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【解説】Netflixがワーナー買収、映画業界混乱のまとめ ─ 政界も「独占禁止法にとっての悪夢」

司法省とドナルド・トランプはどう動く?

Netflixとワーナーが買収に至るには、長きにわたる司法当局との交渉をへて承認を得なければならない。司法省が異議申し立てを計画しているともいわれているが、実際にどう動くかはわかっていないのが実情だ。

ドナルド・トランプ大統領は自らの見解を公に語っていないものの、政府高官によると、トランプ政権はNetflixによる買収劇に「強い懐疑心」を抱いているという。Netflixが大きな市場支配力を持つことは政界でも危惧されており、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員も「独占禁止法にとっての悪夢」であり「司法省は独占禁止法を公正かつ透明性をもって執行すべき」とした。

Netflixのテッド・サランドスCEOは、「(司法当局の承認に対し)大きな自信がある」と述べている。今回の取引は、消費者やクリエイター、業界のすべてにプラスの影響を与えるもので、「私たちは関係の政府や規制当局と密に連携していきます。必要な承認はすべて得られるものと確信しています」と。

この思惑とは別に、映画業界と政界は冷ややかな視線を送っているように見える。もうひとつのポイントは、当初ワーナーの買収を計画していたパラマウント・スカイダンスのデヴィッド・エリソンCEOと父親のラリー・エリソンが、トランプ大統領と親密な関係にあることだ(パラマウントが『ラッシュアワー4』の製作を決めたのはトランプの要望だった)。

すでにパラマウント側は、ワーナーがNetflixに有利な形で入札を誘導したと指摘し、独占禁止法のうえでも問題があると主張している。こうした言い分をトランプ大統領はどのように理解するだろうか?

しかも、パラマウントはワーナー買収を完全に諦めたわけではないようだ。報道によると、パラマウントは今週ワーナーに提案した“1株あたり30ドル”の買収提案よりもさらに高額の再提案を検討しているという(パラマウントはスタジオ&ストリーミング部門だけでなく全社の買収を希望している)。この場合、Netflixがパラマウント以上の条件で再入札するかが再び未来を分けることになるだろう。

少なくとも買収が完了するまでには、これから1年~1年半という期間を必要とする。業界を揺るがす買収劇とあって、今後もさらなる波乱が起こりうることは確かだ。

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Source: Netflix, The Hollywood Reporter (1, 2), Variety (1, 2), The Wrap, Deadline (1, 2), CNBC

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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