャーズに渡ったのと同じく、ハルクとネイモアの権利はユニバーサルの手に渡っていた。

もっとも、ディズニー/マーベルとユニバーサルは良好な関係にあり、ハルクも『アベンジャーズ』シリーズをはじめとするMCU作品への登場を認められている。ただし、単独映画を製作できないのは現在も同様だ(シー・ハルクは単独ドラマ「シー・ハルク:ザ・アトーニー」(2022)が製作されたことから、マーベルが権利を有するとみられる)。また、ハルクとネイモアを単独で宣伝に使うこともできず、ポスターでもシリーズの一部としてだけ使用が許可されているという。

ちなみにネイモアの単独映画化は1990年代から検討されており、かつては『ホーム・アローン』シリーズのクリス・コロンバスや『U-571』(2000)のジョナサン・モストウらが複数の企画に携わっていた。しかしながら、現在に至るまで単独映画は製作されておらず、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が初めての実写映画化となっている。

マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長によると、ネイモアはMCUの企画が始動した18年前から“いずれ登場させたいキャラクター”に名前が挙がっていたとのこと。しかし、当時はタイミングやアイデアが適切でなかったために見送られていたという。その背景には、おそらくマーベルとユニバーサルの“大人の事情”もあったのだろう。

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は2022年11月11日(金)より公開中

Source: The Wrap

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。